運営 / 更新 2026-11-06
居宅療養管理指導の利用料等の受領(基準第87条):自己負担・医療保険との差額・交通費
居宅療養管理指導の利用料等の受領は、指定基準の第87条にあり、4つの項で、利用者から受け取る額の決まり方、法定代理受領でない場合の医療保険との差額の禁止、交通費を受け取れる場合と受け取る前の説明と同意を定めています。訪問リハビリテーションの第78条と似ていますが、第3項の交通費は、実施地域の外に限られていません。この記事では、4つの項の中身、訪問リハビリテーションとの違い、厚生労働省の通知の読み方、運営規程と重要事項説明書の点検の進め方を、e-Gov法令検索の原文で整理します。
第87条の4つの項:自己負担、差額の禁止、交通費、説明と同意
指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第37号)の第87条は、居宅療養管理指導の利用料等の受領を定めています。e-Gov法令検索で、2026年11月6日に原文を確認しました。第1項から第4項までの定めは、次の表のとおりです。
条文は、利用料の金額そのものを定めていません。報酬の単位数や算定の要件はこの記事では扱わず、この条文が定めるのは、利用者から何を、どの場合に、どんな手続きで受け取るかです。
| 項 | 定めていること | 事業所が点検するもの |
|---|---|---|
| 第1項 | 法定代理受領サービスに該当するときは、居宅介護サービス費用基準額から居宅介護サービス費の額を控除した額の支払を、利用者から受ける | 利用者負担の計算の根拠、請求書・領収の書類 |
| 第2項 | 法定代理受領サービスに該当しないときの利用料の額と居宅介護サービス費用基準額を、医療保険の療養の給付のうち居宅療養管理指導に相当するものに要する費用の額と比べて、不合理な差額を生じさせない | 利用料の設定表、医療保険の費用との比較 |
| 第3項 | 第1項と第2項の額のほか、居宅療養管理指導の提供に要する交通費の支払を、利用者から受けることができる | 運営規程の利用料その他の費用の額の欄 |
| 第4項 | 交通費に係るサービスの提供にあたっては、あらかじめ利用者又はその家族に、サービスの内容と費用を説明し、同意を得る | 説明した日と同意の記録 |
この記事で決めること
居宅療養管理指導を行う病院・診療所・薬局の管理者が、基準第87条の4つの項が定める利用料の受け取り方、医療保険の療養の給付との差額の考え方、交通費を受け取る条件と通知の読み方を確かめ、運営規程と重要事項説明書の利用料の欄を点検するための考え方と確認順を整理します。
読み終えたら、居宅療養管理指導の利用料の点検表(1枚):第87条の第1項から第4項までを行に並べ、事業所の運営規程と重要事項説明書の該当する記載、利用料の計算の根拠、利用者への説明の記録を書き込む表を作成できる状態を目指します。
第1項と第2項:法定代理受領サービスの自己負担と、医療保険との差額
第1項は、法定代理受領サービスに該当する居宅療養管理指導を提供したとき、利用者から利用料の一部として、居宅介護サービス費用基準額から、事業者に支払われる居宅介護サービス費の額を控除して得た額の支払を受けるものとする、と定めています。利用者が支払う額は、この控除で決まります。
第2項は、法定代理受領サービスに該当しない居宅療養管理指導を提供したときに利用者から受け取る利用料の額と、居宅介護サービス費用基準額の2つを、健康保険法第63条第1項又は高齢者の医療の確保に関する法律第64条第1項に規定する療養の給付のうち、居宅療養管理指導に相当するものに要する費用の額と比べて、不合理な差額が生じないようにしなければならない、と定めています。
訪問介護の第20条第2項が利用料の額と比べる相手は、居宅介護サービス費用基準額です。居宅療養管理指導の第87条第2項は、訪問リハビリテーションの第78条第2項と同じく、居宅介護サービス費用基準額に加えて、医療保険の療養の給付に相当する費用の額とも比べます。医療機関や薬局が行うサービスで、医療保険にも同じ種類の給付があることが背景にあると考えられますが、条文は理由を書いていません。
第3項と第4項:交通費は、実施地域の外に限られていない
第3項は、第1項と第2項の支払を受ける額のほか、居宅療養管理指導の提供に要する交通費の額の支払を利用者から受けることができる、と定めています。訪問リハビリテーションの第78条第3項は、利用者の選定により通常の事業の実施地域以外の地域の居宅で行う場合に限っています。第87条第3項には、この限定が書かれていません。
第4項は、その費用に係るサービスの提供にあたって、あらかじめ、利用者又はその家族に、サービスの内容と費用について説明を行い、利用者の同意を得なければならないと定めています。交通費を受け取るなら、金額の決め方を運営規程と重要事項説明書にそろえて書き、説明した日と同意を得た記録を残します。
