運営 / 更新 2026-11-05
福祉用具貸与の利用料等の受領(第197条):搬出入の特別な措置の費用・前払い・貸与の中止
福祉用具貸与の利用料等の受領は、指定基準の第197条に5つの項でまとまっています。法定代理受領サービスの自己負担、法定代理受領でない場合の不合理な差額の禁止、自己負担のほかに受け取れる2種類の費用(交通費と搬出入に特別な措置が必要な場合の費用)、その費用の事前の説明と同意、支払がないときの貸与の中止です。この記事では、5つの項の内容、2種類の費用の読み方、前払いの上限、通知の版の注意点を、e-Gov法令検索の原文と老企第25号で整理します。
第197条の5つの項:自己負担、差額の禁止、受け取れる費用、説明と同意、貸与の中止
指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第37号)の第197条は、指定福祉用具貸与の利用料等の受領です。e-Gov法令検索で、2026年11月5日に原文を確認しました。条文は個々の福祉用具の価格ではなく、何を、どの場合に、どんな手続きで利用者から受け取るかを定めています。
| 項 | 定めていること | 事業所が点検するもの |
|---|---|---|
| 第1項 | 法定代理受領サービスに該当するときは、居宅介護サービス費用基準額から居宅介護サービス費の額を控除した額の支払を、利用者から受ける | 利用者負担の計算の根拠、請求書・領収の書類 |
| 第2項 | 法定代理受領サービスに該当しないときの利用料の額と、居宅介護サービス費用基準額との間に、不合理な差額を生じさせない | 法定代理受領でない場合の利用料の設定表 |
| 第3項 | 第1項と第2項の額のほか、2つの号の費用の支払を利用者から受けることができる | 運営規程の利用料その他の費用の額の欄 |
| 第4項 | 第3項の費用に係るサービスの提供にあたっては、あらかじめ、利用者又はその家族に、内容と費用を説明し、利用者の同意を得る | 説明した日と同意の記録 |
| 第5項 | あらかじめ定めた期日までに支払がなく、その後の請求にもかかわらず正当な理由なく応じないときは、福祉用具を回収すること等により貸与の提供を中止できる | 支払期日の定めと、請求の記録 |
この記事で決めること
福祉用具貸与事業所の管理者が、基準第197条の5つの項が定める自己負担、不合理な差額の禁止、自己負担のほかに受け取れる2種類の費用、事前の説明と同意、前払いの範囲、支払がないときの貸与の中止、厚生労働省の通知の版の注意点を確かめ、利用料と別料金の点検表を作るための考え方と確認順を整理します。
読み終えたら、福祉用具貸与の利用料と別料金の点検表(1枚):第197条の5つの項を行に並べ、項ごとに対応する書類(利用者負担の計算の根拠、法定代理受領でない場合の利用料の設定表、運営規程の費用の欄、説明と同意の記録、支払期日の定め)と最後に見直した日を書き込む表を作成できる状態を目指します。
第3項の2種類の費用:交通費と、搬出入に特別な措置が必要な場合の費用
第3項が、自己負担のほかに受け取れるとしている費用は、次の2つです。第1号は、通常の事業の実施地域以外の地域において指定福祉用具貸与を行う場合の交通費、第2号は、福祉用具の搬出入に特別な措置が必要な場合の、その措置に要する費用です。
老企第25号は、第2号の例として、福祉用具の搬出入に通常必要となる人数以上の従事者やクレーン車が必要になる場合等を挙げています。例示なので、これ以外の場合が当たるかどうかは、この記事では確認していないので、個別の費用は指定権者に確認してください。
通知は、介護保険給付の対象となっているサービスと明確に区分されないあいまいな名目による費用の徴収は認めない、とも書いています。
訪問介護の第20条第3項は、受け取れる費用を、通常の事業の実施地域以外の居宅で行う場合の交通費だけにしています。福祉用具貸与は、これに搬出入の特別な措置の費用が加わる形で、この2つに当たらない費用を受け取れるとは条文に書かれていません。訪問介護の同じ規定は訪問介護の利用料等の受領(基準第20条・交通費と保険外サービスの別料金の条件)で整理しています。
第4項の説明と同意と、運営規程の費用の欄
第4項は、第3項の費用に係るサービスを提供するときに、あらかじめ、利用者又はその家族へ、サービスの内容と費用を説明し、利用者の同意を得ることを求めています。重要事項説明書に費用の表を載せるだけで済ませず、交通費や特別な措置の費用を受け取るときごとに、説明した日、相手、同意の記録を残す様式を用意しておくと、後から確かめやすくなります。様式は条文にないので、事業所で決めておく必要があります。
