民間の解説サイトです。国・都道府県・市区町村などの公式の窓口ではなく、指定申請や届出の受付はしていません。運営者情報

運営 / 更新 2026-11-05

通所介護の取扱方針(基準第97・98条):目標設定・質の評価・6つの方針・拘束の記録

通所介護(デイサービス)の取扱方針は、指定基準の第97条と第98条にあり、第97条は目標を設定して計画的に行うことと、事業者が自らサービスの質を評価して改善することを定めます。第98条は、サービスの提供に当たっての6つの方針で、その中に身体的拘束等の原則禁止と記録が含まれます。この記事では、2つの条文の中身と、厚生労働省の通知が示す留意点、点検のときに残す書類を整理します。

第97条の基本取扱方針:目標を設定して計画的に行い、質を自ら評価して改善する

指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第37号)の第97条は、通所介護の基本取扱方針です。e-Gov法令検索で、2026年11月5日に原文を確認しました。第1項は、指定通所介護は、利用者の要介護状態の軽減又は悪化の防止に資するよう、その目標を設定し、計画的に行われなければならないと定めています。

第2項は、指定通所介護事業者が、自らその提供する指定通所介護の質の評価を行い、常にその改善を図らなければならないと定めています。評価の方法や頻度、様式は条文に書かれていません。評価をした事実と改善した内容を残す方法は、事業所で決めておく必要があります。

目標を設定する書類が通所介護計画で、作成者や同意の手順は通所介護計画の作成(第99条):作成者・居宅サービス計画との関係・同意と交付・保存で扱っています。この記事は、その計画に基づいて提供するときの方針を扱います。

この記事で決めること

通所介護(デイサービス)の管理者が、基準第97条の基本取扱方針と第98条の具体的取扱方針(6つ)の中身、身体的拘束等を行うときの記録、老企第25号が示すグループ提供の留意点を確かめ、日々の運営と点検で何を残すかを決めるための考え方と確認順を整理します。

読み終えたら、通所介護の取扱方針の点検表(1枚):第97条の2項目と第98条の6つの方針を行に並べ、方針ごとに対応する書類(通所介護計画・提供の記録・自己評価の記録・身体的拘束等の記録)と、最後に見直した日を書き込む表を作成できる状態を目指します。

第98条の具体的取扱方針:サービスの提供に当たっての6つの方針

第98条は、指定通所介護の方針として、次の6つを挙げています。第1号は計画に基づく提供、第2号は丁寧な提供と理解しやすい説明、第3号と第4号は身体的拘束等の禁止と記録、第5号は介護技術の進歩への対応、第6号は心身の状況の把握と、希望に添ったサービスの提供です。

第6号には、認知症(法第5条の2第1項に規定する認知症)である要介護者に対して、必要に応じ、その特性に対応したサービスの提供ができる体制を整える、という後半があります。体制の中身は条文に書かれていないので、通所介護計画や職員の配置、グループの分け方で示すことになります。

第98条の6つの方針(e-Gov法令検索の原文で確認。2026年11月5日)
号方針の内容事業所が用意する書類の例(条文が様式を定めていないもの)
第1号通所介護計画に基づき、利用者の機能訓練と、日常生活を営むための必要な援助を行う通所介護計画、提供の記録
第2号懇切丁寧に行うことを旨とし、利用者又はその家族に、サービスの提供方法等を理解しやすいように説明する説明した日と内容の記録
第3号利用者又は他の利用者等の生命又は身体を保護するため緊急やむを得ない場合を除き、身体的拘束等を行わない身体的拘束等を行わなかったことの確認
第4号身体的拘束等を行う場合は、態様・時間、その際の利用者の心身の状況、緊急やむを得ない理由を記録する身体的拘束等の記録
第5号介護技術の進歩に対応し、適切な介護技術でサービスを提供する研修の記録
第6号利用者の心身の状況を的確に把握し、相談援助等の生活指導、機能訓練その他のサービスを希望に添って提供する。認知症の要介護者には特性に対応した体制を整える心身の状況の把握の記録、体制の整理

