運営 / 更新 2026-10-22
訪問介護の収支差率:サ高住・有料老人ホーム等への訪問が8割以上の事業所は7.8%
訪問介護の収支差率は、厚生労働省の令和7年度介護事業経営概況調査(令和6年度決算)で、延べ訪問回数のうちサービス付き高齢者向け住宅・有料老人ホームなどへの訪問が占める割合が20%未満の事業所は10.6%、80%以上の事業所は7.8%です。5つの区分の値と有効回答数、読み方の注意、自事業所の割合の出し方を整理します。
調査の概要と、表の数字の読み方
第94表は、延べ訪問回数にサービス付き高齢者向け住宅、養護老人ホーム、軽費老人ホーム、有料老人ホームが占める割合(以下、サ高住等の割合)を5つの区分に分け、訪問系サービスの種類別に収支差率を示した表です。サ高住等の割合は令和7年4月の1か月分の実績で、収支差率は令和6年度決算の値です。割合を見た月と決算の期間が異なる点に注意が必要です。
表には、税引前収支差率(コロナ・物価関連の補助金を含まない)、同(含む)、税引後収支差率(含む)の3種類と、有効回答数が並びます。この記事では、補助金を含まない税引前収支差率を中心に読み、ほかの2種類は表で並べます。訪問介護の全体の値は9.6%で、読み方は訪問介護の利益率と収支差率の違いで整理しています。
この表は調査に回答した事業所の集計値です。自事業所の収支や、開業後の利益を示すものではありません。
この記事で決めること
訪問介護の事業計画を作る事業者が、延べ訪問回数のうちサービス付き高齢者向け住宅・有料老人ホームなどの利用者宅への訪問が占める割合の区分ごとに、令和6年度決算の収支差率と有効回答数を確かめ、利用者の居住先の偏りを計画に入れるときの読み方を知るための考え方と確認順を整理します。
読み終えたら、利用者の居住先の偏りの確認表(月の延べ訪問回数、サ高住・有料老人ホーム等への訪問回数、その割合、近い区分の全国の収支差率と有効回答数、確認メモ)を作成できる状態を目指します。
サ高住等の割合の区分別の収支差率(令和6年度決算・第94表)
補助金を含まない税引前収支差率は、サ高住等の割合が20%未満の区分で10.6%、20%以上40%未満で9.7%、40%以上60%未満で8.6%、60%以上80%未満で11.0%、80%以上で7.8%です。20%未満と80%以上の差は2.8ポイントです。
有効回答数は、20%未満が421、80%以上が119と多い一方で、20%以上40%未満は23、40%以上60%未満は28、60%以上80%未満は16と少なくなっています。少ない区分は1つの事業所の値で平均が動きやすいため、60%以上80%未満が最も高い11.0%であることをもって、割合が高いほど有利とは読めません。割合が高いほど収支差率が下がる、とも表からは読み取れません。
| 区分 | 20%未満 | 20%以上40%未満 | 40%以上60%未満 | 60%以上80%未満 | 80%以上 |
|---|---|---|---|---|---|
| 税引前収支差率(補助金を含まない) | 10.6% | 9.7% | 8.6% | 11.0% | 7.8% |
| 税引前収支差率(補助金を含む) | 10.7% | 9.8% | 8.7% | 11.2% | 7.9% |
| 税引後収支差率(補助金を含む) | 10.3% | 9.7% | 7.8% | 10.0% | 7.1% |
| 有効回答数 | 421 | 23 | 28 | 16 | 119 |
読むときの注意
この表からは、収支差率の違いの理由は分かりません。表は事業所の規模、地域、職員の構成などを分けておらず、サ高住等の割合以外の違いも混ざっています。差が出る原因を表から決めつけず、自事業所の数字で確かめることが必要です。
表のサ高住等の割合は、調査のために区分した割合です。同一建物減算に当たるかどうかの判定には使えません。減算の対象になる範囲と減算率は、ページ末尾の関連リンクにある同一建物減算の記事で確認してください。
サ高住等の入居者への訪問が多い場合の、囲い込みと見られない線引きは、住宅型有料老人ホーム・サ高住の入居者への訪問介護で整理しています。
自事業所の計画に使うときの確認点
自事業所の割合は、月の延べ訪問回数のうち、サ高住・有料老人ホーム・養護老人ホーム・軽費老人ホームの利用者宅への訪問回数を、月の延べ訪問回数で割って出します。たとえば、延べ訪問回数が600回で、そのうち270回が該当する架空の計画では45%で、調査の40%以上60%未満の区分に当たります。この区分の収支差率は8.6%ですが、有効回答数が28と少ないため、参考にとどめます。
計画では、サ高住等の割合を1つの前提として置き、その割合が変わったときの売上と移動時間を別に試算します。全国の値は、自事業所の見通しを保証するものではありません。減算の扱いや、実際の指定の判断は、指定権者に確認してください。
移動の条件による収支差率の違いは訪問介護の移動手段・移動時間別の収支差率、事業所の規模による違いは訪問介護の事業所規模別の収支比較で確認できます。
実行チェックリスト
次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。
- 月の延べ訪問回数を、サ高住・有料老人ホーム・養護老人ホーム・軽費老人ホームの利用者宅への訪問と、それ以外の自宅などへの訪問に分けて数える
- 施設・住宅への訪問回数を月の延べ訪問回数で割り、調査の5区分のうち自事業所の割合が入る区分を選ぶ
- その区分の収支差率と有効回答数を並べて記録し、有効回答数が少ない区分は参考にとどめる
- 割合が高い場合は、同一建物減算の判定と利用者が事業所を選べる状態の説明を別に確認し、計画の売上の前提を見直す
関連ガイドで計画をつなぐ
隣接する判断をつなぎ、記事単体で計画を止めないためのガイドです。
よくある質問
迷いやすい範囲と確認順を、質問ごとに整理します。
サ高住や有料老人ホームへの訪問が多い訪問介護事業所は、収支差率が低いのですか?
表からは言い切れません。厚生労働省の令和7年度介護事業経営概況調査(令和6年度決算)では、税引前収支差率(補助金を含まない)が、サ高住等への訪問が20%未満の区分で10.6%、80%以上の区分で7.8%です。ただし20%以上80%未満の3区分は有効回答数が23、28、16と少なく、順に下がる形にはなっていません。
サ高住等への訪問の割合は、同一建物減算の判定に使えますか?
使えません。この表の割合は、延べ訪問回数にサービス付き高齢者向け住宅・養護老人ホーム・軽費老人ホーム・有料老人ホームが占める割合を調査で区分したものです。同一建物減算に当たるかは別の基準で決まるため、判定は同一建物減算の記事と指定権者への確認で行います。
自事業所のサ高住等への訪問の割合はどう出しますか?
月の延べ訪問回数のうち、サ高住・有料老人ホーム・養護老人ホーム・軽費老人ホームの利用者宅への訪問回数を、月の延べ訪問回数で割ります。たとえば延べ訪問回数が600回で、そのうち270回なら45%で、調査の40%以上60%未満の区分に当たります。
一次資料
個別地域の運用は指定権者で確認してください。
- 厚生労働省老健局老人保健課「令和7年度介護事業経営概況調査結果(令和7年度介護事業実態調査)」(確認日 2026-10-22)