運営規程の利用料その他の費用の額の欄について、老企第25号は、その他の費用の額として第197条第3項で認められている費用の額を規定するものとしています。個々の福祉用具の利用料は、額の設定の方式と目録に記載されている旨を書けば足り、運営規程には必ずしも額自体の記載を要しないとも書いています。運営規程の7項目は福祉用具貸与・特定福祉用具販売の運営規程の7項目:訪問介護との違いと目録の備え付けで整理しています。
前払いと貸与の中止:通知が示す範囲
老企第25号は、指定福祉用具貸与は継続的な契約であり、利用者と対面する機会が少ないことから、利用者から前払いにより数箇月分の利用料を徴収することも可能としています。ただし、要介護認定の有効期間を超える分について、前払いにより利用料を徴収してはならないとしています。
第5項は、利用者が負担すべき利用料を支払わずに福祉用具を使い続ける事態を防ぐため、一定の場合に貸与の提供を中止できると定めています。通知は、この項を、福祉用具を回収すること等により提供を中止できる旨を定めたものと説明しています。条文の条件は、あらかじめ定めた期日までに支払がないこと、その後の請求にもかかわらず、正当な理由なく支払に応じないことの2つです。
期日をあらかじめ定めておく必要があるので、契約書や重要事項説明書に支払期日を書いておくことが、点検の対象になります。
厚生労働省の通知の版に注意:訪問介護の項を参照するよう書かれている
老企第25号の福祉用具貸与の利用料の受領の項は、第197条の第1項、第2項、第4項は訪問介護の第20条と同趣旨だとして、訪問介護の項を参照するよう書いています。参照先の訪問介護の項は、法定代理受領でない場合の差額について、保険給付の対象になるサービスと明確に区分されるサービスは、別の料金を設定できるとし、その方法として、保険給付の対象とならない別事業であることの説明と理解、運営規程とは別の規定の整備、会計の区分の3つを挙げています。この3つが福祉用具貸与にも当てはまるのは、通知が参照を指示しているためです。
厚生労働省のサイトに掲載されている通知の版で、2026年11月5日に確認しました。この版は、利用者負担を一割と書くなど、最新の改正が反映されていない可能性があります。数字や範囲に関わる点は、通知の古い記載をそのまま使わず、現行の省令と告示、指定権者の案内で確かめてください。
次に知りたいこと:軽度者の例外給付・記録の整備・取扱方針
要支援1・2と要介護1の軽度者に対する貸与の可否は軽度者の福祉用具貸与:車いす・特殊寝台など7種目は原則対象外、例外給付あり、保存する記録は福祉用具貸与の記録の整備と利用料等の受領:7種類・保存2年・別料金は2つで整理しています。
サービスの提供方法は福祉用具貸与の具体的取扱方針(基準第199条):情報提供・点検・調整・身体的拘束の禁止、貸与価格の上限は福祉用具貸与の価格の上限:月平均100件以上の商品は全国平均貸与価格+1標準偏差で確認できます。
実行チェックリスト
次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。
- e-Gov法令検索で指定基準の第197条を開き、第1項から第5項までを表の行として書き写す
- 第3項の2種類の費用(通常の事業の実施地域以外の交通費、搬出入に特別な措置が必要な場合の費用)のうち、事業所が実際に受け取っているものに印を付け、運営規程の費用の欄に同じ条件が書かれているかを確かめる
- 受け取る費用ごとに、説明した日、相手、同意を得た記録を残す様式を用意し、直近に貸与を始めた利用者の分がそろっているかを確かめる
- 契約書に支払期日と前払いの扱いが書かれているかを確かめ、搬出入の特別な措置に当たるか迷う費用は指定権者の案内で確かめて、書類のない行に見直す日を書き込む
一次資料
個別地域の運用は指定権者で確認してください。
- 厚生労働省「指定居宅サービス等及び指定介護予防サービス等に関する基準について(平成11年9月17日老企第25号厚生省老人保健福祉局企画課長通知)」(第三 訪問介護に関する基準)(確認日 2026-10-04)
- デジタル庁(e-Gov法令検索)「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(第八条 内容及び手続の説明及び同意、第百九十七条 福祉用具貸与の利用料等の受領、第百九十九条 具体的取扱方針、第百九十九条の二 福祉用具貸与計画、第二百条 運営規程、第二百四条 掲示及び目録、第二百五条 準用)」(第八条、第百九十七条、第百九十九条、第百九十九条の二、第二百条、第二百四条、第二百五条)(確認日 2026-10-24)