運営 / 更新 2026-10-14
訪問介護の取扱方針(基準第22条・第23条):目標設定・自己評価・6つの方針
訪問介護の運営基準は、第22条で「目標を設定して計画的に行うこと」と「質の自己評価と改善」を、第23条でサービス提供時の6つの方針を定めています。管理者は、この2条を条文どおりに読み、日々の運営のどこで満たしているかを説明できるようにしておくと安心です。この記事は、条文と厚生労働省の老企第25号の解釈をもとに、何が求められているかを整理します。
この記事で決めること
訪問介護事業所の管理者が、運営基準第22条・第23条の取扱方針の中身と、老企第25号が求める評価・技術の研鑽を、日々の運営で何を残して示すかとあわせて条文で確認するための考え方と確認順を整理します。
読み終えたら、取扱方針の自己点検表(第22条の目標と評価、第23条の6方針ごとの現状と残している記録、直す点)を作成できる状態を目指します。
第22条は、目標の設定と質の自己評価を求めている
運営基準第22条の第1項は、指定訪問介護を、利用者の要介護状態の軽減または悪化の防止に資するよう、その目標を設定し、計画的に行わなければならないと定めています。サービスを「行うこと」だけでなく、何を目指して行うのかを決めることが、条文の最初の要求です。
第2項は、指定訪問介護事業者が、自らその提供する指定訪問介護の質の評価を行い、常にその改善を図らなければならないと定めています。評価の主体は事業者自身で、外部の第三者に頼むことまでは条文に書かれていません。
条文は、評価の様式、頻度、結果の公表の方法を定めていません。どの記録で、どの間隔で見直すかは、事業所が自分の運営に合わせて決めることになります。決めた方法は、後から説明できるように文書に残しておくと安心です。
老企第25号が補う「評価」と「研鑽」の中身
老企第25号は、第22条・第23条の取扱方針について特に留意することを2つ挙げています。1つ目は、提供された介護サービスについて、目標達成の度合いや利用者とその家族の満足度などを常に評価し、訪問介護計画の修正を行うなど、その改善を図ることです。
つまり、第22条第2項の「質の評価」は、目標をどれだけ達成できたかと、利用者・家族の満足度などを見て、その結果を訪問介護計画の見直しにつなげるところまでを含みます。評価して終わりではなく、計画を直すことが改善の入口になります。
2つ目は、介護技術の進歩に対応した適切なサービスを提供できるよう、常に新しい技術を習得するなど、研鑽を行うべきことです。研修の受講を管理者が把握する方法は、勤務体制の確保と一緒に「訪問介護の勤務体制の確保等(基準第30条):勤務表・研修・ハラスメント防止」で整理しています。
第23条の6つの方針と、管理者が確かめること
第23条は、訪問介護員等の行う指定訪問介護の方針を6つ挙げています。次の表は、条文の各号と、管理者が運営の中で確かめられる点を並べたものです。右の列は、条文が求めている記録ではなく、確かめるときの例です。
| 号 | 条文が求めること | 確かめる点の例 |
|---|---|---|
| 第1号 | 訪問介護計画に基づき、利用者が日常生活を営むのに必要な援助を行う | 実際の訪問内容が計画に書かれた内容と合っているか |
| 第2号 | 懇切丁寧に行うことを旨とし、利用者またはその家族に、サービスの提供方法などを理解しやすいように説明する | 説明の方法を訪問介護員に共有しているか |
| 第3号 | 利用者または他の利用者等の生命・身体を保護するため緊急やむを得ない場合を除き、身体的拘束等を行わない | 身体的拘束等を行わない運営になっているか |
| 第4号 | 身体的拘束等を行う場合は、態様と時間、利用者の心身の状況、緊急やむを得ない理由を記録する | 記録の様式と置き場所を決めてあるか(条文は様式を定めていない) |
| 第5号 | 介護技術の進歩に対応し、適切な介護技術でサービスを提供する | 新しい技術を学ぶ機会があるか |
| 第6号 | 常に利用者の心身の状況や置かれている環境などの的確な把握に努め、利用者またはその家族に適切な相談・助言を行う | 状況の変化を管理者へ伝える流れがあるか |
条文が記録を求めているのは第4号だけ
第23条の6つの号のうち、「記録しなければならない」と明記しているのは、身体的拘束等を行う場合を定める第4号だけです。ほかの号は、行うべき方針を定めたもので、特定の様式の記録を義務づけてはいません。
ただし、サービスを計画どおりに行ったこと、説明したこと、状況の変化を把握したことは、第19条のサービスの提供の記録や訪問介護計画の見直しの記録に現れます。記録の中身は「訪問介護のサービスの提供の記録(基準第19条)と身分を証する書類の携行(第18条)」にあり、身体的拘束等の記録は「訪問介護の身体的拘束等:原則禁止と緊急時の記録」で扱っています。
運営指導でこの2条がどのように見られるかは、指定権者の運用によって異なる場合があります。この記事は個別の事業所の適合を判断するものではないので、具体的な確認事項は指定権者に問い合わせてください。
取扱方針を運営に落とし込む順序と、次に知りたいこと
最初に、利用者ごとの訪問介護計画に、達成したい目標が書かれているかを確かめます。目標が書かれていなければ、第22条第1項の「目標を設定し」を運営でどう満たしているかを説明しにくくなります。計画の作り方は「訪問介護計画の作成・変更サイクルと記載事項」にあります。
次に、目標の達成度合いと利用者・家族の満足度などを見直す時期と担当者を決めます。サービス提供責任者が計画の実施状況を把握して助言や指導を行う役割は、「管理者とサービス提供責任者の責務(基準第28条)」で整理しています。
取扱方針の土台にある人格の尊重や人権の考え方は「訪問介護の一般原則(基準第3条):人格の尊重・地域連携・人権擁護」にあります。この記事は条文の読み方を整理したもので、個別の指導や判断を請け負うものではありません。
実行チェックリスト
次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。
- 利用者ごとの訪問介護計画に、達成したい目標が書かれているかを確かめ、書かれていない計画に印を付ける
- 目標の達成度合いと利用者・家族の満足度をいつ、誰が、どの記録で見直すかを決め、見直した日付を残す
- 第23条の6つの方針を、現在の運営で行っている内容と残している記録に1行ずつ当てはめる
- 評価の結果、訪問介護計画を直した例と、技術の研鑽として受けた研修を、管理者の手元に1か所でまとめる
一次資料
個別地域の運用は指定権者で確認してください。