運営 / 更新 2026-10-28
通所介護のお泊まりデイ(宿泊サービス):提供前の届出と指針の定員・宿泊室・夜勤職員
通所介護の事業所が、営業時間外の夜間・深夜に事業所の設備を使って利用者を泊める、いわゆる「お泊まりデイ」(指針の用語では宿泊サービス)は、介護保険の対象にならない自主事業です。ただし、提供を始める前に、指定を受けた都道府県知事等への届出が必要です。届出の時期と、国の指針が示す人員・設備・運営の基準を、条文と通知の原文で確認します。
宿泊サービスは保険外の自主事業。提供前に指定権者へ届け出る
厚生労働省の指針は、通所介護事業所の設備を使った夜間・深夜の通所介護以外のサービスを「宿泊サービス」と呼び、介護保険制度外の自主事業であると書いています。そのうえで、通所介護の利用者へのサービス提供に支障がないかを、指定を行う都道府県知事等が判断できるように、実態を把握する届出と事故報告の仕組みを設けたと説明しています。
届出の義務は、居宅基準第95条第4項にあります。通所介護の設備は専ら通所介護のために使うのが原則ですが、通所介護の提供に支障がなければ、ほかの目的にも使えます。その例外で、夜間・深夜に通所介護以外のサービスを提供する場合は、サービスの内容を提供の開始前に、指定を行った都道府県知事(指定都市・中核市は市長)へ届け出るとされています。
指針の定義は、通所介護、認知症対応型通所介護、介護予防認知症対応型通所介護の指定を受けた事業者を対象にしています。地域密着型通所介護の事業者に同じ届出が必要かどうかは、この記事では条文を確認していないため、指定を受けた市町村に確認してください。
この記事で決めること
通所介護事業者が、夜間に介護保険外の宿泊サービス(お泊まりデイ)を提供するときの届出の時期と、国の指針の人員・設備・運営の基準を、居宅基準第95条第4項と平成27年4月30日の厚生労働省の通知で確認するための考え方と確認順を整理します。
読み終えたら、お泊まりデイ(宿泊サービス)の届出前チェック表:人員・宿泊室・定員・運営書類の確認を作成できる状態を目指します。
届出の時期:開始前、変更は10日以内、休止・廃止は1か月前
指針の第4の20は、届出の時期を3つに分けています。開始するときは、宿泊サービスの内容を提供の開始前に指定権者へ届け出ます。
届け出た内容が変わったときは、変更の事由が生じてから10日以内に届け出ます。休止または廃止するときは、その日の1月前までに届け出ます。
指針は、この届出の内容を、介護サービス情報の公表の基本情報にも追加していると書いています。そのため、事業所を管轄する都道府県知事への報告が必要です。届出は別紙様式で行うとされているので、様式と提出先の窓口は、指定権者の案内で確かめます。
| 場面 | 届出の期限 | 届出先 |
|---|---|---|
| 宿泊サービスを始める | 提供の開始前 | 指定権者(都道府県・指定都市・中核市) |
| 届け出た内容を変える | 変更の事由が生じてから10日以内 | 指定権者 |
| 宿泊サービスを休止・廃止する | 休止または廃止の日の1月前まで | 指定権者 |
指針が定める人員と設備:定員は通所介護の定員の2分の1以下かつ9人以下
人員について、指針は、提供時間帯を通じて、夜勤職員として介護職員または看護職員を常時1人以上確保するとしています。介護職員は、介護福祉士、実務者研修または介護職員初任者研修の修了者であることが望ましいとされ、資格のない職員は、介護等の知識と経験を持つ者であることとされています。
緊急時に対応する職員の配置か、提供時間帯を通じた連絡体制も求められます。宿泊サービス従業者の中から責任者も決めます。
利用定員は、その通所介護事業所の運営規程の利用定員の2分の1以下で、かつ9人以下です。宿泊室は、1室1人が原則で、1室の床面積は7.43平方メートル以上です。処遇上必要と認められる場合は2人にできます。
個室以外の宿泊室を設けるときは、1室4人以下で、プライバシーを確保した構造にします。指針は、パーテーションや家具による視線の遮断は認め、カーテンは認めにくいとしています。
消火設備その他の非常災害に必要な設備は、消防法その他の法令に定められたものを確実に設置するとされています。通所介護の設備や備品を使うときは、通所介護の利用者へのサービス提供に支障がない範囲で使います。建築基準法や消防法の具体的な基準は、この記事では確認していないため、所轄の消防署と指定権者で確認してください。
| 項目 | 指針の定め |
|---|---|
| 夜勤職員 | 提供時間帯を通じて、介護職員または看護職員を常時1人以上 |
| 利用定員 | 通所介護事業所の運営規程の利用定員の2分の1以下、かつ9人以下 |
| 宿泊室の定員 | 1室あたり1人(処遇上必要と認められる場合は2人) |
| 宿泊室の床面積 | 1室あたり7.43平方メートル以上 |
| 個室以外の宿泊室 | 1室あたり4人以下。プライバシーが確保された構造(カーテンは認められにくい) |
運営の指針:利用は短期に限り、説明・同意・記録・計画・事故連絡を整える
利用の対象は、利用者の心身の状況や家族の疾病、冠婚葬祭、出張などで、一時的に居宅での生活に支障がある人です。指針は、緊急時または短期的な利用に限ると書いています。連続した利用が予定される場合は、居宅介護支援事業者等と連携して、ほかの介護保険サービスへの変更も含めて検討するとされています。
