運営 / 更新 2026-11-05
訪問入浴介護の取扱方針:7つの方針・看護職員1人と介護職員2人・用品の消毒
訪問入浴介護の取扱方針は、指定基準の第49条と第50条にあります。第49条は、利用者の状態に応じて適切に行うことと、事業者が自らサービスの質を評価して改善することを定め、第50条は、サービスの提供に当たっての7つの方針を定めます。7つの中に、看護職員1人と介護職員2人で行うこと、身体的拘束等の原則禁止と記録、提供ごとの消毒があります。
第49条の基本取扱方針:利用者の状態に応じて適切に行い、質を自ら評価する
指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第37号)の第49条は、訪問入浴介護の基本取扱方針です。e-Gov法令検索で、2026年11月5日に原文を確認しました。第1項は、指定訪問入浴介護は、利用者の要介護状態の軽減又は悪化の防止に資するよう、利用者の状態に応じて、適切に行われなければならないと定めています。
第2項は、指定訪問入浴介護事業者が、自らその提供する指定訪問入浴介護の質の評価を行い、常にその改善を図らなければならないと定めています。評価の方法や頻度、様式は条文に書かれていないので、評価をした事実と改善した内容を残す方法は、事業所で決めておく必要があります。
看護職員と介護職員の員数、管理者、浴槽や車両などの設備は訪問入浴介護の指定基準:看護職員・介護職員の員数・管理者・設備で整理しています。この記事は、その体制で提供するときの方針を扱います。
この記事で決めること
訪問入浴介護事業所の管理者が、基準第49条の基本取扱方針と第50条の7つの具体的取扱方針、看護職員1人と介護職員2人の組と主治の医師の意見の確認、用品の消毒、身体的拘束等の記録、厚生労働省の通知の留意点を確かめ、取扱方針の点検表を作るための考え方と確認順を整理します。
読み終えたら、訪問入浴介護の取扱方針の点検表(1枚):第49条の2項目と第50条の7つの方針を行に並べ、方針ごとに対応する書類(勤務表、責任者を決めた記録、主治医の意見の記録、消毒マニュアル、身体的拘束等の記録)と、最後に見直した日を書き込む表を作成できる状態を目指します。
第50条の具体的取扱方針:サービスの提供に当たっての7つの方針
第50条は、訪問入浴介護従業者の行う指定訪問入浴介護の方針として、次の7つを挙げています。通所介護や訪問リハビリテーションの取扱方針と並べると、第6号の人数の決まりと、第7号の用品の消毒が、入浴という訪問入浴介護の仕事に合わせた項目です。
第6号は、1回の訪問につき看護職員1人と介護職員2人で行い、そのうち1人をサービスの提供の責任者とすると定めています。ただし書きがあり、利用者の身体の状況が安定していること等から、入浴により身体の状況等に支障を生ずるおそれがないと認められる場合は、主治の医師の意見を確認した上で、看護職員に代えて介護職員を充てることができます。
表の右の列は、事業所が用意する書類の例で、条文が求めるものではありません。第4号の身体的拘束等の記録のように、条文が記録を直接求めている行は、その旨を書いています。
| 号 | 方針の内容 | 事業所が用意する書類の例(条文が求めるものではない) |
|---|---|---|
| 第1号 | 利用者の心身の状況、希望、置かれている環境を踏まえ、必要なサービスを適切に提供する | 訪問前に確認した心身の状況の記録 |
| 第2号 | 懇切丁寧に行うことを旨とし、利用者又は家族に、サービスの提供方法等を理解しやすいように説明する | 説明した内容の記録 |
| 第3号 | 利用者又は他の利用者等の生命又は身体を保護するため緊急やむを得ない場合を除き、身体的拘束等を行わない | 職員への周知の記録 |
| 第4号 | 身体的拘束等を行う場合は、態様及び時間、その際の利用者の心身の状況、緊急やむを得ない理由を記録する(条文が記録を直接求める) | 身体的拘束等の記録 |
| 第5号 | 介護技術の進歩に対応し、適切な介護技術をもってサービスを提供する | 研修の記録 |
| 第6号 | 1回の訪問につき看護職員1人と介護職員2人で行い、1人を提供の責任者とする。安定している場合は、主治の医師の意見を確認した上で看護職員に代えて介護職員を充てられる | 勤務表、責任者を決めた記録、主治医の意見を確認した記録 |
| 第7号 | 設備、器具その他の用品の使用に際して安全及び清潔の保持に留意し、利用者の身体に接触するものは提供ごとに消毒したものを使用する | 消毒の方法を書いたマニュアル、消毒の記録 |
厚生労働省の通知が示す留意点:全身入浴が難しいとき・説明の中身・責任者・主治医の意見・用品の清潔
老企第25号(厚生労働省の解釈通知)の訪問入浴介護の基本取扱方針及び具体的取扱方針の項は、第49条と第50条に定めるところによるほか、4点に留意するよう示しています。1つ目は、訪問時に全身入浴が難しい場合は、利用者の希望により、清拭又は部分浴(洗髪、陰部、足部等)を行うなど、適切なサービス提供に努めることです。
2つ目は、第2号の「サービスの提供方法等」に、入浴方法等の内容、作業手順、入浴後の留意点が含まれることです。説明の中身は、入浴の手順と入浴後の過ごし方まで含めて考える必要があります。
