運営 / 更新 2026-10-19

利用者宅の使用済み注射針(在宅医療廃棄物)の出し方:訪問介護事業所が知る国の通知

使用済みの注射針は、訪問介護員が自己判断で扱わず、主治医や看護職員に確認して取り決めます。国の通知は、糖尿病の自己注射などで出る針を、医療機関に持参するか、針にキャップをかぶせて耐貫通性のある容器に入れて出すものとしています。このページは、通知と手引きの内容と事業所の確認点を整理します(訪問介護員の行為を定めた資料ではありません)。

事務机に置かれたノートパソコンと書類・手帳の写真

在宅医療廃棄物は一般廃棄物で、市町村が処理する

在宅医療で出る廃棄物は一般廃棄物で、収集・運搬・処分は市町村の役割です。平成10年7月30日の厚生省通知(衛環71号)は、これを「在宅医療廃棄物」と呼び、廃棄物処理法第6条の2第1項に基づき、市町村が一般廃棄物処理計画に従って行わなければならないとしています。通知は、ごみ収集時に針刺し事故が起きている例が報告されていることも背景に挙げています。

環境省の平成20年3月の手引きも、在宅医療廃棄物は廃棄物処理法上は一般廃棄物で、原則として市町村に処理責任があるとしています。名宛ては市町村で、住民への周知や処理体制づくりが中心です。手引きは、居宅で行われる入浴、排せつ、食事などの日常生活上の世話である介護を対象外としており、訪問介護員の行為を定めたものではありません。

この記事で決めること

訪問介護事業所の運営者・サービス提供責任者が、利用者宅にインスリン自己注射などで出る使用済みの注射針があるときに、国の通知・手引きが示す出し方(医療機関への持参、通常のごみに出す場合の容器)と、訪問介護員が自己判断で扱わないための確認先を確かめるための考え方と確認順を整理します。

読み終えたら、使用済み注射針の取り扱い確認メモ(利用者の自己注射の有無、針を入れる容器と置き場所、ごみ出しの依頼の有無、主治医・看護職員・介護支援専門員への確認結果、市区町村の出し方)を作成できる状態を目指します。

使用済み注射針の出し方:通知が示す内容

平成10年通知は、糖尿病用自己注射などで出る使用済みの注射針について、都道府県あての通知で、市町村を通じて住民に次のように指導するよう求めています。医師等の指示で医療機関に持参するときは、危険防止のため堅牢で耐貫通性のある容器を用いることが望ましいとしています。

通常のごみ回収に出すときは、あらかじめ針の部分にキャップをかぶせたうえで、堅牢で耐貫通性のある容器に入れて出すとしています。その際、バイオハザードマークの付いた容器があればそれを使い、なければ「取扱注意」などと書いた容器を使うとしています。空き缶やペットボトルに入れて捨てることは、リサイクルの選別に回る可能性があるため望ましくないとしています。

同じ通知は、注射針などは衛生的処理の観点から燃えるごみとして処理することが望ましいとし、市町村に体制づくりと住民への指導を求めています。ただし、実際の出し方は市町村ごとに決まるため、利用者の住む市区町村の案内で確認します。

手引きは、現段階で最も望ましい方法として、注射針などの鋭利な物は医療関係者または患者・家族が医療機関へ持ち込み、感染性廃棄物として処理する方法を挙げています。平成17年9月には、環境省から、市町村が関係者と連携して地域の状況に応じた処理方法を検討するよう促す通知が出されたことも書いています。

訪問介護事業所が確認しておく点

通知と手引きは、針の処理の主体を、医療関係者、患者・家族、市町村としています。訪問介護員が針を片付けてよいか、ごみ出しの対象に含めてよいかは、これらの資料からは分かりません。そのため、事業所は利用者宅の針の扱いを、訪問介護員の判断に任せないことが大切です。

確認する先は、主治医、訪問看護の看護職員、担当の介護支援専門員です。使用済みの針は利用者または家族が容器に入れ、訪問介護員は触れない取り決めにするのか、容器ごとのごみ出しの依頼を受けるのかを、ケアプランとサービス担当者会議で決めておきます。連携の窓口はケアマネジャーとの連携で扱っています。

利用者宅で針が床や袋に落ちていたときなど、訪問介護員が針に触れる可能性があるときの手順は、自社の感染対策の手順書に書いておきます。感染症対策の手順書と、針刺し事故が起きたときの報告の流れ(事故が起きたときの対応)に合わせます。

ごみ出しなど生活援助の範囲は訪問介護で行える範囲と行えない範囲で、訪問介護員が行える医行為ではない行為は医行為ではない行為の範囲で整理しています。医薬品の使用の介助の範囲は医薬品の使用の介助を参照してください。

この記事で確認した範囲

平成10年7月30日の衛環71号(環境省掲載ページ)と、環境省の平成20年3月の手引きを、2026-10-19に確認しました。どちらも平成の資料のため、記事を使うときは、利用者の住む市区町村の現在の出し方の案内を確かめてください。

令和8年4月版の感染性廃棄物処理マニュアルの本文、自治体ごとの収集方法、針以外の在宅医療廃棄物(点滴バッグ、チューブなど)の扱いは確認しておらず、扱っていません。

実行チェックリスト

次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。

  1. 新規利用者の面談で、インスリンなどの自己注射の有無を聞き、ある場合は使用済みの針をどの容器に入れ、どこに置いているかを確かめる
  2. 訪問介護員が針に触れてよいか、容器ごとのごみ出しの依頼を受けてよいかを、主治医・訪問看護の看護職員・担当の介護支援専門員に確認し、結果をサービス担当者会議の記録に残す
  3. 利用者の住む市区町村の、使用済み注射針の出し方(医療機関への持参、通常のごみに出す場合の容器)の案内を確かめ、利用者・家族に伝える
  4. 自社の感染対策の手順書に、針が落ちていたときの対応と、針刺し事故が起きたときの報告先を書き、訪問介護員に周知する

一次資料

個別地域の運用は指定権者で確認してください。

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