事業計画 / 更新 2026-10-30
訪問入浴介護の事業計画書と収支:看護職員1人・介護職員2人の組と1回1,266単位
訪問入浴介護の事業計画書の収支は、1回の訪問に必要な人数、事業所の人員と設備の基準、告示の1回あたりの単位数から組み立てる月の収入、自社で入れる費用の4つに分けると書けます。この記事は、基準と算定構造を2026年10月30日に確かめ、収入の式と数値例、入力する項目を整理します。浴槽や車両の費用、給与の平均値は扱いません。
事業計画書の収支に入れる項目と、数字の根拠
下の表は、収支に入れる項目ごとに、数字の根拠と、自社で確かめる点を並べたものです。基準や告示で決まる項目と、自社の数字を入れる項目を分けています。
訪問入浴介護の特徴は、1回の訪問に複数の職員が同時に必要なことです。月の収入は訪問の回数で決まり、人件費は同時に動く組の数で決まるため、2つを同じ表で結びつけて見積もります。
| 項目 | 根拠の数字 | 自社で確かめる点 |
|---|---|---|
| 事業所の従業者 | 看護職員1以上・介護職員2以上、うち1人以上は常勤(基準 第45条) | 勤務表で、常勤と非常勤の内訳を確かめる |
| 1回の訪問の人数 | 看護職員1人と介護職員2人(基準 第50条第6号) | 同じ時間帯に回す組の数 |
| 管理者 | 専らその職務に従事する常勤。管理上支障がなければ兼務可(基準 第46条) | 兼務する職務の範囲 |
| 設備及び備品等 | 専用の区画と、提供に必要な浴槽等(基準 第47条) | 浴槽・給湯・消毒の備品の見積もり |
| 基本の収入 | 訪問入浴介護費は1回につき1,266単位(算定構造) | 月の訪問回数と、割合を掛ける回の数 |
| 1単位の単価 | 所在地の地域区分で決まる | 予定する所在地の単価 |
| 車両・給与・家賃ほか | この記事は数字を示さない | 見積書と求人条件で確かめた自社の数字 |
この記事で決めること
訪問入浴介護の開業や多角化を考える事業者が、事業計画書の収支に何を入れるのかを、基準の人員と設備、算定構造の1回あたりの単位数から知り、月の収入と必要な人数を見積もる式を確かめる。ための考え方と確認順を整理します。
読み終えたら、訪問入浴介護の収支計画の入力表(同じ時間帯に回す組の数、看護職員と介護職員の勤務表、月の訪問回数、割合を掛ける回の数、1単位の単価、備品と車両の費用、人件費と固定費)を作成できる状態を目指します。
人員から決まる固定費:1回の訪問は看護職員1人と介護職員2人
指定居宅サービス等の基準の第45条は、事業所ごとに置く従業者を、看護師又は准看護師が1以上、介護職員が2以上と定め、そのうち1人以上は常勤でなければならないとしています。管理者は第46条で、専らその職務に従事する常勤の者を置くとされ、事業所の管理上支障がなければ他の職務や他の事業所の職務を兼ねられます。
これは事業所に置く最低の人数で、1回の訪問の人数は第50条第6号に別にあります。1回の訪問につき看護職員1人と介護職員2人で行い、そのうち1人をサービス提供の責任者とします。ただし、利用者の身体の状況が安定していて入浴により支障を生ずるおそれがないと認められるときは、主治の医師の意見を確認したうえで、看護職員に代えて介護職員を充てられます。
このため、同じ時間帯に2か所の利用者宅へ訪問するなら、3人の組が2組必要になります。第45条の最低の人数は1組ぶんで、訪問の件数を増やすと、組の数に応じて看護職員と介護職員が増えます。収支計画では、1日に何組を動かすかを先に決め、その組の数から勤務表を作ります。
訪問介護は訪問介護員等を常勤換算方法で2.5以上置く基準で、員数の数え方が違います。人員基準の細目は訪問入浴介護の指定基準にまとめています。
設備から決まる費用:専用の区画と浴槽等、利用者ごとの消毒
基準の第47条第1項は、指定訪問入浴介護事業所に、事業の運営を行うために必要な広さを有する専用の区画を設け、サービスの提供に必要な浴槽等の設備及び備品等を備えるよう求めています。広さや浴槽の台数の数字は条文にありません。
第50条第7号は、サービスの提供に用いる設備、器具その他の用品の使用に際して安全及び清潔の保持に留意し、特に利用者の身体に接触する設備、器具その他の用品は、サービスの提供ごとに消毒したものを使うとしています。訪問ごとに使うものが消毒済みである必要があるため、組の数に対して、浴槽などの備品を何セット用意するかが、費用の見積もりの入口になります。
備品の台数と区画の広さは、図面と備品の一覧を持って、事業所を置く都道府県の窓口に確かめます。車両の台数や種類を定めた条文は、今回読んだ範囲にはありませんでした。移動の手段は自社で決めて、費用の欄に入れます。
月の収入の式:訪問の回数×1回の単位数×1単位の単価
訪問入浴介護の基本の収入は、1回につきの単位数で決まります。厚生労働省の介護報酬の算定構造では、訪問入浴介護費は1回につき1,266単位です。看護職員1人と介護職員2人で行うことが算定の前提です。
割合を掛ける回は、介護職員3人で行った場合の100分の95、全身入浴が困難で清拭又は部分浴を実施した場合の100分の90、同一建物の利用者への100分の90と100分の85です。同一建物は、事業所と同一建物の利用者、又はそれ以外の同一建物の利用者20人以上に行う場合が100分の90、事業所と同一建物の利用者50人以上に行う場合が100分の85です。
例えば介護職員3人の回は、1,266単位に0.95を掛けて1,202.7で、四捨五入して1,203単位です。割合の細目は訪問入浴介護費の単位数にあります。
