運営 / 更新 2026-10-16
訪問介護の利用終了時の手続き:解約・死亡・入院・施設入所・転居で事業所が確認すること
訪問介護の利用が、利用者からの解約、死亡、入院、施設への入所、転居などで終わるとき、事業所が国の基準で求められていることは多くありません。確認できた条文は、提供の終了に際して利用者や家族へ適切な指導を行うこと、担当の居宅介護支援事業者へ情報を提供することなどを定めた第14条第2項と、提供の記録を残して2年間保存する第19条・第39条です。この記事は、その範囲を場面別に整理し、条文に書かれていない点を確認先とともに分けます(月の途中で終わったときの請求は訪問介護で利用者が入院・死亡・サービス中止になったときの算定と請求の整理で確認できます)。
この記事で決めること
訪問介護の利用が解約・死亡・入院・施設入所・転居で終わるとき、基準が事業者に求める対応と、条文に書かれていない点の確認先を知るための考え方と確認順を整理します。
読み終えたら、利用終了時の確認表(終了の理由、最終訪問日、居宅介護支援事業者への情報提供、最終月の請求、記録の保存期限)を作成できる状態を目指します。
利用の終わりについて、基準が定めていること
指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(以下、運営基準)の第14条第2項は、指定訪問介護の提供の終了に際して、事業者が行うことを2つ定めています。1つ目は、利用者またはその家族に対して適切な指導を行うことです。2つ目は、その利用者を担当する居宅介護支援事業者への情報の提供と、保健医療サービスや福祉サービスを提供する者との密接な連携で、こちらは「努めなければならない」という書き方になっています。
居宅介護支援事業者とは、ケアプラン(居宅サービス計画)を作る事業者のことです。訪問介護が終わる場面では、この担当者に終了を知らせ、その後の支援につなぐことが想定されています。ただし、条文は渡すべき情報の項目や、連絡の期限までは定めていません。
確認した範囲では、利用契約の解約の手順や予告期間を定めた条文も見つかっていません。解約の条件は、提供開始時に説明して同意を得る重要事項の文書(第8条)や契約書に、事業所ごとに書かれていることになります。
場面別に確認できる範囲
第14条第2項は「提供の終了に際し」と書くだけで、終了の理由を区別していません。そのため、条文だけでは、死亡や入院のように家族との連絡が前提になる場面で何をどこまで行うかは決まりません。下の表は、条文で確認できることと、書かれていないために別の窓口で確認する点を分けたものです。
表の右側の確認先は、事業所の判断で運用を決める前に、担当の居宅介護支援事業者や保険者(市町村)に聞いておく先の例です。個別の契約の解約が有効かどうかなど、法的な判断は、この記事では扱いません。
| 場面 | 条文で確認できること | 条文に書かれていない点と確認先 |
|---|---|---|
| 利用者からの解約 | 終了に際しての利用者・家族への適切な指導、居宅介護支援事業者への情報提供(努力義務) | 解約の予告期間と手順は、重要事項の文書と契約書の内容で決まる。条文には定めがない |
| 死亡 | 提供した訪問の記録の整備と2年間の保存 | 家族への連絡の内容と、居宅介護支援事業者への知らせ方は条文にない。最終月の請求は算定の記事で確認する |
| 入院 | 終了する場合は第14条第2項の対応。再開する可能性があるかどうかは条文では分けられていない | 退院後に再開するか、いったん終了するかは、利用者と居宅介護支援事業者で相談して決める |
| 施設への入所 | 終了に際しての指導と、居宅介護支援事業者を通じた情報提供 | 入所先への情報提供の範囲は条文にない。個人情報の扱いは本人または家族の同意の範囲で担当者と相談する |
| 転居 | 終了に際しての指導と、居宅介護支援事業者への情報提供 | 転居先の保険者や事業所との引き継ぎ方法は条文にない。保険者へ確認する |
終了のときに残す記録と、保存の期間
第19条第2項は、訪問介護を提供したときに、提供した具体的なサービスの内容などを記録し、利用者の申出があれば、文書の交付その他適切な方法でその情報を利用者に伝えることを定めています。最後の訪問も同じ扱いで、終了の日までの記録が揃っていることが、最終月の請求の前提になります。
第39条第2項は、訪問介護計画、第19条第2項の提供の記録、苦情や事故の記録などを、その完結の日から2年間保存することを定めています。利用が終わった時点で保存期間が始まる、という意味の条文ではなく、いつを完結の日と数えるかは、訪問介護の記録の保存義務・保存期間(完結の日から2年間)で整理しています。自治体が条例で別の期間を定めている場合もあるため、事業所の所在地の条例を確認してください。
事業所で用意しておく確認表の例
ここからは、条文を参考にした運用の例です。利用者ごとに、終了の理由、最終の訪問日、終了を確認した相手と日付、居宅介護支援事業者へ伝えた内容と日付を1枚に残しておくと、後から運営指導や家族からの問い合わせがあったときに、何をいつ行ったかを説明できます。
最終月は、提供しなかった予定の訪問が請求に入っていないかを確かめます。月の途中で終わったときの算定の考え方は訪問介護で利用者が入院・死亡・サービス中止になったときの算定と請求の整理で、月次の確認の手順は月次の請求と入金の締めで確認できます。
終了の連絡を受けた段階で、訪問介護計画と提供の記録の保管場所と、廃棄してよい日も確認表に書いておくと、保存期間の数え間違いを防げます。
次に知りたいこと
開始の場面は訪問介護の新規利用者の受け入れの流れ(省令第8〜14条)、新しい依頼を断るときの扱いは訪問介護の提供拒否禁止と提供困難時の紹介・連絡、事業所そのものをたたむときの届出は訪問介護事業所の閉鎖手続き(休止・廃止・再開届)を期限から確認するで確認できます。利用者個人の終了と、事業所の廃止は、手続きの根拠が別です。
実行チェックリスト
次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。
- 終了の理由(解約・死亡・入院・施設入所・転居)と、最終訪問日、終了を確認した相手と日付を、利用者ごとの確認表の先頭に書く
- 利用者またはその家族に伝えた内容(今後の相談先、使っていた物品の返却など)と、居宅介護支援事業者へ渡した情報と日付を書き、情報提供の範囲は担当の居宅介護支援事業者と相談して決める
- 最終月の提供記録を集め、提供しなかった予定の訪問が請求に入っていないかを、月次の請求の手順で確かめる
- 訪問介護計画と提供の記録を、完結の日から2年間の保存の対象として保管場所と廃棄してよい日を確認表に書く
一次資料
個別地域の運用は指定権者で確認してください。
- デジタル庁(e-Gov法令検索)「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(第8条・第27条・第29条・第37条・第39条)」(確認日 2026-10-04)
- デジタル庁(e-Gov法令検索)「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(第九条 提供拒否の禁止、第十条 サービス提供困難時の対応、第十一条 受給資格等の確認、第十三条 心身の状況等の把握、第十四条 居宅介護支援事業者等との連携)」(確認日 2026-10-14)
- デジタル庁(e-Gov法令検索)「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(第八条 内容及び手続の説明及び同意、第十四条 居宅介護支援事業者等との連携、第十九条 サービスの提供の記録、第三十九条 記録の整備)」(確認日 2026-10-16)