運営 / 更新 2026-10-24
登録喀痰吸引等事業者の登録後の手続き:変更届・廃止届・取消し・業務停止
介護福祉士が訪問介護で喀痰吸引(吸引)等を行う事業所は、登録を受けたあとも、登録した内容が変わると届出が要り、基準を満たさなくなると登録の取消しや業務の停止を命じられることがあります。社会福祉士及び介護福祉士法は、事業所の名称・所在地や代表者の変更は「あらかじめ」、喀痰吸引等を行う介護福祉士の氏名の変更は「遅滞なく」届け出ると定めています(第48条の6)。この記事は登録後の届出と取消し等の規定を条文の順に整理し、登録の基準と申請の添付書類は訪問介護の吸引を行える職員の条件・研修の区分・事業者登録の違いで扱っています。
登録後に出てくる手続きは、変更の届出・廃止の届出・取消し等の3つ
社会福祉士及び介護福祉士法の第48条の3は、介護福祉士が行う喀痰吸引等の業務を行おうとする者に、事業所ごとに、その所在地を管轄する都道府県知事の登録を求めています。登録を受けた者は、同法第48条の6で「登録喀痰吸引等事業者」と呼ばれます。登録のあとの規定は、第48条の6(変更等の届出)、第48条の7(登録の取消し等)、第48条の8(公示)、第48条の9(準用)に置かれています。
この記事が扱うのは、介護福祉士が喀痰吸引等を行う場合の登録喀痰吸引等事業者です。認定特定行為業務従事者(研修を受けて認定証の交付を受けた介護職員)が行う場合の事業者の登録は、法の附則で別に定められており、その実施体制は認定特定行為業務従事者が訪問介護で喀痰吸引等を行うための実施体制で整理しています。
訪問介護の指定を受けた事業所が、名称や所在地を変えるときの届出は、介護保険法に基づく別の手続きです。この記事の届出は喀痰吸引等業務の登録についての届出で、提出先が同じ都道府県であっても、手続きは別になります。
この記事で決めること
介護福祉士に喀痰吸引等を行わせる訪問介護事業所が、登録喀痰吸引等事業者になったあとに必要な変更の届出(あらかじめ・遅滞なく)、廃止の届出、登録の取消し・業務停止の事由を知りたい人向け。ための考え方と確認順を整理します。
読み終えたら、喀痰吸引等業務の登録後の届出管理表(1枚):登録した事項、変更が決まった日、届出の時期(あらかじめ・遅滞なく)、届出日、介護福祉士の一覧を作成できる状態を目指します。
変更の届出は「あらかじめ」と「遅滞なく」に分かれる(法第48条の6第1項)
法第48条の6第1項は、変更を2つに分けています。法第48条の3第2項の第1号から第3号までの事項、つまり氏名または名称・住所(法人は代表者の氏名を含む)、事業所の名称・所在地、喀痰吸引等業務の開始の予定年月日を変えようとするときは、あらかじめ届け出ます。第4号の厚生労働省令で定める事項に変更があったときは、遅滞なく届け出ます。
第4号の事項は、施行規則第26条の2第2項が、喀痰吸引等を行う介護福祉士の氏名と定めています。そのため、介護福祉士が加わったり退職したりして、喀痰吸引等を行う介護福祉士の顔ぶれが変わったときは、変更があった後に遅滞なく届け出る事項にあたります。事業所の名称・所在地や代表者の変更は、変更する前に届け出る必要があります。
「遅滞なく」が何日以内かは、法第48条の6と施行規則第26条の2・第26条の3に日数の定めがありません。届出の様式や添付書類、受付の窓口も、これらの条文には書かれていないため、事業所の所在地の都道府県に確認してください。
| 変わること | 届出の時期 | 根拠 |
|---|---|---|
| 氏名または名称・住所、法人の代表者の氏名 | あらかじめ(変更しようとするとき) | 法第48条の6第1項、第48条の3第2項第1号 |
| 事業所の名称・所在地 | あらかじめ(変更しようとするとき) | 法第48条の6第1項、第48条の3第2項第2号 |
| 喀痰吸引等業務の開始の予定年月日 | あらかじめ(変更しようとするとき) | 法第48条の6第1項、第48条の3第2項第3号 |
| 喀痰吸引等を行う介護福祉士の氏名 | 遅滞なく(変更があったとき) | 法第48条の6第1項、第48条の3第2項第4号、施行規則第26条の2第2項 |
| 喀痰吸引等業務を行う必要がなくなったとき | 遅滞なく(廃止の届出) | 法第48条の6第2項 |
廃止の届出をすると、登録は効力を失う(法第48条の6第2項・第3項)
登録喀痰吸引等事業者は、喀痰吸引等業務を行う必要がなくなったときは、遅滞なく、その旨を都道府県知事に届け出ます(第48条の6第2項)。この届出があると、その事業者の登録は効力を失います(同条第3項)。喀痰吸引等を行っていた介護福祉士が全員退職し、事業所として行わなくなる場合などが考えられます。
登録が失効すると、その事業所では、登録に基づいて介護福祉士が喀痰吸引等を行うことはできなくなります。利用者に喀痰吸引等が必要なときの対応は、ケアマネジャーや主治医と事前に話し合っておくと安全です。再び行う場合に新たな登録の申請が要るかどうかは、都道府県に確認してください。
登録を取り消される・業務の停止を命じられる4つの場合(法第48条の7)
都道府県知事は、登録喀痰吸引等事業者が次のいずれかに当たるとき、登録を取り消し、または期間を定めて喀痰吸引等業務の停止を命ずることができます(第48条の7)。第1号は、欠格条項(第48条の4)のうち、第3号を除く各号に当たるようになったときです。第2号は、登録基準の3つの要件(第48条の5第1項)に適合しなくなったときです。
