運営 / 更新 2026-10-21

利用者にインフルエンザが疑われるとき:訪問介護のサービス見合わせ・マスク・職員の休業期間

利用者に急な発熱や全身のだるさがあってインフルエンザが疑われるときは、早めに医師の診察につなぎ、原則としてサービス利用の見合わせを検討します。厚生労働省の「介護現場における感染対策の手引き 第3版」(令和5年9月)は、インフルエンザには治療薬があるため、早く気づいて重症化する前に治療につなげることが重要としています。このページは、疑う症状、見合わせの考え方、職員の休業期間の決め方を手引きで確認し、感染症全般の手順は訪問介護の感染対策の手引きで扱っています。

事務机に置かれたノートパソコンと書類・手帳の写真

インフルエンザの特徴:潜伏期間は平均2日、飛沫と接触でうつる

手引きは、インフルエンザの潜伏期間を平均2日(1〜4日)、感染経路を咳やくしゃみの飛沫による飛沫感染で、接触感染もあるとしています。感染期間は発熱の1日前から3日目をピークとして7日目頃までとされています。

症状は、悪寒、頭痛、高熱(39〜40℃)で始まり、倦怠感、腰痛、筋肉痛などの全身症状と、咽頭痛、咳、鼻汁、鼻づまりの呼吸器症状が出ます。嘔吐、下痢、腹痛などの消化器症状が出ることもあり、脳症を併発するとけいれんや意識障害が起こり、死に至ることや後遺症を残すこともあるとされています。解熱剤によっては脳症を起こすことがあるため、どの薬を使うかは医師に相談することと書かれています。

この記事で決めること

訪問介護員やサービス提供責任者が、利用者に急な発熱や全身症状があってインフルエンザが疑われるときに、サービス利用の見合わせ、早めの受診、マスクと換気、職員が感染したときの休業期間の決め方を、厚生労働省の感染対策の手引き第3版で確認するための考え方と確認順を整理します。

読み終えたら、インフルエンザが疑われるときの連絡メモ(症状が出た日時・体温・咳や鼻水や筋肉痛などの有無・マスクの着用・連絡先と受診の相談・サービスの見合わせの判断の記録欄)を作成できる状態を目指します。

疑うきっかけ:急な発熱と全身症状。高齢者は熱が目立たないこともある

手引きが示す疑うべき症状は、急な発熱(38〜40℃)と、頭痛、腰痛、筋肉痛、全身倦怠感などの全身症状です。これらと同時に、あるいはやや遅れて、咽頭痛、鼻汁、鼻閉、咳、痰などの気道の症状が出るとされています。

ただし、手引きは、高齢者では発熱が顕著でない場合があるので注意が必要としています。訪問介護員は、体温だけでなく、いつもと違う様子、咳や鼻水、食欲やだるさの変化を記録に残すと、報告や受診の相談で具体的に伝えられます(本サイトの整理例です)。

疑ったときの対応:早めの受診、サービスの見合わせ、マスクと換気

手引きは、インフルエンザを疑う症状があった場合は早めに医師の診察を受けるとしています。受診の段取りは、サービス提供責任者への報告に続けて、ケアマネジャーやかかりつけ医に相談する流れが考えられます(本サイトの整理例です)。連絡の流れは訪問介護のサービス提供・ケアマネ連携・月次報告と合わせて確認できます。

感染経路別の予防策のうち飛沫感染の項で、手引きは、利用者に感染が疑われる症状(発熱等)がある場合には、原則としてサービス利用を見合わせるとしています(施設系を除く)。見合わせた間の生活を誰がどう支えるかは、ケアマネジャーや家族と相談して決める事項で、代わりの支援が必要かの相談も含みます(本サイトの整理例です)。

ケアを行うときは、職員は原則として不織布マスクを着けます。疑われる症状のある利用者にも、呼吸の状態で着けにくい場合を除き、マスクを着けてもらうとされています。マスクを着けずに咳やくしゃみをするときは、口と鼻をティッシュなどで覆って使用後に捨て、ハンカチやタオルは共用しないとされています。

手引きは、手指衛生の徹底と、寒さに配慮しながらこまめに換気を行うことも重要としています。

予防:ワクチンと、職員が感染したときの休業期間

手引きは、予防策としては利用者と職員にワクチンを接種することが有効で、インフルエンザワクチンの最も大きな効果は重症化の予防だとしています。流行する季節の前に、予防接種の必要性、有効性、副反応を利用者に説明し、同意が得られた人が安全に接種できるよう配慮することとされています。

