運営 / 更新 2026-10-15

訪問介護の離職率の計算式:1年間の離職者数÷1年前の在籍者数、全国は訪問介護員11.6%

訪問介護事業所の離職率は、1年間の離職者数を1年前の在籍者数で割って出します。介護労働安定センターの令和7年度「介護労働実態調査」では、訪問介護員の離職率は11.6%、採用率は14.5%でした。この記事では、調査の算式、在籍者数から1年前の人数を逆算する計算例、全国値と比べるときの注意をまとめます。

事務机に置かれたノートパソコンと書類・手帳の写真

この記事で決めること

訪問介護事業所の管理者が、自事業所の離職率と採用率を月次や年次で自己点検するために、介護労働実態調査の算式(1年間の離職者数÷1年前の在籍者数)を確認し、在籍者数から1年前の人数を逆算する計算例と、訪問介護員の年齢階層別の全国値、少人数の事業所で全国値と比べるときの読み方を押さえるための考え方と確認順を整理します。

読み終えたら、離職率の月次・年次の点検表(期間、現在の在籍者数、期間の採用者数と離職者数、逆算した1年前の在籍者数、離職率・採用率・増減率、年齢階層別と職種別の内訳、全国値との並び)を作成できる状態を目指します。

離職率の算式:分母は1年前の在籍者数

介護労働安定センターの令和7年度調査の概要によると、採用率は「1年間の採用者数÷令和6年10月1日時点の在籍者数×100」、離職率は「1年間の離職者数÷令和6年10月1日時点の在籍者数×100」で計算されています。分母は調査の時点の人数でなく、1年前の人数です。

調査票で事業所に回答を求めているのは、1年間の採用者数、1年間の離職者数、令和7年10月1日時点の在籍者数の3つです。1年前の在籍者数は、「令和7年10月1日時点の在籍者数-1年間の採用者数+1年間の離職者数」で計算して求めています。

調査の増減率は、採用率から離職率を引いた値と一致します。たとえば2職種(訪問介護員と介護職員)の計では、採用率14.6%から離職率12.4%を引いた2.2%が増減率として示されています。増減率がプラスなら、1年間で人数が増えたことになります。

計算例:現在の在籍者数から1年前の人数を逆算する

ある訪問介護事業所の訪問介護員の在籍者数が、今日の時点で20人だとします。この1年間に5人を採用し、4人が辞めたなら、1年前の在籍者数は20人-5人+4人で19人です。

離職率は4人÷19人で約21.1%、採用率は5人÷19人で約26.3%です。人数は1人増えていて、増減率は約5.3%になります。この計算は上のとおり、調査と同じ手順です。

月ごとに点検するときは、毎月末に「過去12か月の離職者数」「過去12か月の採用者数」「今月末の在籍者数」を記録すると、同じ式で毎月の離職率を出せます。点検の表の作り方は、記事末尾の手順にまとめています。

計算例(訪問介護員の在籍者数20人、この1年間の採用5人・離職4人)
項目計算結果
1年前の在籍者数20人-5人+4人19人
離職率4人÷19人約21.1%
採用率5人÷19人約26.3%
増減率採用率-離職率約5.3%

全国の訪問介護員の離職率と、年齢階層別の値

令和7年度調査では、訪問介護員の採用率は14.5%、離職率は11.6%で、離職率は5年ぶりに上昇しました。介護職員は採用率14.7%、離職率12.7%です。訪問介護員と介護職員を合わせた2職種の離職率は12.4%、採用率は14.6%でした。

年齢階層別にみると、訪問介護員の離職率は29歳以下が16.7%で最も高く、60〜64歳の7.7%まで下がり、65歳以上は8.3%とやや上がります。採用率も29歳以下が30.9%と高く、若い層は人の出入りが多いことが分かります。

訪問介護員以外の職種では、サービス提供責任者の離職率が7.8%、採用率が8.0%でした。サービス提供責任者は、訪問介護員より離職率が低い職種です。

訪問介護員の年齢階層別の採用率・離職率(令和7年度、回答事業所数2,745)
年齢階層採用率離職率
29歳以下30.9%16.7%
30〜39歳19.8%13.2%
40〜49歳17.1%12.2%
50〜59歳12.8%9.9%
60〜64歳9.6%7.7%
65歳以上5.8%8.3%

少人数の事業所で全国値と比べるときの読み方

全国の数値は、多くの事業所の平均です。在籍者数が5人の事業所では、1人辞めるだけで離職率は20%になります。人数が少ないと、1人の動きで率が大きく変わるので、率だけでなく離職した人数を並べて記録します。

年齢階層ごとに率を出すと、1人の違いがさらに大きく響きます。区分ごとの率は参考値にとどめ、全国値との差を、そのまま「定着が悪い」「よい」と結論づけないでください。判断は、辞めた理由の記録や面談の内容と合わせて行います。

全国の離職率や、採用と定着に効果があったとされる方策は、「訪問介護員の人手不足と離職・採用の実態」で数値を整理しています。自社の採用人数や育成の計画を立てるときは、「訪問介護員の採用・研修・定着計画」を使います。

離職が出たときに続けて確認すること

離職者が出たら、離職率を更新するとともに、雇用保険や社会保険の手続きの期限を確認します。手続きの一覧は「訪問介護員の退職時手続き:雇用保険・社会保険・源泉徴収票の期限」にあります。

辞めた人の分だけ人員が減るため、サービス提供責任者や常勤換算の人員基準を割り込まないかも確かめます。採用が間に合わないときの影響は、「訪問介護の人員計画と採用シナリオ」で試算できます。

賃金を理由に辞める人が多いと感じるときは、処遇改善加算の配分を見直す方法があります。加算の区分と要件は「訪問介護の介護職員等処遇改善加算 区分・算定要件・加算率と計画書・実績報告」で確認できます。

このページの範囲と、確認する先

このページが確認したのは、介護労働安定センターが公表した令和7年度「介護労働実態調査」結果の概要の、採用率と離職率の算式、訪問介護員の採用率・離職率・増減率、年齢階層別の値です(2026-10-15に確認)。地域別・事業所規模別の値は確認していません。

自社の離職率が高いか低いかの判断や、離職の理由に対する個別の対応は、このページでは決められません。調査の結果は毎年更新されるため、比べるときは最新年度の原資料を確認してください。

次に知りたいこと

辞める人が多いときに採用と定着をどう組み立てるかは、訪問介護員の採用・研修・定着計画で整理しています。

自事業所の給与が全国の平均と比べてどの位置にあるかは、訪問介護の介護職員の平均給与額で確認できます。

離職者が出たときの雇用保険・社会保険の手続きの期限は、訪問介護員の退職時手続きで確認できます。

実行チェックリスト

次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。

  1. 点検する期間の開始日と終了日を決め、終了日の在籍者数、期間の採用者数、期間の離職者数を、名簿と退職の記録から数えて表に書く
  2. 終了日の在籍者数から採用者数を引き、離職者数を足して期間開始時の在籍者数を出し、離職者数と採用者数をそれぞれ割って離職率と採用率を計算する
  3. 離職者の年齢階層と職種を分けて数え、訪問介護員の全国値と並べるときは人数が少ない区分の率を参考値として扱い、離職した人数そのものも併記する
  4. 離職が続いた時期や担当の地域を確認し、退職時の面談の記録と合わせて、採用・研修・シフトのどこを見直すかを書き留める

一次資料

個別地域の運用は指定権者で確認してください。

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