第3号は変更の届出(前条第1項)をせず、または虚偽の届出をしたとき、第4号は虚偽または不正の事実に基づいて登録を受けたときです。第3号があるため、「あらかじめ」「遅滞なく」の届出の漏れは、取消しや停止の事由に挙がっています。ただし、条文は「できる」と書いており、個別の事案でどの処分になるかは、都道府県の判断です。
第2号の登録基準は、施行規則第26条の3が定めています。医師の文書による指示、医師や看護職員との連携、計画書と報告書の作成、緊急時の連絡方法、安全委員会の設置、実地研修を修了していない介護福祉士には行わせないことなどです。これらの体制が崩れたまま続けると、取消し等の事由に当たる可能性があります。
欠格条項は、登録するときだけでなく、登録後の取消し事由にもなる(法第48条の4)
欠格条項(第48条の4)は4つあります。拘禁刑以上の刑を終えて2年を経過しない者、社会福祉または保健医療に関する法律の規定で政令で定めるものによる罰金刑を終えて2年を経過しない者、第48条の7で登録を取り消されて2年を経過しない者、法人でその業務を行う役員のうちにこれらの者がいる場合です。
法人の場合は、役員に該当する者がいると、法人が登録を受けられません。第48条の7第1号は、登録を取り消されて2年を経過しない者(第3号)を除く各号に当たるようになったことを、取消し等の事由にしています。役員の交代があったときは、新しい役員が欠格条項に当たらないかも確認します(訪問介護の指定の欠格事由は第七十条第二項の欠格事由で扱っています)。
公示と、都道府県知事による報告・立入検査(法第48条の8・第48条の9)
都道府県知事は、登録をしたとき、氏名・名称・住所または事業所の名称・所在地に関する変更の届出があったとき、廃止の届出があったとき、登録を取り消しまたは業務の停止を命じたときに、その旨を公示します(第48条の8)。喀痰吸引等を行う介護福祉士の氏名の変更や、開始の予定年月日の変更は、条文が挙げる公示の場合には入っていません。
第48条の9は、法第19条(報告)と第20条(立入検査)を登録喀痰吸引等事業者に準用し、「厚生労働大臣」を「都道府県知事」と読み替えるとしています。条文の文言どおり読むと、必要があるときに報告をさせ、事務所に立ち入って帳簿や書類を検査し、関係者に質問できる規定が、登録喀痰吸引等事業者にも及ぶことになります。実際の運用は、都道府県に確認してください。
事業所で確認すること:勤務体制の変更と届出の時期を結びつける
届出の漏れを防ぐには、喀痰吸引等を行う介護福祉士の一覧を、勤務表と同じ周期で見直すのが現実的です。介護福祉士の追加や退職があった月に、変更があったことを確認し、遅滞なく届け出る流れを決めておきます。事業所の移転や代表者の変更が決まったときは、実行の前に届け出る必要があるため、訪問介護の事業所移転の届出などの訪問介護の側の手続きと日程を並べて管理します。
訪問介護の指定に関する変更の届出先は変更届の提出先で整理しています。喀痰吸引等業務の登録の届出は、これとは別に必要になる点を、手続きの一覧に書いておくと抜けにくくなります。
資料の範囲
社会福祉士及び介護福祉士法の第48条の3から第48条の9まで、第19条・第20条、および施行規則の第26条の2・第26条の3は、2026年10月24日にe-Gov法令検索で確認しました。届出の様式、日数、登録の有効期間や更新は、確認した条文に定めがないため、この記事では書いていません。
登録の可否や、届出の要否の個別の判断を代わりに行う記事ではありません。事業所ごとの手続きは、事業所の所在地を管轄する都道府県に確認してください。
実行チェックリスト
次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。
- 登録申請書に書いた事項(名称・住所・代表者、事業所の名称・所在地、開始の予定年月日、喀痰吸引等を行う介護福祉士の氏名)を一覧に写し、変更が出たときに照らせる状態にする
- 事業所の名称・所在地、代表者の変更が決まったら、変更する日より前に届け出る予定日を管理表に書き、訪問介護の指定の変更届の日程と並べる
- 介護福祉士の追加・退職があった月に、喀痰吸引等を行う介護福祉士の一覧を更新し、変更があった後に遅滞なく届け出た日を記録する
- 行う必要がなくなったときの廃止の届出、役員の交代時の欠格条項の確認、登録基準の体制(医師の指示・連携・安全委員会)の点検を、年1回の見直しに入れて、様式と日数は都道府県に確認した結果を残す
一次資料
個別地域の運用は指定権者で確認してください。
- 厚生労働省(法律・省令)「社会福祉士及び介護福祉士法 第2条第2項・第48条の2〜第48条の5・社会福祉士及び介護福祉士法施行規則 第1条・第26条の2・第26条の3」(確認日 2026-09-30)
- e-Gov法令検索(デジタル庁)「社会福祉士及び介護福祉士法 第48条の3〜第48条の9・第19条・第20条(喀痰吸引等業務の登録後の届出・取消し・公示・準用)」(法第48条の4(欠格条項)、第48条の6(変更等の届出)、第48条の7(登録の取消し等)、第48条の8(公示)、第48条の9(準用)、第19条・第20条)(確認日 2026-10-24)