運営 / 更新 2026-10-05

訪問介護の一般原則(基準第3条):人格の尊重・地域連携・人権擁護

運営基準の第3条は、訪問介護を含む指定居宅サービス事業者が、個別の規定より前に守る一般原則を4項で定めています。利用者の意思と人格の尊重、地域との結び付きと連携、人権の擁護と虐待防止のための体制整備と研修、介護保険等関連情報の活用です。この記事は、各項の文言と「努めなければならない」「講じなければならない」の違いを、e-Govの現行条文で確認できた範囲で整理します。通知上の解釈は確認できていないため、書いていません。

この記事で決めること

訪問介護事業者が、運営基準第3条が定める4つの一般原則(利用者の意思と人格の尊重、地域との結び付きと連携、人権の擁護・虐待防止のための体制整備と研修、介護保険等関連情報の活用)の文言を確認し、努力義務の項と措置義務の項を区別して、事業所で整える内容を整理するための考え方と確認順を整理します。

読み終えたら、一般原則4項の運用確認表を作成できる状態を目指します。

第3条の4項が定めていること

第3条は、見出しが「指定居宅サービスの事業の一般原則」で、訪問介護を含む指定居宅サービス全体に共通する原則を置いています。訪問介護に特有の基準は別の条文にあり、第3条はそれらの前提になる心構えと体制の定めです。

第1項は、利用者の意思及び人格を尊重して、常に利用者の立場に立ったサービスの提供に努めることを求めます。第2項は、事業の運営に当たり、地域との結び付きを重視し、市町村、他の居宅サービス事業者、その他の保健医療サービスと福祉サービスを提供する者との連携に努めることを求めます。第3項は、利用者の人権の擁護、虐待の防止等のために必要な体制の整備を行い、従業者に研修を実施する等の措置を講じることを求めます。第4項は、サービスの提供に当たり、介護保険等関連情報その他必要な情報を活用し、適切かつ有効に行うよう努めることを求めます。

運営基準第3条の4項(e-Govの現行条文、取得2026-10-05)
項求めていること文言の区別
第1項利用者の意思及び人格を尊重し、常に利用者の立場に立ったサービスの提供努めなければならない(努力義務)
第2項地域との結び付きの重視、市町村・他の居宅サービス事業者・保健医療や福祉のサービスの提供者との連携努めなければならない(努力義務)
第3項人権の擁護、虐待の防止等のための体制の整備と、従業者への研修の実施等の措置講じなければならない(措置義務)
第4項介護保険等関連情報その他必要な情報の活用努めなければならない(努力義務)

努力義務の項と措置義務の項の違い

第1項、第2項、第4項は「努めなければならない」と書かれています。第3項は「講じなければならない」で、体制の整備と研修などの措置を取ることそのものが求められています。どの水準の体制や研修で足りるかは、第3条には書かれていません。

第3項の「虐待の防止等」の具体的な措置と、未実施の場合の減算は、別の規定で定められています。訪問介護の虐待防止・業務継続計画未策定減算(各1%)の基準で整理しています。虐待を発見したときの通報は訪問介護員が高齢者虐待を発見したときの通報義務:市町村への通報・重大な危険がある場合の義務・通報者の保護、身体的拘束等の扱いは訪問介護の身体的拘束等:原則禁止と緊急時の記録で扱っています。

介護保険等関連情報とは(介護保険法第118条の2)

第4項の「介護保険等関連情報」は、介護保険法第118条の2第1項で定義されています。介護給付等に要する費用の額に関する状況(第1号)、要介護認定等の調査に関する状況(第2号)、訪問介護、訪問入浴介護その他の厚生労働省令で定めるサービスを利用する要介護者等の心身の状況等と、提供されるサービスの内容など(第3号)、地域支援事業の実施の状況(第4号)に関する情報です。

同条第3項は、厚生労働大臣が必要があると認めるときに、介護サービス事業者などに対して、この情報を厚生労働省令で定める方法により提供するよう求めることができるとします。第4項は、市町村が介護サービス事業者に対して、第3号の情報の提供を求めることができるとします。情報をどの方法で提供するかは厚生労働省令に委ねられており、この記事では確認していません。事業所に提供の求めが来たときは、指定権者や市町村の案内で方法を確認してください。

介護保険法第118条の2第1項の4つの情報(取得2026-10-05)
号情報の内容訪問介護の事業所との関係
第1号介護給付等に要する費用の額に関する地域別・年齢別・認定別の状況など第3項の「介護保険等関連情報」に含まれる
第2号要介護認定・要支援認定における調査に関する状況など第3項の「介護保険等関連情報」に含まれる
第3号訪問介護などを利用する要介護者等の心身の状況等と、提供されるサービスの内容など第3項に加え、第4項で市町村が提供を求めることができる
第4号地域支援事業の実施の状況など第3項の「介護保険等関連情報」に含まれる

事業所で整えておくことと、確認できていないこと

第3条を事業所の運営に落とすときは、項ごとに確認する材料を決めておくと整理しやすくなります。第1項は利用者の意思や人格を尊重する対応の方針、第2項は市町村や他の事業者との連携の窓口、第3項は人権の擁護と虐待防止の体制と研修の実施記録、第4項は情報をサービス提供の改善に使う方法と、情報の提供を求められたときの窓口です。研修は訪問介護の勤務体制の確保等(基準第30条):月ごとの勤務表・自事業所の訪問介護員・研修機会・ハラスメント防止の措置の研修機会の確保とあわせて確認できます。

確認した範囲では、第3条の通知上の解釈と、努力義務の項で「どこまでやれば努めたといえるか」の基準は見つかりませんでした。確認に使った老企第25号の掲載版は改正部分の抜粋で、通知の全文ではないため、第3条の解説の有無は確認できていません。個別の運営が第3条に適合しているかは、この記事では判断しません。指定権者の案内を確認してください。情報の扱いに関連して、事業所が準備する介護情報基盤の導入手順は「介護情報基盤(介護WEBサービス)の導入手順」で整理しています。

実行チェックリスト

次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。

  1. 第3条の4項を並べ、努力義務の項(第1項・第2項・第4項)と措置義務の項(第3項)を分けて、事業所で何を整えているかを書き出す
  2. 利用者の人格を尊重する対応の方針、人権の擁護と虐待防止のための体制、従業者への研修の実施記録を、運営規程や研修記録と突き合わせて確認する
  3. 市町村や他の居宅サービス事業者、保健医療・福祉サービスの提供者との連携の窓口と、日ごろの連絡の取り方を決める
  4. 介護保険等関連情報その他の情報を、サービス提供の改善にどう使うかを決め、国や市町村から情報提供を求められた場合の窓口と、提供方法は指定権者の案内で確認する担当を定める

一次資料

制度の確認に使用した公的一次資料です。個別地域の運用は指定権者で確認してください。

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