運営 / 更新 2026-10-27

訪問介護の外出介助の運賃・駐車料金:実施地域内は訪問介護員の分を受け取れない

外出介助中の訪問介護員の運賃と駐車料金は、実施地域内なら利用者から受け取れないと、広島県のQ&Aが示しています。同じQ&Aは、目的地が通常の事業の実施地域内なら、訪問介護員の交通費は介護報酬に含まれているので利用者から徴収できず、駐車料金も同様としています。横浜市の手引きは、バス等の料金を利用者が負担するものと答えていますが、誰の運賃を指すかは原文から判断できません。

事務机に置かれたノートパソコンと書類・手帳の写真

基準第20条が利用者から受け取れる費用として書いているもの

指定居宅サービス基準の第20条は、利用料等の受領を定めています。法定代理受領サービスでは、利用者から受け取る額は、居宅介護サービス費用基準額から居宅介護サービス費の額を控除した額、つまり利用者負担分です(第1項)。そのほかに受け取れるのは、利用者の選定により通常の事業の実施地域以外の地域の居宅で訪問介護を行う場合の、それに要した交通費の額です(第3項)。

第3項の交通費は、実施地域の外の居宅へ訪問する場合の費用として書かれています。運賃や駐車料金という語は、条文にありません。外出介助中の費用をどう扱うかは、この条文の読み方によって決まります。

第4項は、交通費を受け取る場合に、あらかじめ、利用者またはその家族に対し、サービスの内容と費用について説明を行い、同意を得ることを求めています。

この記事で決めること

外出介助や買い物の同行で生じる訪問介護員の運賃・駐車料金を、利用者から受け取れるかどうかための考え方と確認順を整理します。

読み終えたら、外出介助の費用負担の整理表(運賃・駐車料金などの費用ごとに、誰の分か、利用者から受け取れるか、確かめた根拠を並べた表)を作成できる状態を目指します。

広島県のQ&A:実施地域内の訪問介護員の交通費と駐車料金

広島県のQ&Aは、外出介助する際の訪問介護員の交通費(電車賃等)を利用者から徴収してよいかという質問に、基準第20条第3項にある交通費に該当すると答えています。そのため、目的地が通常の事業の実施地域内にある場合は、交通費は介護報酬に含まれているので、利用者から徴収できません。駐車料金も同様に徴収できません。

このQ&Aの冒頭には、厚生労働省から示された基準・解釈通知、口頭説明、電話照会による回答、その他の情報を県でまとめたもので、今後訂正される可能性があるという注記があります。国の通知そのものではなく、広島県の示した取扱いとして読んでください。掲載日は3月15日と記載されていますが、年の記載は確認できませんでした。

実施地域内の扱いを表にすると、次のとおりです。実施地域外の目的地について、広島県のQ&Aに記載はありません。

訪問介護員の交通費・駐車料金の扱い(広島県Q&Aで確認できた範囲)
目的地訪問介護員の交通費(電車賃等)駐車料金
通常の事業の実施地域内介護報酬に含まれるため利用者から徴収できない同様に徴収できない
通常の事業の実施地域外広島県Q&Aに記載がなく、確認できていない(居宅が実施地域外の場合は第20条第3項)広島県Q&Aに記載がなく、確認できていない

横浜市の手引き:報酬は移送の費用ではない、運賃は利用者負担の質問事例

横浜市の令和8年度運営の手引き(2026年10月2日版)は、通院等の外出介助の移動手段を4つに分けています。分け方は、徒歩や車椅子など交通機関を使わない、公共交通機関(バス・一般タクシーなど)を使う、他の職員が運転する自家用自動車に同乗する、訪問介護員が自ら運転する、の4つです。そのうえで、介護保険から支払われる報酬は、訪問介護員が通院のために行う介助に対する報酬で、居宅から病院までの移送に要する費用ではないとしています。

同じ手引きは、同乗または自ら運転する場合の移送のための費用(タクシー運賃)は、介護保険の対象外とも書いています。介護保険の給付の対象にならないという説明で、誰が負担するかまでは、この箇所に書かれていません。

手引きの質問事例には、バス等の交通機関を利用して外出介助や買い物等の生活援助を行った際の交通機関の料金は、利用者負担で構わないかという質問があり、利用者が負担するものですという答えがあります。この答えが利用者本人の運賃を指すのか、同行した訪問介護員の運賃まで含むのか、原文からは判断できません。

広島県のQ&Aは、実施地域内の訪問介護員の交通費を徴収できないとしています。両方とも、バス等で外出介助をしたときの料金についての質問ですが、二つの答えが同じ範囲の費用を指すのかは、原文だけでは判断できません。事業所の指定権者に書面で確かめてください。

費用ごとの整理と、重要事項説明書への書き方

外出介助の費用は誰の分かで分け、訪問介護員の運賃と駐車料金は、実施地域内なら利用者から受け取らない扱いが、広島県Q&Aに示されています。横浜市は交通機関の料金を利用者が負担するものと答えていますが、誰の分かは原文から判断できません。それ以外の費用の扱いは、指定権者への確認が必要です。

利用者に負担を求める費用がある場合は、利用開始前の重要事項説明書で説明し、同意を得ます。重要事項説明書の記載事項と交付・同意の手順は訪問介護の重要事項説明書:記載事項と交付・同意で確認できます。

利用者へ請求する費用の記録は、金銭を預かる場面の管理とも関わります。訪問介護の利用者の金銭の取扱いで、預かり金の確認方法を整理しています。

関連する別の論点

実施地域の外の居宅へ訪問するときの交通費の受け取り方は実施地域外の利用者への訪問で解説しています。利用料の受領全体と、別料金にできるサービスの範囲は訪問介護の利用料等の受領にまとめています。

通院等乗降介助の算定は訪問介護の通院等乗降介助の算定要件と単位数、受診中の待ち時間や複数の医療機関を回る日の扱いは通院等乗降介助の待ち時間と複数の医療機関を回る日の算定で確認できます。

この記事で確認した範囲

2026-10-27に、指定居宅サービス基準の第20条をe-Govの現行条文で確認し、広島県のQ&Aと横浜市の令和8年度運営の手引き(2026年10月2日版)を本文で確認しました。国の通知やQ&Aで、外出介助中の運賃を誰が負担するかを直接述べた原文は、今回確認できていません。

入場料など、運賃と駐車料金以外の費用は、確認できた資料に記載がないため書いていません。他の都道府県・市町村の取扱いも確認していないので、事業所の所在地の指定権者に確かめてください。

実行チェックリスト

次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。

  1. 外出介助や買い物の同行で生じる費用(バスなどの運賃、駐車料金)を書き出し、訪問介護員の分か利用者本人の分かを分ける
  2. 目的地が事業所の通常の事業の実施地域の内か外かを、運営規程の記載で確かめる
  3. 実施地域内の訪問介護員の交通費と駐車料金は利用者から受け取らない扱いを、指定権者の手引きやQ&Aで確かめ、重要事項説明書の記載と食い違わないようにする
  4. 利用者に負担を求める費用がある場合は、指定権者に確かめた扱いを契約前に利用者へ説明し、同意を得て、説明の内容と日時を記録に残す

一次資料

個別地域の運用は指定権者で確認してください。

次に読む: 訪問介護の利用料等の受領(基準第20条・交通費と保険外サービスの別料金の条件) →