運営 / 更新 2026-10-20
短期入所生活介護の指定基準:利用定員は原則20人以上・介護・看護職員は3人ごとに1以上
短期入所生活介護は、介護が必要な人が短期間、施設に泊まって介護や日常生活上の世話を受けるサービスで、指定は都道府県知事が行います。この記事は、訪問介護の事業者がこのサービスを事業に加えることを考えるときに、指定居宅サービス基準第121条〜第124条を読み、従業者・管理者・利用定員・設備の決まりを訪問介護の基準と比べるための整理です。
指定するのは都道府県知事:訪問介護と同じ居宅サービスの基準
介護保険法第41条第1項は、居宅介護サービス費の対象を、都道府県知事が指定する者(指定居宅サービス事業者)から受けた居宅サービスと定めています。短期入所生活介護も、訪問介護と同じ指定居宅サービス基準の中にあり、市町村長が指定する地域密着型サービスではありません。
基準第120条の基本方針は、要介護状態となった場合でも、利用者が可能な限りその居宅で能力に応じた自立した日常生活を営めるようにする事業と位置づけています。訪問介護は利用者の居宅へ訪問するサービスで、短期入所生活介護は利用者が事業所に泊まるサービスです。人員も設備も別の組み立てになります。
この記事で決めること
訪問介護の事業者が短期入所生活介護を事業に加えることを考えるときに、指定する者、医師・生活相談員・介護職員または看護職員・栄養士・機能訓練指導員・管理者・利用定員・設備の基準を条文で確かめ、訪問介護の基準との違いと自社で足りない点を洗い出すための考え方と確認順を整理します。
読み終えたら、短期入所生活介護の基準チェック表(事業所の所在する都道府県と担当窓口・単独型か併設事業所かの区分・利用定員の見込み・必要な生活相談員と介護職員または看護職員の数・常勤の者の見込み・医師と栄養士または管理栄養士と機能訓練指導員の確保の方法・管理者の候補・居室と食堂・機能訓練室・浴室・医務室などの設備の見込み・都道府県に確かめた日と回答)を作成できる状態を目指します。
従業者の員数:医師・生活相談員・介護職員または看護職員・栄養士・機能訓練指導員
基準第121条第1項は、事業所ごとに置く従業者を6つに分け、医師は1以上です。生活相談員は、常勤換算方法で、利用者の数が100又はその端数を増すごとに1以上です。介護職員又は看護職員(看護師・准看護師)は、常勤換算方法で、利用者の数が3又はその端数を増すごとに1以上です。
栄養士又は管理栄養士は1以上、機能訓練指導員は1以上で、調理員その他の従業者は事業所の実情に応じた適当数です。利用定員が40人を超えない事業所は、他の社会福祉施設等の栄養士又は管理栄養士と連携でき、利用者の処遇に支障がない場合は、栄養士又は管理栄養士を置かないことができます。
第3項は、利用者の数を前年度の平均値とし、新規に指定を受ける場合は推定数によるとしています。第2項は、特別養護老人ホームの空いている居室を使う場合の員数を、利用者を入所者とみなした場合に特別養護老人ホームとして必要とされる数としています。この記事は、老人福祉法の特別養護老人ホームの基準そのものは読んでいません。
常勤・看護職員・兼務の決まり
第5項は、生活相談員のうち1人以上を常勤とし、介護職員又は看護職員のうち1人以上も常勤とします。利用定員が20人未満の併設事業所では、生活相談員・介護職員・看護職員のいずれも常勤で配置しないことができます。併設事業所とは、特別養護老人ホームや病院、診療所、介護老人保健施設などに併設され、一体的に運営される事業所です。
第6項は、看護職員を配置しなかった場合でも、利用者の状態像に応じて必要があるときは、病院、診療所又は指定訪問看護ステーションとの密接な連携により看護職員を確保するとしています。第7項は、機能訓練指導員を、機能の減退を防止するための訓練を行う能力を有する者とし、その事業所の他の職務に従事できるとしています。
第122条は、専らその職務に従事する常勤の管理者を置くと定めています。管理上支障がない場合は、その事業所の他の職務や、他の事業所、施設等の職務に従事できます。訪問介護の管理者と同じ書き方です。
利用定員は原則20人以上:設備は居室・食堂・機能訓練室・浴室・医務室など
基準第123条第1項は、利用定員を20人以上とし、事業の専用の居室を設けるとしています。併設事業所の場合は、第2項により20人未満とすることができます。
第124条第1項は、建物(利用者の日常生活に使わない附属の建物を除く)を耐火建築物とします。2階建て又は平屋建てで、居室等を2階及び地階のいずれにも設けていないか、設けていても消防長又は消防署長と相談した避難の計画・昼夜の訓練・地域住民等との連携体制をすべて満たす場合は、準耐火建築物とできます。第2項は、一定の木造平屋の建物で都道府県知事が安全性を確保できると認めたときは、耐火建築物又は準耐火建築物でなくてよいとしています。