初回加算は1月につき200単位です。月ごとの加算は、基本の収入と別の行に分け、算定の見込みがあるものだけを足します。所在地による加算は訪問入浴介護の地域の加算で、1単位の単価は訪問介護の地域区分と1単位の単価で確かめます。
数値例:訪問が月80回のとき
式を確かめるための仮の数字を置きます。月の訪問が80回で、すべて看護職員1人と介護職員2人の基本の回だとすると、80回×1,266単位=101,280単位です。1単位を仮に10円とすると、月の基本の収入は1,012,800円です。
このうち10回が介護職員3人で行う回なら、その10回は1回あたり1,203単位になり、70回×1,266単位+10回×1,203単位=100,650単位です。1単位10円なら1,006,500円で、割合を掛ける回が増えると、同じ訪問回数でも収入が下がります。
この数字は式の仕組みを確かめる仮の値で、実際の訪問回数の見込みや単価ではありません。同じ時間帯に回す組の数、1日に回れる件数、移動時間は、勤務表を作って自社で確かめます。利用者が少ない開業直後の月でも、第45条の最低の人数は必要なので、訪問回数が少ない月に収入が人件費を下回る期間を、自己資金で支える額を見積もります。
費用側で自社の数字を入れる項目
費用は、看護職員と介護職員と管理者の給与、社会保険料、事務所と備品置き場の賃料、車両の購入費か賃料と燃料費、浴槽などの備品、消毒の用品、記録や請求のシステムの費用に分けて書きます。この記事は、給与や費用の平均値を示しません。求人条件、見積書、契約条件で確かめた自社の数字を入れます。
人件費を収入と比べる考え方は訪問介護の人件費率にあります。訪問介護の入浴介助との違いは訪問介護の入浴介助と訪問入浴介護の違いで整理しています。
この記事で確認した範囲
確認したのは、人員と設備の原文と、1回あたりの単位数で、2026年10月30日に読んだ内容です。人員と設備は基準の第45条・第46条・第47条・第50条をe-Gov法令検索で、単位数と割合は厚生労働省の介護報酬の算定構造(令和8年6月改定箇所入り)の訪問入浴介護費の表で確かめました。
車両の基準、地域区分ごとの単価の値、加算の届出基準、浴槽などの費用、給与の平均値は確認しておらず、扱っていません。個別の事業所の収支は、自社の数字と、指定権者への確認で決めてください。
実行チェックリスト
次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。
- 1回の訪問を看護職員1人と介護職員2人で行う前提で、同じ時間帯に回す組の数を決め、組の数から看護職員と介護職員の勤務表を作る。事業所の従業者のうち1人以上が常勤であることと、専らその職務に従事する常勤の管理者を別の行で確かめる
- 月の訪問回数を仮置きし、1回1,266単位の基本の回と、介護職員3人で行う回(100分の95)、清拭や部分浴の回(100分の90)、同一建物の回を分けて、単位数を足す。初回加算は1月200単位で、算定の見込みがある月だけ足す
- 専用の区画と浴槽等の備品の一覧と図面を作り、利用者ごとに消毒したものを使うために必要な備品のセット数を決めて、都道府県の窓口に確かめる
- 1単位の単価は、予定する所在地の地域区分で確かめる。給与・車両・備品・賃料は、求人条件と見積書の自社の数字を入れ、訪問回数が少ない開業直後の月に収入が人件費を下回る期間を見積もる
関連ガイドで計画をつなぐ
隣接する判断をつなぎ、記事単体で計画を止めないためのガイドです。
よくある質問
迷いやすい範囲と確認順を、質問ごとに整理します。
訪問入浴介護は、1回の訪問に何人必要ですか?
基準の第50条第6号は、1回の訪問につき看護職員1人と介護職員2人で行うとしています。利用者の身体の状況が安定していて支障のおそれがないと認められるときは、主治の医師の意見を確認したうえで、看護職員に代えて介護職員を充てられます。介護職員3人で行う場合の算定は100分の95です。
訪問入浴介護の基本の単位数はいくらですか?
厚生労働省の介護報酬の算定構造では、訪問入浴介護費は1回につき1,266単位です。介護職員3人で行う場合は100分の95、清拭又は部分浴を実施した場合は100分の90を掛けます。1単位の単価は所在地の地域区分で決まるため、予定する所在地で確かめます。
事業計画書の収支で、訪問入浴介護に特有の費用は何ですか?
基準は専用の区画と提供に必要な浴槽等の設備及び備品等を求め、利用者の身体に接触する設備や用品はサービスの提供ごとに消毒したものを使うとしています。浴槽や車両の費用の数字はこの記事では示さないため、見積書で確かめた自社の数字を入れます。
一次資料
個別地域の運用は指定権者で確認してください。
- e-Gov法令検索(デジタル庁)「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(第45条〜第47条 訪問入浴介護の員数・管理者・設備及び備品等、第50条 取扱方針、第5条〜第7条 訪問介護の員数・管理者・設備及び備品等)」(基準第45条(従業者の員数)、第46条(管理者)、第47条(設備及び備品等)、第50条第6号・第7号(1回の訪問の体制、設備・器具の消毒)、第5条〜第7条(訪問介護の員数・管理者・設備及び備品等))(確認日 2026-10-17)
- 厚生労働省老健局「介護報酬の算定構造(令和8年6月改定箇所入り)「2 訪問入浴介護費」」(「2 訪問入浴介護費」の表(イ 訪問入浴介護費1回につき1,266単位、ロ 初回加算、ハ 認知症専門ケア加算、ニ 看取り連携体制加算、ホ サービス提供体制強化加算、ヘ 介護職員等処遇改善加算))(確認日 2026-10-19)