開業準備 / 更新 2026-10-27

訪問介護の時間帯別の人員設計:朝夕の同時刻に必要なヘルパー数の考え方

訪問介護の人員基準は、訪問介護員等を常勤換算で2.5以上と定めるだけで、朝や夕方といった時間帯ごとの人数は定めていません。朝夕に訪問が重なる時間帯に何人要るかは、訪問の件数と所要時間から事業所で見積もります。

事務机に置かれたノートパソコンと書類・手帳の写真

基準が定めているのは常勤換算の員数と勤務体制

訪問介護員等の員数は、事業所ごとに常勤換算方法で2.5以上です(指定居宅サービス基準第5条第1項)。常勤換算方法は、事業所の従業者の勤務延時間数を、常勤の従業者が勤務すべき時間数で除して換算する方法と定義されています(第2条第8号)。

この定義は勤務時間の合計を割る形で、時間帯ごとの人数は条件に入っていません。つまり、常勤換算2.5以上を満たしていても、朝の同じ時刻に訪問できるヘルパーが何人いるかは、この数字からは分かりません。

もう一つの条文は、事業所ごとに訪問介護員等の勤務の体制を定めておくことを求めています(第30条第1項)。時間帯ごとの人数の下限を定める規定は、第5条と第30条の確認範囲にはありませんでした。同時刻の人数は、事業所が利用者に適切にサービスを提供できるよう自分で設計する部分です。

この記事で決めること

訪問介護の開業・拡大を考える事業者が、基準が時間帯別の人数を定めていないことを条文で確かめたうえで、朝夕など訪問が集中する時間帯に同時に必要なヘルパー数を、訪問件数と所要時間から見積もるための考え方と確認順を整理します。

読み終えたら、時間帯別の必要人数の試算表(朝・昼・夕・夜の時間帯ごとに、窓の長さ、窓の中に収める訪問件数、1件の所要時間と移動時間、必要なヘルパー数を並べた表)を作成できる状態を目指します。

同時刻の必要人数の見積もり方

考え方は、時間の窓に収めたい訪問の総時間を、窓の長さで割ることです。窓の中に収める訪問の件数に、1件のサービス時間と移動時間を足した時間をかけ、窓の長さで割って切り上げると、その窓で同時に動くヘルパーの人数の目安になります。これは制度が定めた式ではなく、検討のための計算です。

次の表は計算例です。窓の長さ、件数、所要時間はすべて説明用の仮定で、実際の事業所の値や全国の傾向ではありません。

必要人数の試算例(数値は説明用の仮定)
項目仮定した値計算
窓の長さ(朝)午前7時から午前9時の2時間2時間
窓に収めたい訪問12件12件
1件の所要時間サービス45分+移動15分=60分1時間
訪問の総時間12件×1時間12時間
必要なヘルパー数の目安12時間÷2時間6人

同じ人数でも、窓をずらせば必要人数は減る

この見積もりは、窓の中に訪問を隙間なく詰められる前提で、人数の下限に近い目安です。利用者の希望時刻が窓の前半に偏ると、必要な人数はこれより増えます。

上の例で、同じ12件を午前7時から午前10時の3時間に分ければ、12時間÷3時間で4人になります。利用者の希望時間に幅があるかどうかが、必要人数を大きく左右します。希望時間は利用者やケアマネジャーとの調整で決まるため、事業所の都合だけでは動かせません。

反対に、朝と夕方に訪問が偏る地域では、2つの窓で多くの人数が必要になる一方、昼間の窓は空きやすくなります。常勤換算2.5以上を満たすために人を増やしても、必要な時間帯に勤務できなければ、同時刻には対応できません。勤務の時間帯は、勤務体制及び勤務形態一覧表(標準様式1・訪問介護)の書き方と記入例で事業所の体制として整理します。

夜間・早朝・深夜の窓は加算の時間帯が別にある

早朝(午前6時から午前8時)と夜間(午後6時から午後10時)は所定単位数の100分の25、深夜(午後10時から午前6時)は100分の50の加算の対象です。朝の窓が午前8時をまたぐと、早朝の時間帯に始まる訪問と、そうでない訪問が1つの窓に混ざります。

時間帯の判定や加算の算定要件は訪問介護の夜間・早朝・深夜加算の時間帯と加算率(100分の25・50)で確認できます。この記事では、人数の見積もりの窓を、加算の時間帯と合わせて区切ると混乱が少ない、という整理にとどめます。

月間の上限と稼働率はほかの記事で確認する

月間にこなせる訪問件数の上限は、訪問件数上限の決め方の記事で確認できます。稼働率の意味と計算式は、稼働率の計算式と平均の記事にまとめています。

月の総量は足りていても、同時刻の人数が足りないことがある、という見方がこの記事の位置づけです。常勤換算に入れる時間の細目は常勤換算に入れる時間と入れない時間、人員基準の全体は訪問介護の人員基準で確認できます。受入件数や稼働率の入力を試すときは事業計画シミュレーターを使えます。

この記事で確認した範囲

2026-10-27に、指定居宅サービス基準の第2条第8号・第5条第1項・第30条を、e-Govの現行条文で確認しました。加算の時間帯と率は、算定基準の告示(訪問介護費の注)を同日に確認しました。

時間帯別の訪問の全国的な分布や平均的な必要人数は、公的資料で確認できず、書いていません。計算例の数値は説明用の仮定です。

実行チェックリスト

次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。

  1. 訪問を入れたい時間帯(朝、昼、夕、夜など)を、窓の開始・終了時刻で区切って表の行にする
  2. 各窓に収めたい訪問の件数と、1件のサービス時間と移動時間を、自事業所の見込みで書き込む
  3. (件数×(サービス時間+移動時間))÷窓の長さを計算し、切り上げた人数を窓ごとの必要ヘルパー数とする
  4. 窓ごとの必要人数と、事業所の勤務体制(常勤換算2.5以上、勤務形態一覧表)を見比べ、足りない時間帯は希望時間の調整か増員かを決める

一次資料

個別地域の運用は指定権者で確認してください。

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