運営 / 更新 2026-10-19
訪問介護の利用料と医療費控除:身体介護・生活援助中心型の扱いと医療系サービスとの併用条件
利用者や家族から、訪問介護の利用料は医療費控除の対象になるかと聞かれることがあります。国税庁のタックスアンサーNo.1127は、居宅サービスの種類ごとに、対象になるもの、医療系サービスと併せて使う場合のみ対象になるもの、対象外のものを分けています。このページは、その整理のうち訪問介護に関わる部分と、判断に使われる書類、事業所が案内できる範囲を整理します(個々の控除額や申告の可否は、税務署や税理士に確認します)。
国税庁の整理:訪問介護は3つに分かれる
国税庁は、居宅サービスの対価のうち、看護や医学的管理の下における療養上の世話などに相当する部分の自己負担額を、医療費控除の対象としています。この考え方に沿って、サービスの種類ごとに対象かどうかを表にまとめています(令和8年4月1日現在法令等のページ)。
表の①は、単独で対象になるサービスで、訪問看護、訪問リハビリテーション、居宅療養管理指導などの医療系サービスです。表の②は、①と併せて利用する場合のみ対象になるサービスで、訪問介護(生活援助中心型を除く)、訪問入浴介護、通所介護、短期入所生活介護などが入ります。表の③は対象外のサービスで、訪問介護(生活援助中心型)や福祉用具貸与などが入ります。
つまり、同じ訪問介護でも、生活援助中心型を除くものは「医療系サービスと併せて利用する場合のみ対象」、生活援助(調理、洗濯、掃除などの家事の援助)が中心のものは「対象外」です。訪問介護の身体介護と生活援助の区分は、訪問介護で行える範囲と行えない範囲で整理しています。
この記事で決めること
訪問介護事業所の運営者・サービス提供責任者が、利用者や家族から訪問介護の利用料は医療費控除の対象になるかと聞かれたときに、国税庁の整理(身体介護・生活援助中心型・医療系サービスとの併用)と、判断に使うサービス利用票・領収証の見方を確かめるための考え方と確認順を整理します。
読み終えたら、医療費控除の問い合わせ対応メモ(利用者の訪問介護の区分、その月のサービス提供票に医療系サービスがあるか、領収証の対象額の記載、税務署・担当の介護支援専門員への案内文)を作成できる状態を目指します。
「医療系サービスと併せて利用する」とは何を指すか
国税庁は、「併せて利用した場合」を、1か月単位のケアプランに医療系サービスが位置付けられている場合としています。判断は、居宅介護支援事業者から交付される「サービス利用票」に、医療系サービスが記載されているかどうかで行うと説明しています。
訪問介護事業所には、居宅介護支援事業者からサービス利用票と同じ内容の「サービス提供票」が交付されると、国税庁は書いています。そのため、事業所が自分のサービス提供票を見れば、その月のケアプランに訪問看護などの医療系サービスが含まれているかを確かめられます。ただし、控除の対象になるかを決めるのは申告する本人で、最終的な判断は税務署の見解によります。
医療系サービスと併せて利用しない月は、身体介護の利用料も医療費控除の対象になりません。同じ利用者でも、月によって医療系サービスの利用の有無が変われば、対象かどうかが月ごとに変わります。
喀痰吸引等・おむつ代・高額介護サービス費の扱い
上の表の注2は、②のサービスを医療系サービスと併せずに利用する場合と、③のサービスで、介護福祉士等が喀痰吸引等を行ったときの対価について、居宅サービスの対価として支払った金額の10分の1に相当する金額を医療費控除の対象としています。喀痰吸引等の範囲は介護福祉士による喀痰吸引等で扱っています。
注1は、おむつ代について、医師等が発行するおむつ使用証明書がある場合に限り対象になると説明しています。市町村が主治医意見書の内容を確認した書類や、主治医意見書の写しがあれば、証明書に代えられる場合があるとも書いています。
注4は、高額介護サービス費として払戻しを受けた場合は、その額を医療費の金額から差し引いて控除額を計算するとしています。払戻しの仕組みは高額介護サービス費で扱っています。
事業所が利用者に案内できること
国税庁は、居宅サービス事業者等が発行する領収証には、基本的に医療費控除の対象となる金額が記載されることになっていると書いています。領収証の交付義務と費用の区分記載は訪問介護の利用料の領収証:交付義務と費用の区分記載、医療費控除との関係で整理しています。利用者から控除について聞かれたときは、領収証に記載された対象額を確かめてもらうよう案内します。
事業所が行ってよいのは、国税庁のページの案内と、自社が発行した領収証の記載の説明までです。この利用者の控除額がいくらになるか、申告で認められるかは、税務署の相談窓口や税理士に確認するよう案内し、事業所が断定しません。
ケアプランに医療系サービスが入っているかどうかは、担当の介護支援専門員が最もよく知っています。利用者から聞かれた場合は、ケアマネジャーとの連携の窓口で、サービス利用票の内容を確かめてもらうとよい場合があります。
この記事で確認した範囲
国税庁のタックスアンサーNo.1127(令和8年4月1日現在法令等)の本文を、2026-10-19に確認しました。表のうち訪問介護に関わる部分と、注1・注2・注4、「併せて利用する場合」の説明を扱っています。注に引かれた法令解釈通達や個人課税課情報の本文は読んでいません。
医療費控除の要件、控除額の計算、保険金で補填される金額の扱い、確定申告の手続きは扱っていません。
実行チェックリスト
次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。
- 問い合わせを受けたら、その利用者の訪問介護が身体介護を含むものか、生活援助中心型かを訪問介護計画とサービス提供記録で確かめる
- その月のサービス提供票に、訪問看護などの医療系サービスが記載されているかを確かめ、記載がなければ併用の条件を満たさない月がある旨を案内する
- 自社が発行した領収証の、医療費控除の対象となる金額の欄の記載を確かめて説明し、控除額の計算や申告の可否は税務署の相談窓口か税理士に確認するよう案内する
- 喀痰吸引等を行っている場合やおむつ代、高額介護サービス費の払戻しがある場合は、国税庁のタックスアンサーNo.1127の該当の注を示し、扱いは税務署に確認するよう案内する
一次資料
個別地域の運用は指定権者で確認してください。
- 国税庁「タックスアンサー No.1127 医療費控除の対象となる介護保険制度下での居宅サービス等の対価」(確認日 2026-10-19)