事業計画 / 更新 2026-10-09

訪問介護の倒産件数と原因(2025年・東京商工リサーチ)を開業計画の下振れ確認に使う

東京商工リサーチの調査によると、2025年の訪問介護事業者の倒産は91件で、調査を始めた2000年以降で最多でした。原因の75件は売上不振で、全体の82.4%にあたります。開業計画では、この原因を「訪問件数が計画より少ない」「職員の給与が重い」といった入力の変化に置き換えて、収支シミュレーターで確かめておくことができます。

この記事で決めること

訪問介護事業者の2025年の倒産件数と原因別の内訳を東京商工リサーチの調査で確認し、売上不振と人手不足にあたる下振れを、収支シミュレーターのどの入力で確かめるかを知るための考え方と確認順を整理します。

読み終えたら、下振れ条件ごとの営業利益の確認表を作成できる状態を目指します。

2025年の倒産件数と原因別の内訳

東京商工リサーチの調査(2026年1月8日公開)は、負債1,000万円以上の訪問介護事業者の倒産を集計しています。2025年は91件で、前年の81件から12.3%増えました。

原因別では、売上不振が75件(構成比82.4%)で最多です。求人難や従業員の退職など人手不足に関係する倒産も13件あり、これまで最多だった2023年の11件を上回りました。内訳は、求人難が7件、従業員退職が4件です。

調査は、介護報酬のマイナス改定や大手との競争、ヘルパーの退職による利用率の低下などを背景に挙げています。倒産した事業者のほとんどは小さな事業者で、従業員10人未満が79件(86.8%)、負債額1億円未満が81件(89.0%)、資本金500万円未満が73件(80.2%)でした。

倒産の手続きは破産が86件(94.5%)で、再建より破産を選ぶ例が多いと書かれています。都道府県別では大阪府が12件、東京都が11件で最も多く、北海道・和歌山県・愛知県など地方での増加も目立つとされています。

2025年の訪問介護事業者の倒産(東京商工リサーチ)
項目件数構成比・補足
倒産(負債1,000万円以上)91件前年81件。前年比12.3%増で過去最多
原因:売上不振(販売不振)75件82.4%
原因:人手不足関連13件求人難7件、従業員退職4件。2023年の11件を上回る
従業員10人未満79件86.8%
負債額1億円未満81件89.0%
破産86件94.5%

この数字から読めることと読めないこと

この調査は、すでに倒産した事業者の件数と原因を数えたものです。倒産に至らなかった事業者の数や、事業者全体に占める倒産の割合は書かれていないため、新しく開業した事業者が倒産する確率を示すものではありません。

また、「売上不振」は倒産時に分類された原因で、売上が下がった理由までは1件ずつ分かりません。この記事では、調査が挙げた背景(利用者の減少、報酬改定、人手不足)を、開業前に確かめる入力の見方に置き換えるところまでを扱います。

調査は、訪問介護が地域や事業規模によって事業環境が大きく異なるとも書いています。全国の件数を、そのまま自分の地域の見通しとして使うことはできません。

下振れ条件をシミュレーターの入力で確かめる

売上不振と人手不足は、事業計画シミュレーターの入力では、訪問件数・1回あたりの単位数・職員の月額人件費・固定費の4つで確かめられます。訪問件数を計画の7割に置いたとき、職員を採用できず1人少ないとき、といったように、入力を変えて営業利益と損益分岐の訪問件数がどう動くかを見ます。

損益分岐の訪問件数の考え方は訪問介護の損益分岐点(訪問件数)の計算式とシミュレーター前提に、人件費の割合の見方は訪問介護の人件費率67.8%(令和7年度・訪問回数階級別)にまとめています。

どの程度下がると赤字になるかは、事業所の人員や固定費で変わります。「この条件なら倒産する」という判定はできないため、計画の余裕を確かめる材料として使ってください。

調査が挙げた原因と、確かめる入力の対応
調査が挙げた背景シミュレーターで動かす入力見るところ
利用者の減少(大手との競争、ヘルパー退職による利用率の低下)訪問件数計画より件数が少ないときの営業利益と損益分岐の訪問件数
介護報酬のマイナス改定1回あたりの単位数単位数が下がったときの売上の変化
人手不足(求人難・退職)職員の月額人件費採用が遅れて人数が足りないときと、人件費が上がったときの変化
物価高(ガソリン・物品)固定費・変動費費用が増えたときの営業利益

計画に反映する順番

まず、訪問件数を計画値から2〜3段階下げて、営業利益がどこで赤字になるかを確かめます。次に、職員の採用が遅れた場合の人件費と提供できる件数を見直します。

採用の考え方は訪問介護の人員計画と採用シナリオに、運転資金は訪問介護の運転資金と資金繰りにあります。個別の計画が成り立つかどうかの判断は、このページでは行いません。

実行チェックリスト

次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。

  1. 訪問件数を計画値から2〜3段階下げてシミュレーターに入力し、営業利益が赤字になる件数を確かめる
  2. 職員の採用が遅れて人数が足りない場合と、月額人件費が上がった場合の営業利益を、別々に確かめる
  3. 1回あたりの単位数と、固定費・変動費を変えたときの営業利益の変化を確かめる
  4. 赤字になる条件が現実に起こりうる範囲かを、指定権者や金融機関への説明前に見直す。倒産の可否は判定しない

事業計画ツールで確かめる

記事で整理した前提を事業計画ツールへ入力し、基準ケースだけでなく保守ケースの結果も確認します。制度上の適否や請求額を自動判定するものではありません。

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一次資料

制度の確認に使用した公的一次資料です。個別地域の運用は指定権者で確認してください。

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