提供を始めるときは、運営規程の概要、責任者の氏名、従業者の勤務体制などの重要事項を記した文書を交付して説明し、内容と利用期間への同意を得ます。提供した日、内容、利用者の心身の状況は記録します。
宿泊サービスをおおむね4日以上連続して利用する予定の人には宿泊サービス計画を作ります。4日未満でも、反復して継続的に利用する予定の人は、計画を作って提供します。
身体的拘束は、生命や身体を保護するために緊急やむを得ない場合を除いて行えません。行う場合は、態様・時間、利用者の心身の状況、理由を記録します。事故が起きたときは、市町村、利用者の家族、居宅介護支援事業者等へ連絡して必要な措置を取り、状況と処置を記録します。
提供の記録、身体的拘束の記録、宿泊サービス計画、苦情の記録、事故の記録は、その完結の日から2年間保存します。
広告をするときは、虚偽や誇大な内容にしないこと、介護保険サービスとは別のサービスであると明記することも、指針の第4の17にあります。保険内のサービスと保険外のサービスを組み合わせるときの通知の整理は混合介護(訪問介護と保険外サービスの組み合わせ)にあります。
届出の前に確認すること、次に知りたいこと
指針の第5は、都道府県等が、人員配置や設備などから通所介護の利用者へのサービス提供に支障がないと認める場合は、第2から第4の指針によらなくてよいとしています。つまり、指針の数字をそのまま当てはめるかどうかも、指定権者の判断が関わります。始める前に、指定権者へ、届出の様式、事前相談の要否、指針と異なる運営を認める扱いがあるかを問い合わせます。
通所介護そのものの人員・設備の基準は通所介護の開業の入口:指定の種類(定員19人で分かれる)・人員・設備の基準に、運営規程と重要事項説明書は通所介護の運営規程に定める事項(11項目)と通所介護の重要事項説明書の記載事項にまとめています。通所介護の事故発生時の連絡は通所介護の事故発生時の対応で確認できます。
この記事は、指針と居宅基準第95条第4項の確認にとどまります。宿泊料金の設定、課税の扱い、個別の事業所が指針を満たすかどうかの判断は、指定権者や税務署、専門職に確認してください。
実行チェックリスト
次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。
- 通所介護の運営規程の利用定員を確認し、その2分の1以下かつ9人以下で宿泊サービスの利用定員を仮置きする
- 宿泊室ごとの床面積(1室7.43平方メートル以上)と定員、個室以外の宿泊室のプライバシーの確保(パーテーションなど)を図面で確認し、消防設備の設置状況を所轄消防署と指定権者に問い合わせる
- 夜勤職員(介護職員または看護職員を常時1人以上)、緊急時の職員配置または連絡体制、責任者を決め、勤務表に落とし込む
- 指定権者へ届出の別紙様式、事前相談の要否、提供開始前の期限を確認し、重要事項説明書、提供記録、宿泊サービス計画、事故連絡の手順をそろえる
関連ガイドで計画をつなぐ
隣接する判断をつなぎ、記事単体で計画を止めないためのガイドです。
よくある質問
迷いやすい範囲と確認順を、質問ごとに整理します。
通所介護のお泊まりデイは、介護保険の対象になりますか?
厚生労働省の指針は、通所介護事業所の設備を使った夜間・深夜の宿泊サービスを、介護保険制度外の自主事業と書いています。保険外のサービスですが、居宅基準第95条第4項により、提供の開始前に、指定を行った都道府県知事(指定都市・中核市は市長)への届出が必要です。
お泊まりデイの届出は、いつまでに出しますか?
開始するときは提供の開始前に届け出ます。届け出た内容が変わったときは変更の事由が生じてから10日以内、休止または廃止するときはその日の1月前までです(指針の第4の20)。様式と提出先は指定権者の案内で確認します。
お泊まりデイの利用定員や宿泊室の広さに決まりはありますか?
指針は、利用定員を通所介護事業所の運営規程の利用定員の2分の1以下かつ9人以下とし、宿泊室は1室1人(処遇上必要な場合は2人)、1室7.43平方メートル以上としています。夜勤職員は介護職員または看護職員を常時1人以上確保します。ただし、都道府県等が支障がないと認める場合は指針によらない扱いもあるため、指定権者に確認してください。
一次資料
個別地域の運用は指定権者で確認してください。
- 厚生労働省「介護保険サービスと保険外サービスを組み合わせて提供する場合の取扱いについて(平成30年9月28日 老推発0928第1号・老高発0928第1号・老振発0928第1号・老老発0928第1号)」(第一 共通事項、第二1〜3(訪問介護と保険外サービスを組み合わせる場合の取扱い))(確認日 2026-10-14)
- 厚生労働省老健局「指定通所介護事業所等の設備を利用し夜間及び深夜に指定通所介護等以外のサービスを提供する場合の事業の人員、設備及び運営に関する指針について(平成27年4月30日 老振発第0430第1号・老老発第0430第1号・老推発第0430第1号)」(第1 総則、第2 人員、第3 設備、第4 運営(3・4・17・19・20・22)、第5 その他)(確認日 2026-10-28)
- デジタル庁(e-Gov法令検索)「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(第九十五条 通所介護の設備及び備品等、第九十八条 具体的取扱方針、第九十九条 通所介護計画の作成、第百四条の四 記録の整備)」(第九十五条第四項、第九十八条、第九十九条、第百四条の四)(確認日 2026-10-28)