参入判断 / 更新 2026-10-14

訪問介護の開業初期の赤字を引き継ぐ青色欠損金の繰越控除:10年の期限と条件

訪問介護を法人で開業すると、指定を受けて利用者が増えるまでの立ち上がりの期間は、費用が収入を上回る赤字になりやすくなります。このページは、国税庁のタックスアンサー No.5762をもとに、その赤字を後の黒字の年に引ける青色欠損金の繰越控除の、繰越期間、条件、中小法人の扱い、控除の順序を整理します。

事務机に置かれたノートパソコンと書類・手帳の写真

この記事で決めること

訪問介護を法人で開業する代表者が、指定を受けて売上が立つまでの赤字を、後の黒字の年に法人税の所得から引ける青色欠損金の繰越控除の、繰越期間、使える条件、中小法人の扱い、控除の順序を、国税庁の資料で確認するための考え方と確認順を整理します。

読み終えたら、欠損金の引き継ぎ管理表(事業年度、青色申告書の提出の有無、欠損金額、使った額、残りの額)を作成できる状態を目指します。

赤字を後の黒字から引ける仕組み

国税庁の資料によると、確定申告書を出す法人は、各事業年度の開始の日前10年以内に開始した事業年度で、青色申告書を出した年度に生じた欠損金額を、その事業年度の所得金額の計算上、損金に算入できます。赤字の年を翌年以降の黒字と相殺して、法人税の対象になる所得を小さくできる仕組みです。

国税庁の資料の例では、繰越欠損金が150万円、その事業年度の控除前の所得金額が100万円のとき、150万円のうち100万円が損金に算入され、その事業年度の所得金額は0になります。残りの50万円は、繰越期間内であれば、次の事業年度以降に使えます。

繰越期間は10年

繰越期間は、使う事業年度の開始の日前10年以内に開始した事業年度に生じた欠損金額です。国税庁の資料は、平成30年4月1日前に開始した事業年度に生じた欠損金額の繰越期間は9年だと注記しています。

訪問介護の開業初期の赤字は、事業が軌道に乗った後の黒字の年に使うことになります。何年目の赤字をいつまで使えるかは、事業年度ごとに残りを管理しておく必要があります。

使うための条件:青色申告書の提出

国税庁の資料は、繰越控除をする法人を、欠損金額が生じた事業年度に青色申告書である確定申告書を出し、その後の各事業年度も連続して確定申告書を出し、一定の帳簿書類を保存している法人としています。赤字の年に白色で出していると、その赤字は引き継げません。

欠損金額が生じた事業年度に青色申告書を出していれば、その後の事業年度に出した確定申告書が白色申告書でも、その欠損金額は繰越控除の対象になります。青色申告の承認申請書の期限は「訪問介護を法人で開業したときの税務署への届出:青色申告の承認申請書の期限」で整理しています。

控除できる額と順序

国税庁の資料によると、中小法人等以外の法人は、損金に算入できる額の限度が、繰越控除前の所得金額に対して平成30年4月1日以後に開始する事業年度は100分の50とされています。この割合は中小法人等以外の法人の限度として示されたもので、中小法人等については、資料の例のとおり控除前の所得金額までを限度とする書き方になっています。中小法人等は、資本金の額が1億円以下の普通法人などです。

更生手続開始の決定があった法人や新設法人の一定の事業年度を除く定めが資料にありますが、このページでは確認していません。

欠損金が2つ以上の事業年度にある場合は、最も古い事業年度に生じたものから順に損金に算入します。同じ資本金1億円以下の法人でも、100パーセント子法人等など一定の場合は中小法人等から除かれるので、自分の法人が当たるかは税理士に確認してください。

開業計画への入れ方

開業初期の赤字の見込みは「訪問介護の開業費用」と「訪問介護の資金繰り」で見積もれます。繰越控除で減るのは税金で、赤字の期間の運転資金そのものは減らないので、資金繰りは別に確保します。

赤字でも払う税金は「訪問介護を法人で開業すると赤字でもかかる法人住民税の均等割:区分と年額の目安」、役員報酬の決め方は「訪問介護を法人で開業したときの役員報酬:定期同額給与と、途中で変えられる場合」で扱っています。

このページの範囲

このページが確認したのは、国税庁のタックスアンサー No.5762(令和8年4月1日現在法令等、2026-10-14に取得)です。法人住民税や法人事業税での欠損金の扱い、欠損金の繰戻しによる還付、特定支配関係がある場合の制限は、このページでは確認していません。

個別の法人の欠損金額の計算、控除額、申告書の書き方は判断しません。顧問税理士か税務署に確認してください。

実行チェックリスト

次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。

  1. 事業年度ごとに行を作り、その年度の確定申告書を青色申告書で出したかどうかを書く
  2. 赤字になった事業年度は、申告書に出た欠損金額を表に写し、使える期限(開始の日前10年以内)の目安を書き込む
  3. 黒字になった事業年度は、古い年度の欠損金から順に所得金額から引き、使った額と残りの額を書く
  4. 帳簿書類を保存しているか、毎年確定申告書を出しているかを確認し、控除額の最終判断は顧問税理士に確認する

一次資料

個別地域の運用は指定権者で確認してください。

次に読む: 訪問介護を法人で開業したときの税務署への届出:青色申告の承認申請書の期限 →