運営規程の記載事項(第90条)は、第4号が指定居宅療養管理指導の種類及び利用料その他の費用の額、第5号が通常の事業の実施地域です。訪問リハビリテーションとあわせた7項目の一覧は訪問リハビリテーション・居宅療養管理指導の運営規程の7項目で扱っています。
厚生労働省の通知の読み方:第3項の交通費は実施地域内も含み、あいまいな名目は認めない
老企第25号(厚生労働省の解釈通知)の居宅療養管理指導の利用料等の受領の項は、第87条の各項について次のように書いています。第1項と第4項は、第20条の第1項と第4項と同趣旨であるため、訪問介護の項を参照すること。第2項は、第66条第2項と基本的に同趣旨であるため、訪問看護の項を参照すること。
この通知は、厚生労働省のサイトに掲載されている版で、2026年11月6日に確認しました。
第3項について通知は、前2項の利用料のほかに、居宅療養管理指導の提供に要する交通費(通常の事業の実施地域内の交通費を含む。)の額の支払を利用者から受けることができることとし、保険給付の対象となっているサービスと明確に区分されないあいまいな名目による費用の徴収は認めないこととしたものだと説明しています。条文の第3項に実施地域の限定がないことは、通知でも、実施地域内の交通費を含むと明記されています。
この版は、保健婦・看護婦といった旧い職種名など、現行と異なる記載を含み、最新の改正が反映されていない可能性があります。自己負担の割合や数字に関わる点は、通知の古い記載をそのまま使わず、現行の省令と告示、指定権者の案内で確かめてください。
点検の進め方:運営規程・重要事項説明書・利用料の設定表をそろえる
点検は、第87条の4つの項を表の行に並べ、行ごとに、運営規程(第90条第4号の利用料その他の費用の額)と重要事項説明書の該当する記載の位置を書くところから始めます。記載がない行は、書き足す項目になります。第2項については、法定代理受領サービスでない場合の利用料の設定表を作り、利用料の額と居宅介護サービス費用基準額が、医療保険の療養の給付に相当する費用の額と比べて、不合理な差額になっていないかを確かめます。
何をもって不合理な差額とするかの基準は、条文にはありません。個別の料金設定が適切かの判断は、この記事ではできないので、指定権者の案内で確かめてください。訪問リハビリテーションの同じ条文との読み比べは訪問リハビリテーションの利用料等の受領(基準第78条):自己負担・医療保険との差額・交通費で、訪問介護の第20条は訪問介護の利用料等の受領で整理しています。
この記事で確認した範囲と、次に知りたいこと
2026年11月6日に、e-Gov法令検索で、指定基準の第20条、第78条、第87条、第90条の原文を確認しました。あわせて、厚生労働省が掲載する老企第25号の、居宅療養管理指導の利用料等の受領の項を確認しました。
不合理な差額の具体的な判断、領収証の様式、保険外の費用の扱い、自治体独自の取扱いは、この記事では確認していません。指定権者の案内で確かめてください。取扱方針は居宅療養管理指導の取扱方針(基準第88条・第89条)に、記録の保存は居宅療養管理指導の記録の整備(基準第90条の2)に、報酬の単位数は居宅療養管理指導の報酬の単位数にまとめています。
実行チェックリスト
次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。
- e-Gov法令検索で指定基準の第87条を開き、第1項から第4項までの定めを表の行として書き写す
- 行ごとに、運営規程(第90条第4号の利用料その他の費用の額)と重要事項説明書の該当する記載の位置を書き込み、記載がない行には書き足す項目を書く
- 法定代理受領サービスでない居宅療養管理指導の利用料の設定表を作り、職種ごとの利用料が、医療保険の療養の給付に相当する費用の額と比べて不合理な差額になっていないか、行ごとに確かめて印を付ける
- 交通費を受け取る場合の金額の決め方と、事前の説明と同意の記録の様式を決め、指定権者の案内で細かな扱いを確かめて、見直す日を決める
一次資料
個別地域の運用は指定権者で確認してください。
- 厚生労働省「指定居宅サービス等及び指定介護予防サービス等に関する基準について(平成11年9月17日老企第25号厚生省老人保健福祉局企画課長通知)」(第三 訪問介護に関する基準)(確認日 2026-10-04)
- デジタル庁(e-Gov法令検索)「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(第九十六条 通所介護の利用料等の受領、第百条 通所介護の運営規程、第百三条 非常災害対策、第百五条 準用、第三十七条の二 虐待の防止)」(第八条、第三十二条、第九十六条、第九十七条、第九十八条、第百条、第百三条、第百四条の四、第百五条、第三十七条の二)(確認日 2026-10-24)