3つ目は、サービスの提供の責任者についてです。入浴介護に関する知識や技術を持ち、衛生管理や入浴サービスの提供で他の従業者に作業手順などの指導を行い、利用者が安心してサービスを受けられるよう配慮する人とされています。主治の医師の意見の確認は、利用者、または利用者の承諾を得た事業者が主治医に確認し、あわせて次に確認すべき時期も確認しておくこととされています。
厚生労働省が掲載している通知の版は、条文の号の番号が現行の条文と一致しない箇所があります。通知は責任者や人数の決まりを「第50条第4号」、用品の安全衛生を「第50条第5号」と書いていますが、現行の条文では、内容が第6号と第7号に当たります。
上の留意点は、現行の条文の号に直して書いています。最新の改正が通知の版に反映されているかは、指定権者の案内でも確かめてください。
用品の清潔:利用者ごとの消毒・タオルの取り替え・マニュアルの周知
第7号は、利用者の身体に接触する設備、器具その他の用品について、サービスの提供ごとに消毒したものを使用すると定めています。通知は、これに留意する点を3つ挙げています。1つ目は、浴槽など利用者の身体に直接触れる設備や器具を、利用者1人ごとに消毒した清潔なものとし、使用後に洗浄と消毒を行い、保管でも清潔を保つことです。
2つ目は、皮膚に直接触れるタオル等を、利用者1人ごとに取り替えるか個人専用のものを使うなど、安全で清潔なものにすることです。3つ目は、消毒の方法等についてマニュアルを作成するなどして、従業者に周知することです。マニュアルがあることと周知したことを示せるよう、作成した日と周知した日を残しておくと整理しやすくなります。
身体的拘束等:原則禁止、例外は緊急やむを得ない場合、行うなら3つの事項を記録する
第3号は、利用者又は他の利用者等の生命又は身体を保護するため緊急やむを得ない場合を除き、身体的拘束等を行ってはならないと定めています。例外に当たるかどうかは、事業所が個々の場面で判断する必要があり、条文は「緊急やむを得ない」の具体例を挙げていません。
第4号は、身体的拘束等を行う場合に、その態様及び時間、その際の利用者の心身の状況並びに緊急やむを得ない理由を記録しなければならないと定めています。記録の様式は条文にありません。態様と時間、心身の状況、緊急やむを得ない理由の3つの欄を持つ様式を決めておけば、運営指導で記録の有無を示しやすくなります。
訪問介護の同じ規定は訪問介護の身体的拘束等:原則禁止と緊急時の記録で整理しています。記録の保存は訪問入浴介護の記録の整備:5種類・保存2年にあります。
この記事で確認した範囲と、次に知りたいこと
2026年11月5日に、e-Gov法令検索で、指定基準の第49条と第50条の原文を確認しました。あわせて、厚生労働省が掲載する老企第25号の訪問入浴介護の基本取扱方針及び具体的取扱方針の項で、4点の留意点を確認しました。病状の急変時の対応(第51条)と、運営規程は、この記事では扱いません。
訪問入浴介護の報酬は訪問入浴介護費の単位数、運営指導で確認される書類は訪問入浴介護の運営指導で確認される書類で確認できます。訪問介護の入浴介助との違いは訪問介護の入浴介助と訪問入浴介護の違いにあります。指定権者ごとの運用の差は、指定権者の運営指導の案内で確かめてください。
実行チェックリスト
次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。
- e-Gov法令検索で指定基準の第49条と第50条を開き、第49条の2項目と第50条第1号から第7号までを表の行として書き写す
- 行ごとに、その方針を守っていることを示す書類の名前と保管場所を書き、1回の訪問が看護職員1人と介護職員2人の組で行われていることを勤務表で確かめる
- サービスの提供の責任者を決めた記録と、看護職員に代えて介護職員を充てる場合の主治の医師の意見の確認、次に確認する時期を残す様式を、それぞれ用意できているかを見る
- 浴槽やタオルなど利用者の身体に触れる用品の消毒マニュアルと、身体的拘束等を行う場合の3つの事項(態様及び時間、心身の状況、緊急やむを得ない理由)を書く様式を確かめ、書類のない行を洗い出して見直す日を決める
一次資料
個別地域の運用は指定権者で確認してください。
- 厚生労働省「指定居宅サービス等及び指定介護予防サービス等に関する基準について(平成11年9月17日老企第25号厚生省老人保健福祉局企画課長通知)」(第三 訪問介護に関する基準)(確認日 2026-10-04)
- e-Gov法令検索(デジタル庁)「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(第16条・第17条・第45条・第47条・第48条・第50条)」(第16条(居宅サービス計画に沿ったサービスの提供)、第17条(居宅サービス計画等の変更の援助)、第45条(訪問入浴介護の従業者の員数)、第47条(訪問入浴介護の設備及び備品等)、第48条(訪問入浴介護の利用料等の受領)、第50条第6号(訪問入浴介護の1回の訪問の体制))(確認日 2026-10-17)