運営 / 更新 2026-10-15
訪問介護の退院前カンファレンスから初回訪問までの流れ(依頼受付・暫定ケアプラン・初回加算)
退院前カンファレンスの連絡から初回訪問までに、訪問介護の事業所が確かめることは、依頼を受けるかどうか、認定の状況、ケアプランの有無、初回加算の対象になるか、の4つ(表では受付と状態把握を分けて5段階)です。訪問介護の運営基準に退院前カンファレンスへの出席を定めた条文は確認できなかったため、この記事は条文で確認できる範囲を順に並べ、病院・居宅介護支援事業所との分担を整理します。
この記事で決めること
退院の連絡を受けた訪問介護の事業所が、依頼の受付から初回訪問までに、居宅介護支援事業所との分担と、認定・暫定ケアプラン・初回加算で何を確かめるかを条文で確認するための考え方と確認順を整理します。
読み終えたら、退院依頼の受付チェック表(依頼元、退院予定日、認定の状況、暫定ケアプランの有無、初回加算の確認、サービス担当者会議の日時)を作成できる状態を目指します。
この記事の範囲:退院の連絡を受けてから初回訪問まで
退院前カンファレンスは、病院が退院に向けて、本人・家族、病院の職員、地域のサービス事業者などを集めて開く話し合いを指す呼び方です。訪問介護の指定基準(指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準)の訪問介護の規定には、退院前カンファレンスへの出席を定める条文は見つかりませんでした(e-Govで「退院」を検索し、訪問リハビリテーション・通所リハビリテーション・特定施設入居者生活介護の条文だけが該当)。出席するかどうかは、依頼してきた居宅介護支援事業所や病院との調整で決まります。
この記事は、連絡を受けてから初回訪問までの確認の順番を扱います。院内での介助の扱いは訪問介護の院内介助は算定できるか(厚労省事務連絡と自治体の確認手順)、暫定ケアプランの仕組みは暫定ケアプランの仕組みと認定結果が見込みと異なる場合の自己負担リスク、依頼受付から月次報告までの連携は訪問介護のサービス提供・ケアマネ連携・月次報告で扱うので、ここでは重ねて説明しません。
誰が何を担うか:退院の調整は居宅介護支援事業所が中心
居宅介護支援事業所の指定基準は、介護支援専門員(ケアマネジャー)が、介護保険施設等から退院しようとする要介護者から依頼があった場合に、居宅での生活へ円滑に移行できるよう、あらかじめ居宅サービス計画の作成等の援助を行う、と定めています(第13条第18号)。また、居宅介護支援の開始時に、入院が必要になった場合は担当の介護支援専門員の氏名と連絡先を病院に伝えるよう、利用者や家族に求めることも定めています(第4条第4項)。
つまり、病院から訪問介護の事業所へ直接連絡が来る場合もありますが、基準上の調整役は居宅介護支援事業所です。訪問介護の事業所は、その居宅介護支援事業所が開くサービス担当者会議等を通じて、利用者の心身の状況や置かれている環境、他の保健医療サービス・福祉サービスの利用状況を把握するよう努める立場です(訪問介護の指定基準第13条)。サービス担当者会議との関係はサービス担当者会議・モニタリングと訪問介護事業所で確認できます。
受付から初回訪問までの確認の順番
次の表は、連絡を受けてから初回訪問までに事業所が確かめる項目を、根拠の条文と並べたものです。実際の順番や書類は事業所と居宅介護支援事業所で異なるため、表の項目は確認の漏れを防ぐための整理として使ってください。
| 段階 | 訪問介護の事業所が確かめること | 根拠・参照先 |
|---|---|---|
| 1 依頼の受付 | 依頼元(居宅介護支援事業所か病院か)、退院予定日、希望するサービス、通常の事業の実施地域内かどうか | 訪問介護の指定基準第9条(正当な理由のない提供拒否の禁止)、第10条(提供が困難な場合の居宅介護支援事業者への連絡等) |
| 2 認定の状況 | 要介護認定を受けているか、申請中か。有効期間と負担割合 | 訪問介護の指定基準第11条(被保険者資格・認定の有無と有効期間)。負担割合は負担割合証で確認(受給資格の確認手順の記事) |
| 3 ケアプランの有無 | 認定が出ていない場合は、暫定ケアプランでの開始になるか。認定結果が見込みと異なった場合の自己負担の説明が済んでいるか | 介護保険法第27条第8項(認定は申請日にさかのぼって効力を生ずる)、暫定ケアプランの記事 |
