開業準備 / 更新 2026-10-14
訪問介護の管理者の要件:資格の扱い・常勤と専従・兼務できる範囲(省令第6条)
訪問介護の管理者に、介護福祉士などの資格を求める定めは、運営基準の第6条にありません。決まっているのは、事業所ごとに、専らその職務に従事する常勤の管理者を置くことです。このページは、運営基準(平成11年厚生省令第37号)第6条と厚生労働省の留意事項通知(老企第25号)で、資格の扱い、常勤と専従の意味、ほかの職務を兼ねられる範囲を整理します。
この記事で決めること
訪問介護の開業準備者や事業所の経営者が、管理者に資格が要るのか、常勤と専従は何を指すのか、ほかの職務や他事業所の仕事を兼ねられるのはどこまでかを、省令第6条と留意事項通知で確認するための考え方と確認順を整理します。
読み終えたら、管理者の予定者の職務の点検表(予定者の他の職務、通知の2つの場合のどちらに当たるか、他の事業所までの距離と数、勤務表への兼務関係の記載)を作成できる状態を目指します。
第6条が求めること:事業所ごとに、専らその職務に従事する常勤の管理者
第6条は、指定訪問介護事業者に、指定訪問介護事業所ごとに、専らその職務に従事する常勤の管理者を置くよう求めています。管理者は、法人ではなく事業所ごとに置きます。
ただし書きがあり、事業所の管理上支障がない場合は、その事業所の他の職務に従事したり、他の事業所や施設等の職務に従事したりできます。どこまでが支障のない範囲かは、通知が具体例を示しています。後の節で整理します。
常勤、専ら従事するという言葉の意味は、常勤・専ら従事・勤務延時間数の定義で整理しています。通知は、管理者について「常勤であり、かつ、原則として専ら当該事業所の管理業務に従事する」と書いています。
資格は条文にない:管理者は訪問介護員等である必要もない
第6条の条文には、管理者の資格や研修の修了を求める言葉がありません。介護福祉士、実務者研修、初任者研修といった資格を、管理者の条件にする定めは、この条文からは読み取れません。
通知はさらに、管理者について「訪問介護員等である必要はないものである」と書いています。訪問介護員等の資格を持つ人でなくても、管理者になれるという意味です。
資格が求められるのは、管理者ではなく、サービス提供責任者や訪問介護員のほうです。サービス提供責任者の資格は訪問介護のサービス提供責任者の配置基準、訪問介護員の資格は訪問介護員の資格と従事範囲で整理しています。
資格が要らないことと、責任が軽いことは別です。管理者は、従業者と業務の一元的な管理、運営基準を守らせるための指揮命令を担います。担当する内容は管理者とサービス提供責任者の責務にあります。
兼務できる範囲:管理業務に支障がない2つの場合
通知は、管理業務に支障がないときに限り、管理者がほかの職務を兼ねられる場合を2つ挙げています。1つ目は、その事業所の訪問介護員等として働く場合です。管理者が自分で訪問に入ることは、この場合に当たります。
2つ目は、同一敷地内にある、または道路を隔てて隣接するなど、管理業務に支障がないと認められる範囲に、ほかの事業所や施設等がある場合です。その他の事業所や施設の管理者、または従業者として働けます。通知は、その事業所や施設の事業の内容は問わないとしています。
通知は、2つ目の場合で支障があると考えられる例も挙げています。管理すべき事業所の数が過剰と個別に判断される場合と、併設される入所施設で入所者にサービスを提供する看護職員や介護職員と兼務する場合です。
ただし、施設での勤務時間が極めて限られている職員の場合などは、個別に判断したうえで、例外的に認めることがあってもよいと通知は書いています。具体的な組み合わせが認められるかどうかは、事業所を指定する都道府県や市に確認が必要です。
確認の順番:管理者に予定している人の職務を書き出す
まず、管理者に予定している人が、事業所でほかにどんな職務に就くかを書き出します。自分で訪問に入るのか、同じ敷地のほかの事業所の仕事もするのかを分けて書きます。
次に、書き出した職務が、通知の挙げる2つの場合のどちらに当たるかを見ます。ほかの事業所の仕事を兼ねるときは、その事業所までの距離、事業所の数、勤務時間を、管理業務に支障がないかを説明できる形でそろえておきます。
勤務表には、管理者との兼務関係を明確にします。通知は、原則として月ごとの勤務表を作り、訪問介護員等については、日々の勤務時間、職務の内容、常勤か非常勤か、管理者との兼務関係などを明確にするよう求めています。様式は勤務体制及び勤務形態一覧表の書き方にあります。
管理者が交代したときは、変更届を出します。届出の期限と手続は管理者・サービス提供責任者の変更届で整理しています。人員基準の全体は訪問介護の人員基準に戻って確認します。
このページの範囲
このページが確認したのは、運営基準第6条の条文と、老企第25号の管理者に関する箇所です。基準該当訪問介護の管理者は、常勤である必要がないと通知が別に書いていますが、このページでは指定訪問介護だけを扱っています。
個別の人が管理者になれるか、特定の兼務が認められるかどうかは扱っていません。都道府県や市が独自に求める要件や運用がある場合もあるので、申請する指定権者の案内を確認してください。
実行チェックリスト
次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。
- 管理者に予定している人が、事業所でほかに就く職務を書き出し、自分で訪問に入るのか、他の事業所の仕事もするのかを分ける
- 書き出した職務が、その事業所の訪問介護員等としての職務か、同一敷地内や隣接する他の事業所、施設等での職務かを、通知の2つの場合に当てはめる
- 他の事業所を兼ねる場合は、距離、管理する事業所の数、併設施設での職務の内容と勤務時間を整理し、管理業務に支障がない理由を説明できる形にする
- 勤務表に管理者との兼務関係を書き、指定を受ける都道府県や市に、予定している兼務が認められるかを確認する
一次資料
個別地域の運用は指定権者で確認してください。
- 厚生労働省「指定居宅サービス等及び指定介護予防サービス等に関する基準について(平成11年9月17日老企第25号厚生省老人保健福祉局企画課長通知)」(確認日 2026-10-04)
- デジタル庁(e-Gov法令検索)「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(第六条 管理者)」(確認日 2026-10-14)