開業準備 / 更新 2026-10-02
訪問介護事業所が行う総合事業の訪問型サービス(従前相当)の指定主体・有効期間・単価・請求の枠組み
訪問介護事業所は、要介護者への介護給付の訪問介護に加えて、市町村が行う介護予防・日常生活支援総合事業(総合事業)の訪問型サービスの事業者にもなれます。要支援者や事業対象者が対象で、指定の主体が市町村長であり、有効期間と単価は市町村が定めます。この記事は、厚生労働省の老発0328第1号(総合事業の実施要綱)と省令第5条から、全国共通の枠組みと、市町村ごとに確認する事項を分けて整理します。
この記事で決めること
訪問介護事業所が要支援者・事業対象者向けの総合事業の訪問型サービス(旧介護予防訪問介護等に相当するサービス)を行うときの、市町村による指定、有効期間、単価、国保連への請求の全国共通の枠組みと、市町村ごとに確認する事項を区別して理解するための考え方と確認順を整理します。
読み終えたら、総合事業の訪問型サービスの指定確認シートを作成できる状態を目指します。
総合事業の訪問型サービスと指定の主体
老発0328第1号(令和4年3月28日)は、総合事業のサービスの提供方法の一つとして、指定事業者による実施を挙げています。介護保険法第115条の45の3第1項に基づき、市町村長が指定した事業者が、要支援者や事業対象者(基本チェックリストの記入内容が基準に該当した者)にサービスを提供した場合に、その費用について第1号事業支給費が支給される仕組みです。指定するのは、訪問介護の指定権者(都道府県知事等)ではなく市町村長です。
この記事が扱うのは、要綱で「旧介護予防訪問介護等に相当するサービス」と呼ばれる、従前の介護予防訪問介護に相当するサービスです。それ以外の訪問型サービスは、人員・設備・運営の基準を地域の実情に応じて市町村が定めると要綱が書いており、市町村ごとに内容が異なるため、この記事では扱いません。
訪問介護の指定との関係(省令第5条第2項・第6項・第7条第2項)
省令第37号第5条第2項は、訪問介護の指定事業者が総合事業の第1号訪問事業の指定事業者の指定を併せて受け、かつ、両事業が同一の事業所で一体的に運営されている場合について規定しています。「指定を併せて受け」という書きぶりは、訪問介護の指定と総合事業の指定が別々の指定であることを前提にしています。訪問介護の指定を受けたことで総合事業の指定が自動的に得られると読める根拠は、今回確認した資料にはありません。
一体的に運営している場合、サ責の配置人数を数える利用者には、一体的に運営する従前相当の訪問型サービスの利用者も含まれます(条文の括弧書きが「旧介護予防訪問介護に相当するものとして市町村が定めるものに限る」としているためです)。第6項は、市町村の定める第1号訪問事業の人員に関する基準を満たすことで、訪問介護の人員基準を満たしているとみなすことができると定め、設備も第7条第2項に同様の定めがあります。サ責の数え方はサービス提供責任者の配置人数の数え方、人員基準の全体像は訪問介護の人員基準で整理しています。
指定の有効期間と申請書類(市町村ごとの確認事項)
要綱は、指定の有効期間について、介護保険法施行規則第140条の63の7に基づき、給付における指定期間である6年を勘案して市町村が定めるものとしています。国が6年と一律に定めているわけではなく、期間を定めるのは市町村です。更新の時期や変更の届出の取扱いは、指定した市町村に確認します。訪問介護の更新・変更は指定後の変更・更新・休止・廃止で整理しています。
要綱は、事業者が指定を申請するときに市町村長へ提出する申請書や書類について、市町村長が認める場合は一部を省略できるとし、市町村境に所在する事業所など他市町村の被保険者が利用する場合は、他市町村による事業者の指定について配慮するよう求めています。複数の市町村の被保険者を受け入れる事業所は、利用者の保険者の市町村ごとに指定が必要かを確認します。
単価・加算・1単位の単価(要綱の枠組み)
要綱は、旧介護予防訪問介護等に相当するサービスの第1号事業支給費の額(サービス単価)を、市町村が、国が定める額(令和3年厚生労働省告示第72号の単価)を勘案して定めると書いています。市町村は、地域の実情に応じてふさわしい単価を設定します。この記事は単価の水準を載せません。実際の単価は事業所が指定を受ける市町村の定めで確認します。
1単位当たりの単価は、介護給付の訪問介護・通所介護の地域区分の1単位当たりの単価を用いると要綱が定めています。加算・減算は、旧介護予防訪問介護等に相当するサービスでは、介護予防訪問介護等の単価を踏まえた単価に定める加算・減算を算定できると書かれ、市町村独自の加算・減算を定めることができると書かれているのは、それ以外の指定事業者によるサービスです。地域区分の単価の仕組みは訪問介護の介護報酬の算定構造で整理しています。
請求先と事業計画での扱い
要綱は、指定事業者に対しては国保連経由で第1号事業支給費を支給することができると定めています。実際の請求の方法は指定を受ける市町村に確認します。介護給付の請求・入金・返戻の月次サイクルは訪問介護の国保連請求・入金・返戻の月次サイクルで確認できます。
事業計画では、総合事業の売上を要介護者向けの訪問介護の売上とは別の行で見込みます。単価、加算、有効期間、利用者の保険者が異なるためです。指定を受ける市町村の担当窓口に、基準・単価・申請書類・更新の時期を確認してから行を立てます。この記事は、総合事業の指定が得られることや売上を保証するものではありません。要綱の改正があるため、現行の版は厚生労働省の掲載で確認してください。
実行チェックリスト
次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。
- 事業所の所在地と、利用者の保険者になる市町村を書き出し、それぞれで従前相当の訪問型サービスの指定が必要かを担当窓口へ確認する
- 市町村ごとに指定の有効期間、更新時期、申請書類の省略の可否、人員・設備の基準を聞き取り、訪問介護と一体で運営する場合のサ責の数え方もあわせて確認する
- 市町村が定めるサービス単価と、1単位当たりの単価(地域区分)、加算・減算の取扱いを入手し、売上見込みを要介護者向けの訪問介護と別の行で置く
- 国保連への請求の窓口と入金の時期を確認し、請求の時効や返戻の扱いとあわせて資金繰りの前提に入れる
一次資料
制度の確認に使用した公的一次資料です。個別地域の運用は指定権者で確認してください。
- 厚生労働省「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」(確認日 2026-10-02)
- 厚生労働省「地域支援事業の実施について(令和4年3月28日 老発0328第1号・介護予防・日常生活支援総合事業の実施要綱を含む)」(確認日 2026-10-02)