厚生労働省の通知が示す3つの留意点:グループ提供・説明の範囲・認知症の利用者

老企第25号(厚生労働省の解釈通知)の通所介護の取扱方針の項は、次の3点を示しています。1つ目は、通所介護は個々の利用者に応じて作成された通所介護計画に基づいて行われるが、グループごとにサービス提供が行われることを妨げない、という点です。

2つ目は、第98条第2号の「サービスの提供方法等」には、通所介護計画の目標と内容に加えて、利用日の行事と日課も含まれる、という点です。説明する範囲は、計画の説明だけでなく、その日の行事と日課まで及びます。3つ目は、認知症の状態にある要介護者等で、他の利用者と同じグループとして提供することが困難な場合は、必要に応じてグループを分けて対応する、という点です。

厚生労働省が掲載している通知の版は、「痴呆」という旧い表記を含み、最新の改正が反映されていない可能性があります。確認した範囲では上の3点ですが、現行の通知で変わっていないかは、指定権者の案内でも確かめてください。

身体的拘束等:原則禁止、例外は緊急やむを得ない場合、行うなら3つの事項を記録する

第3号は、利用者又は他の利用者等の生命又は身体を保護するため緊急やむを得ない場合を除き、身体的拘束等を行ってはならないと定めています。例外に当たるかどうかは、事業所が個々の場面で判断する必要があり、条文は「緊急やむを得ない」の具体例を挙げていません。

第4号は、身体的拘束等を行う場合に、その態様及び時間、その際の利用者の心身の状況並びに緊急やむを得ない理由を記録しなければならないと定めています。第104条の4第2項第3号は、この記録を、サービスの提供に関する記録の1つとして、その完結の日から2年間保存することを求めています。保存する6種類の記録の全体は通所介護の記録の整備と保存期間:保存する6種類と完結の日から2年(基準第104条の4)にまとめています。

記録の様式は条文にありません。態様と時間、心身の状況、緊急やむを得ない理由の3つの欄を持つ様式を決めておけば、運営指導で記録を見せるときにも対応しやすくなります。訪問介護の同じ規定は訪問介護の身体的拘束等:原則禁止と緊急時の記録で整理しています。

点検の進め方:6つの方針を、書類に結びつける

点検は、第97条の2項目と第98条の6つの方針を表の行に並べ、行ごとに、守っていることを示す書類の名前と保管場所を書くところから始めます。書類が見つからない行が、補うべき箇所になります。質の評価をした記録と、身体的拘束等の記録の様式は、条文が様式を定めていないので、事業所ごとに用意する必要があります。

運営規程の項目は通所介護の運営規程に定める事項(11項目):利用定員・営業日・実施地域・非常災害対策で、準用される条文を含む運営基準の全体は通所介護の準用規定(基準第105条):訪問介護などから引き継ぐ23条と読み替えの2種類で確認できます。

この記事で確認した範囲と、次に知りたいこと

2026年11月5日に、e-Gov法令検索で、指定基準の第97条、第98条、第104条の4第2項の原文を確認しました。あわせて、厚生労働省が掲載する老企第25号の通所介護の取扱方針の項で、グループ提供、サービスの提供方法等の範囲、認知症の利用者のグループ分けの3点を確認しました。

身体的拘束等の適正化のための委員会や指針の整備、質の評価の具体的な方法は、この記事では確認していません。指定権者の運営指導の案内で確かめてください。次に知りたいことは、通所介護計画の作成(第99条):作成者・居宅サービス計画との関係・同意と交付・保存と通所介護の事故発生時の対応にまとめています。

実行チェックリスト

次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。

  1. e-Gov法令検索で指定基準の第97条と第98条を開き、第97条の2項目と第98条第1号から第6号までを表の行として書き写す
  2. 行ごとに、その方針を守っていることを示す書類(通所介護計画、提供の記録、質の評価の記録など)の名前と保管場所を書く
  3. 身体的拘束等を行う場合に残す3つの事項(態様・時間、心身の状況、緊急やむを得ない理由)の記録様式があるか確かめ、なければ様式を作る
  4. グループごとの提供や、認知症の利用者へのグループ分けの実際を、通知の留意点に照らして書き込み、見直す日を決める

一次資料

個別地域の運用は指定権者で確認してください。

次に読む: 通所介護計画の作成(第99条):作成者・居宅サービス計画との関係・同意と交付・保存 →