開業準備 / 更新 2026-10-18

訪問介護の経営者に資格は必要か:役割別の資格要件表

訪問介護の経営者(開設者)自身に、介護の資格を求める定めは、介護保険法の指定の条文には見当たりません。資格が条文で求められるのは、サービス提供責任者と訪問介護員で、管理者にも資格の定めはありません。経営者が自分でこの2つを兼ねるなら、その役割の資格が必要です(4つの役割の定めは下の表)。

事務机に置かれたノートパソコンと書類・手帳の写真

4つの役割の資格要件表

訪問介護の指定を受けるには、4つの役割が出てきます。開設者は、指定を申請し、事業を行う者です。管理者は、事業所ごとに置く責任者、サービス提供責任者は、利用者ごとの計画づくりと訪問介護員の指導を担う人、訪問介護員は、利用者の自宅でサービスを提供する人です。

資格の定めがあるかどうかは、役割によって分かれます。下の表は、介護保険法第70条と運営基準(平成11年厚生省令第37号)第5条・第6条を、2026年10月18日にe-Govで確かめた内容です。

訪問介護の4つの役割と資格の定め
役割資格の定め根拠このページの確認範囲
開設者(申請者)介護の資格を求める語は条文にない。申請者の要件は都道府県の条例で定める者とされている介護保険法第70条第2項第1号条例の中身は読んでいない。申請先で確認
管理者条文に資格の定めはない。専らその職務に従事する常勤の者を事業所ごとに置く運営基準第6条通知の扱いは別記事で整理
サービス提供責任者介護福祉士その他厚生労働大臣が定める者で、専ら指定訪問介護に従事する者運営基準第5条第4項厚生労働大臣が定める者の細目は読んでいない
訪問介護員指定訪問介護の提供に当たる介護福祉士、または政令で定める者。事業所に常勤換算で2.5以上運営基準第5条第1項政令で定める者の細目は別記事で整理

この記事で決めること

訪問介護の開業準備者が、経営者(開設者)自身に介護の資格が要るのかを、開設者・管理者・サービス提供責任者・訪問介護員の役割ごとの資格の定めで確かめ、自分がどの役割を兼ねるときに資格が必要になるかを判断するための考え方と確認順を整理します。

読み終えたら、役割分担メモ(開設者・管理者・サービス提供責任者・訪問介護員を担う人の名前、各人が持つ資格、経営者自身が兼ねる役割、指定権者に確かめた日と回答)を作成できる状態を目指します。

開設者:資格ではなく、申請者の要件と欠格事由が決まっている

介護保険法第70条第2項は、都道府県知事が指定をしてはならない場合を挙げています。1つ目は、申請者が都道府県の条例で定める者でないときです。申請者の要件そのものは、条文では条例に任されています。

条例で定める要件の例は、東京都の事業者指定のガイドブックにあります。介護保険の各事業を申請するには法人格が必要とされています。内容は指定申請の定款の事業目的の書き方で整理しています。

もう1つ、第4号が定める欠格事由があります。拘禁刑以上の刑に処せられ、その執行を終わるまでの者などは、指定を受けられません。資格でなく過去の処分や刑の有無が問われ、全体は指定の欠格事由にあります。

つまり、介護福祉士などの資格を持たない人でも、条例の要件を満たす法人であれば、開設者になれる余地があります。ただし、法人の要件や代表者の扱いは、都道府県・政令市・中核市ごとに確かめる必要があります。

管理者:資格の定めがなく、兼務できる

運営基準第6条は、専らその職務に従事する常勤の管理者を、事業所ごとに置くよう求めています。条文に資格の語はありません。管理上支障がない場合は、その事業所の他の職務や、他の事業所・施設の職務を兼ねることができます。

経営者が管理者を兼ねる形も、この範囲で考えられます。常勤と専従の意味、兼務の範囲は訪問介護の管理者の要件:資格の扱い・常勤と専従・兼務できる範囲で整理しています。

サービス提供責任者と訪問介護員:資格が条文で求められる役割

訪問介護員は、指定訪問介護の提供に当たる介護福祉士、または介護保険法に基づく政令で定める者です。事業所には、常勤換算で2.5以上の員数が必要です。常勤換算は、勤務延時間数を常勤の勤務時間で割って数えます。

サービス提供責任者は、介護福祉士その他厚生労働大臣が定める者で、専ら指定訪問介護に従事する者から充てます。利用者への提供に支障がない場合は、同一敷地内の定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業所または夜間対応型訪問介護事業所にも従事できます。

経営者が自分で訪問に入るなら、訪問介護員の資格が要ります。サービス提供責任者を兼ねるなら、さらに限られた資格が要ります。資格の範囲は訪問介護員の資格と従事範囲、配置の人数は訪問介護のサービス提供責任者の配置基準にあります。

経営者が資格を持たないときの人員の組み方

経営者が資格を持たない場合は、開設者を法人として申請し、サービス提供責任者と訪問介護員に、資格を持つ人を割り当てます。管理者は資格の定めがないため、経営者自身が就く形も、管理者に別の人を置く形も、基準の上では考えられます。

まず、4つの役割を担う人を書き出し、経営者が兼ねる役割に印を付けます。次に、印を付けた役割の資格を表で見て、足りないところに資格を持つ人を割り当てます。人員の全体は訪問介護の人員基準で確かめられます。

この記事で読んだ範囲

この記事で読んだのは、介護保険法第70条と、運営基準第5条・第6条の条文です。厚生労働大臣が定める者の範囲、各都道府県・政令市・中核市の条例、留意事項通知の全文は読んでおらず、個別の人が各役割に就けるかは判断しません。指定権者の窓口に確かめてください。

実行チェックリスト

次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。

  1. 開設者(申請者)になる法人について、申請先の都道府県・政令市・中核市の条例上の申請者の要件と、法人格の要否を窓口に確かめて記録する
  2. 管理者、サービス提供責任者、訪問介護員の4つの役割を、誰が担うかを書き出し、経営者自身が兼ねる役割に印を付ける
  3. 経営者が兼ねる役割ごとに、必要な資格(サービス提供責任者と訪問介護員は介護福祉士または研修修了、管理者は資格の定めなし)を表で確かめ、足りない役割には資格を持つ人を割り当てる
  4. 割り当てた人の資格の修了証の写しを集め、指定権者の窓口で兼務の範囲を含めて確かめ、確かめた日と回答を記録する

一次資料

個別地域の運用は指定権者で確認してください。

次に読む: 訪問介護の管理者の要件:資格の扱い・常勤と専従・兼務できる範囲(省令第6条) →