| 4 状態の把握 | 病院での状態、退院後の生活環境、他に使うサービス。サービス担当者会議の開催日時 | 訪問介護の指定基準第13条 |
| 5 初回訪問 | 新しく訪問介護計画を作る利用者か、過去2月間に自分の事業所の訪問介護を受けたか | 初回加算の記事 |
暫定ケアプランで始めるときと、初回加算との関係
要介護認定の申請中は、結果が出る前でも暫定のケアプランを作ってサービスを使い始められます。認定は申請のあった日にさかのぼって有効になりますが(介護保険法第27条第8項)、非該当だった場合は、かかった費用が全額自己負担になります(中野区の案内で確認)。退院の日が決まっている場合ほど、結果を待たずに始めることが多くなるため、この説明が済んでいるかを初回訪問の前に確認してください。
初回加算は、新しく訪問介護計画を作成した利用者に対し、サービス提供責任者が初回の訪問介護を行った日の属する月に、自ら訪問するか、他の訪問介護員等の訪問に同行した場合に、1月につき200単位を加算するものです。「過去2月間(暦月)に、その事業所から訪問介護の提供を受けていない」ことが条件なので、入院していた期間があっても、過去2月間にその事業所の訪問介護を受けていれば、対象になりません。退院した利用者であること自体は、算定の条件ではありません。
個別の利用者について算定できるかは、指定権者(都道府県・市区町村)に確認してください。
この記事で確認していないこと
居宅介護支援事業所が算定する退院・退所加算の算定要件、病院が診療報酬で算定する退院時の共同指導の要件、病院ごとのカンファレンスの進め方は確認していません。訪問介護の事業所が出席した場合の報酬上の扱いも、この記事では扱いません。依頼の受け方と自分の事業所の受け入れ可否の決め方は、居宅介護支援事業所とのやりとりを含めて訪問介護のサービス提供・ケアマネ連携・月次報告に続きます。
次に知りたいこと
認定が出る前の開始に備えるなら暫定ケアプランの仕組みと認定結果が見込みと異なる場合の自己負担リスク、初回訪問の月の売上の見込みと記録は訪問介護の初回加算(200単位)の算定要件と、過去2月間・同行の扱い、被保険者証と負担割合証の確認は訪問介護の受給資格の確認手順:被保険者証・認定有効期間・負担割合証・給付制限へ進めます。
実行チェックリスト
次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。
- 依頼元、退院予定日、希望するサービス、事業の実施地域内かどうかを受付時に記録し、受けられない場合は居宅介護支援事業所へ連絡する手順を決める
- 認定の状況と有効期間、負担割合を被保険者証と負担割合証で確かめ、申請中なら暫定ケアプランで始めることの説明が済んでいるかを書き添える
- 過去2月間に自分の事業所の訪問介護を提供したかを記録で調べ、初回加算の対象になる見込みかをサービス提供責任者が確認する
- サービス担当者会議の日時と出席者を確認し、初回訪問の前に把握した状態と生活環境を訪問介護計画の作成に引き継ぐ
一次資料
個別地域の運用は指定権者で確認してください。
- 中野区「介護保険制度についてのよくある質問(要介護認定・暫定ケアプラン関連)」(確認日 2026-09-25)
- 厚生労働省老健局「介護報酬の算定構造(訪問介護費の加算・減算の適用要件とQ&A。PDF冒頭は「101 訪問介護費」。PDF本文にタイトル表記なし)」(確認日 2026-10-03)
- デジタル庁(e-Gov法令検索)「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(第九条 提供拒否の禁止、第十条 サービス提供困難時の対応、第十一条 受給資格等の確認、第十三条 心身の状況等の把握、第十四条 居宅介護支援事業者等との連携)」(確認日 2026-10-14)
- デジタル庁(e-Gov法令検索)「指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準(第四条第四項 入院時の担当介護支援専門員の連絡先の伝達依頼、第十三条 指定居宅介護支援の具体的取扱方針の退院・主治医・福祉用具に関する号)」(確認日 2026-10-15)