運営 / 更新 2026-10-14

特定事業所加算(Ⅰ)(Ⅱ)のサービス提供責任者要件:実務経験3年・5年の数え方と常勤2名

特定事業所加算(Ⅰ)を届け出るには、事業所の全てのサービス提供責任者が、介護福祉士なら3年以上、実務者研修修了者などなら5年以上の実務経験を持っている必要があります。区分(Ⅱ)ではこの方法か、介護福祉士の割合による方法のどちらかを選びます。厚生労働大臣が定める基準(告示)と留意事項通知(老企第36号)で、資格ごとの年数、実務経験の数え方、常勤のサービス提供責任者を2名以上置く場合を確認します。

事務机に置かれたノートパソコンと書類・手帳の写真

この記事で決めること

特定事業所加算(Ⅰ)(Ⅱ)の届出を考える訪問介護事業所の管理者が、全てのサービス提供責任者に求められる実務経験年数と、常勤2名以上の配置が必要になる場合を、告示と留意事項通知で確認するための考え方と確認順を整理します。

読み終えたら、サービス提供責任者ごとの要件確認表(保有資格、介護に関する業務の従事期間の通算、3年または5年との比較、常勤・非常勤の別、常勤の人数)を作成できる状態を目指します。

この要件が必要な区分と、告示の条文

告示は、特定事業所加算(Ⅰ)の人材要件の一つとして、事業所の全てのサービス提供責任者が、3年以上の実務経験を有する介護福祉士、または5年以上の実務経験を有する実務者研修修了者、旧介護職員基礎研修課程修了者、旧1級課程修了者であることを求めています。通知はこれを「サービス提供責任者要件」と呼んでいます。

「全ての」と書かれているため、常勤の人だけでなく、非常勤のサービス提供責任者も年数の確認の対象です。1人でも年数に届かない人がいれば、この方法では要件を満たせません。

区分によって、この要件の位置づけが違います。区分(Ⅰ)は必須の要件の一つです。

区分(Ⅱ)は、訪問介護員等の介護福祉士の割合による方法と、このサービス提供責任者要件の、どちらかに適合すればよいとされています。区分(Ⅲ)(Ⅳ)(Ⅴ)の条文には、この要件がありません。

区分ごとのサービス提供責任者要件の位置づけ(告示 訪問介護費 三 イ・ロ・ハ・ニ・ホ)
区分サービス提供責任者要件の扱い
特定事業所加算(Ⅰ)必須。介護福祉士の割合の要件、重度要介護者等対応要件とあわせて満たす
特定事業所加算(Ⅱ)介護福祉士の割合の要件か、このサービス提供責任者要件の、どちらか一方に適合すればよい
特定事業所加算(Ⅲ)(Ⅳ)(Ⅴ)条文に定めがない(常勤のサービス提供責任者の上乗せ配置は、勤続年数要件の別の選択肢として別に定められている)

資格ごとに必要な実務経験の年数

必要な年数は、サービス提供責任者が持つ資格で変わります。介護福祉士は3年以上、それ以外の3つの資格は5年以上です。実務者研修修了者の定義は、告示が、介護福祉士養成の学校または養成施設で、1月以上介護福祉士として必要な知識と技能を習得した者としています。

旧介護職員基礎研修課程修了者と旧1級課程修了者は、制度の見直し前の研修を修了した人です。研修の名称が今の制度と違うため、修了証の名称は届出の前に確認しておきます。訪問介護員の資格の種類そのものは「訪問介護員の資格と従事範囲(介護福祉士・初任者研修・生活援助従事者研修・実務者研修)」にあります。

資格と必要な実務経験年数(告示 三 イ(6))
サービス提供責任者の資格必要な実務経験
介護福祉士3年以上
実務者研修修了者5年以上
旧介護職員基礎研修課程修了者5年以上
旧1級課程修了者5年以上

実務経験の数え方:サ責としての期間に限らない

通知は、この「実務経験」を、サービス提供責任者としての従事期間ではなく、在宅や施設を問わず介護に関する業務に従事した期間だと定めています。さらに、資格を取得する前や研修を修了する前の従事期間も含めるとしています。

つまり、サービス提供責任者になって1年の人でも、その前に施設で介護職員として働いた期間があれば、合わせて数えられます。何を「介護に関する業務」と見るか、期間を何で証明するかの細かい扱いは通知に書かれていないため、届出先の指定権者に確認してください。

次の表は、説明用の架空の例です。実在の職員の値ではありません。全員が基準に届いて初めて、事業所として要件を満たします。

サービス提供責任者3人の確認例(架空の事業所。資格取得前を含む介護業務の通算年数)
職員資格介護業務の通算必要な年数判定の見方
Aさん介護福祉士3年2か月(資格取得前の施設勤務2年を含む)3年以上届いている
Bさん実務者研修修了者4年6か月5年以上届いていない。5年になる月まで待つか、別の方法を考える
Cさん旧介護職員基礎研修課程修了者6年5年以上届いている

常勤のサービス提供責任者が2名以上必要になる場合

告示のただし書は、人員基準で1人を超えるサービス提供責任者を置くことになっている事業所では、常勤のサービス提供責任者を2名以上配置していることを求めています。

通知は、この点をさらに説明しています。人員基準上、常勤のサービス提供責任者を2人置くことになっている事業所でも、基準のただし書によれば、常勤を1人にして、足りない分を非常勤で常勤換算して置けば基準を満たせます。しかし、この加算の要件を満たすには、常勤のサービス提供責任者を2人以上置かなければならない、というのが通知の整理です。

人員基準を満たしていても、この加算では常勤の人数が足りなくなる場合がある、という点が見落とされやすい箇所です。基準上の配置人数の考え方は「訪問介護のサービス提供責任者の配置基準(利用者40人ごとに1人以上・前3か月平均)」に、常勤の定義は「常勤・専ら従事・勤務延時間数の定義:週32時間の基準と併設事業所の勤務時間の合算」にあります。

届出の前に確かめることと、次に知りたいこと

全てのサービス提供責任者について、資格、取得年月、介護業務の通算年数を表にし、資格ごとの3年または5年と比べます。1人でも届かない場合、区分(Ⅱ)なら介護福祉士の割合による方法に切り替えられるかを確かめます。割合の計算は「特定事業所加算の人材要件の割合の計算と数値例(別紙9)」にあります。

届出書類のうち、サービス提供責任者要件の欄は「特定事業所加算の届出書類:別紙9・9-2・9-3と添付書類8点(京都府)」で説明しています。区分ごとの加算率と要件の全体は「訪問介護の特定事業所加算(Ⅰ)〜(Ⅴ)の単位(加算率)と算定要件一覧(体制・人材)」にあります。この記事は届出可否の判断を請け負うものではなく、個別の職員が要件に当たるかは指定権者の確認によります。

実行チェックリスト

次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。

  1. 全てのサービス提供責任者について、保有資格(介護福祉士・実務者研修・旧介護職員基礎研修・旧1級課程)と取得年月を一覧にする
  2. 資格取得前を含め、在宅・施設を問わず介護に関する業務に従事した期間を職員ごとに集め、資格に応じた3年または5年と比べる
  3. 基準上、サービス提供責任者を2人以上置くことになる事業所では、常勤のサービス提供責任者が2名以上いるかを数える
  4. 満たさない職員や常勤の不足があるときは、区分(Ⅱ)で介護福祉士の割合による方法に切り替えられるかを、指定権者へ確認する事項として準備する

一次資料

個別地域の運用は指定権者で確認してください。

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