入職時の接種歴の確認や、職員が体調を崩したときの就業停止の考え方は訪問介護員の予防接種・体調不良時の就業停止・体液に触れたときの受診で確認できます。

職員が感染した場合の休業期間は、施設で決めておくとされています(訪問介護では事業所に置き換えて読みます)。参考として、手引きは、学校保健安全法に基づく出席停止期間が「発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後2日を経過するまで」であると示しています。学校の決まりを事業所にそのまま当てはめるものではなく、就業規則と合わせて決めます(本サイトの整理例です)。

同じ部屋にいた利用者などへの抗インフルエンザ薬の予防内服が行われる場合もありますが、対象になるかどうかは医師と相談して慎重に判断するとされています。

事業所で決めておくこと

報告する症状の目安、報告先、サービスを見合わせるときの連絡先、マスクなどの備え、職員の休業期間を、訪問する職員全員が知っておくと動きやすくなります(本サイトの整理例で、手引きが様式を定めているわけではありません)。症状のある利用者を担当した職員と、その後に訪問する利用者の順番は、責任者が把握しておきます。緊急で受診が必要と思われる状態のときの対応は訪問介護の緊急時対応の義務で確認できます。

咳や発熱があるときに結核や麻しんのような空気感染の疑いがないかは利用者に結核・麻しんなど空気感染の疑いがあるときで、嘔吐や下痢が中心のときは利用者に嘔吐・下痢が疑われるときで整理しています。個別の利用者がインフルエンザかどうかの判断や治療は、医師に確認する事項です。このページの内容は手引きの記載の要約であり、個別の事案への助言ではありません。

実行チェックリスト

次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。

  1. 急な発熱、頭痛、筋肉痛、全身のだるさ、咳や鼻水などに気づいたら、その日時と体温を記録し、サービス提供責任者へ報告する。高齢者は熱がはっきり出ない場合があるため、いつもと違う様子も伝える
  2. インフルエンザを疑う症状があるときは早めに医師の診察を受けられるよう、ケアマネジャーやかかりつけ医へ相談し、サービスの見合わせや代わりの支援が必要かを相談する
  3. ケアのときは職員が不織布マスクを着け、利用者にも着けてもらい、手指衛生と換気を行う。症状のある利用者の担当と訪問順を責任者が把握する
  4. 職員が感染したときの休業期間を、事業所の就業規則と合わせて決めておく。参考として、手引きは学校保健安全法の出席停止期間を示している

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隣接する判断をつなぎ、記事単体で計画を止めないためのガイドです。

よくある質問

迷いやすい範囲と確認順を、質問ごとに整理します。

高齢の利用者は、熱が出なければインフルエンザではありませんか?

そうとは限りません。手引き第3版は、インフルエンザを疑う症状として急な発熱(38〜40℃)と頭痛、腰痛、筋肉痛、全身倦怠感などを挙げたうえで、高齢者では発熱が顕著でない場合があるので注意が必要としています。咽頭痛、鼻汁、鼻閉、咳、痰などの症状や、嘔吐、下痢を伴うこともあります。

利用者にインフルエンザが疑われるとき、訪問は続けてよいですか?

手引き第3版は、飛沫感染する感染症で利用者に感染が疑われる症状(発熱等)があるときは、原則としてサービス利用を見合わせる(施設系を除く)としています。見合わせた場合の代わりの支援は、ケアマネジャーや医師と相談して決める事項です。

職員がインフルエンザにかかったときの休業期間は、どう決めますか?

手引き第3版は、職員が感染した場合の休業期間を施設で決めておくとしています(訪問介護では事業所に置き換えて読みます)。参考として、学校保健安全法では発症した後5日を経過し、かつ解熱した後2日を経過するまでを出席停止期間としています。事業所の就業規則と合わせて決めます。

一次資料

個別地域の運用は指定権者で確認してください。

  • 厚生労働省「介護現場における感染対策の手引き 第3版(令和5年9月)」(標準予防策(p.5・p.22〜27)、手指衛生の5つのタイミング(p.24)、訪問系の注意(p.17)、嘔吐物・排泄物の処理(p.45)、感染症発生時の対応フロー(訪問系・p.56〜57)、報告の基準(p.62)、職員の健康管理(入職時の確認・就業停止・健康診断・ワクチンによる予防・職業感染対策、p.51〜53)、疥癬(p.110〜113)、感染経路別の予防策(空気感染・飛沫感染・接触感染、p.10〜13)、利用者の健康管理(結核の排菌と治療・感染を疑う症状、p.28〜29)、誤嚥性肺炎(p.114〜115)、感染性胃腸炎・ノロウイルス(p.97〜99)、インフルエンザ(p.94〜96)、薬剤耐性菌感染症(p.117〜118)、研修の章の提供拒否に関する記載(p.40)、帯状疱疹(p.119))(確認日 2026-10-21)

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