第3項は、居室、食堂、機能訓練室、浴室、便所、洗面設備、医務室、静養室、面談室、介護職員室、看護職員室、調理室、洗濯室又は洗濯場、汚物処理室、介護材料室を設けるとしています。他の社会福祉施設等の設備を使えて処遇に支障がない場合は、居室・便所・洗面設備・静養室・介護職員室・看護職員室を除き設けないことができ、併設事業所は第4項で併設本体施設の設備(居室を除く)を使えます。
第6項は、居室の定員を4人以下、利用者1人当たりの床面積を10.65平方メートル以上とし、食堂と機能訓練室は合計で3平方メートルに利用定員を乗じた面積以上とします。第7項は、廊下の幅を1.8メートル以上(中廊下は2.7メートル以上)とするなどの構造を定めています。ユニット型は第140条の2以降の別の基準で、この記事では読んでいません。
訪問介護の基準との比較
指定する者は同じですが、人員、利用定員、設備は訪問介護と大きく異なります。
| 項目 | 短期入所生活介護 | 訪問介護 |
|---|---|---|
| 指定する者 | 都道府県知事(法第41条第1項) | 都道府県知事 |
| 従業者 | 医師1以上、生活相談員(利用者100人ごとに1以上)、介護職員又は看護職員(利用者3人ごとに1以上)、栄養士又は管理栄養士、機能訓練指導員(第121条) | 訪問介護員等を常勤換算方法で2.5以上(居宅サービス基準第5条第1項) |
| 管理者 | 専らその職務に従事する常勤。支障がなければ兼務可(第122条) | 専らその職務に従事する常勤。支障がなければ兼務可(居宅サービス基準第6条) |
| 利用定員 | 原則20人以上。併設事業所は20人未満も可(第123条) | 第5条〜第7条に定めなし |
| 設備 | 耐火建築物、居室・食堂・機能訓練室・浴室・医務室など(第124条) | 専用の区画と必要な設備及び備品等(居宅サービス基準第7条) |
訪問介護の事業者が確かめる順番
まず、事業所を置く予定の都道府県の担当窓口に、指定の手続きと、建物の構造に関する確認を相談します。第124条が参照する建築基準法の耐火建築物の定義や、消防長又は消防署長との相談も関わります。併設事業所になるのか単独型になるのかで、利用定員と常勤の決まりが変わります。
次に、利用者の数の見込みから生活相談員と介護職員・看護職員の必要数を計算し、医師、栄養士又は管理栄養士、機能訓練指導員の確保の方法と、常勤の人数を書きます。
単位数は短期入所生活介護費の単位数:単独型は要介護1で645単位・送迎は片道184単位、指定の主体と人員をほかのサービスと比べるなら訪問介護から広げる5サービスの比較:指定の主体・人員・管理者の兼務で確認できます。
短期入所の利用中に訪問介護を算定できるかは訪問介護と他サービスの算定関係で、訪問介護自体の人員基準は訪問介護の人員基準(サ責の配置基準・常勤換算2.5・管理者)で整理しています。同じ入居・宿泊系の特定施設入居者生活介護の指定基準とも比べられます。
実行チェックリスト
次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。
- 短期入所生活介護を置く予定の都道府県を決め、担当窓口に、指定の手続きと建物の構造に関する確認の進め方を確かめ、確かめた日と回答をチェック表の最初の行に書く
- 単独型か、特別養護老人ホームや病院などに併設される併設事業所かを決め、利用定員の見込みが20人以上か、併設事業所として20人未満とするかを書く
- 利用者数の見込み(新規は推定数)から、生活相談員(100人ごとに1以上)と、介護職員又は看護職員(3人ごとに1以上)の必要数を常勤換算方法で計算し、常勤の人数と、医師・栄養士又は管理栄養士・機能訓練指導員の確保の方法を書く
- 管理者の候補と兼務の範囲を整理し、居室の定員と1人当たりの床面積、食堂と機能訓練室の合計面積、廊下の幅、浴室・医務室・静養室などの有無を書いて、担当窓口に相談し、確かめた日と回答を記録する
一次資料
個別地域の運用は指定権者で確認してください。
- e-Gov法令検索(デジタル庁)「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(第120条 基本方針、第121条 従業者の員数、第122条 管理者、第123条 利用定員等、第124条 設備及び備品等)、介護保険法第41条第1項」(基準第120条〜第124条(短期入所生活介護)、法第41条第1項)(確認日 2026-10-20)