運営 / 更新 2026-11-03
福祉用具貸与の運営指導で確認される書類:厚生労働省の確認項目と確認文書
福祉用具貸与の運営指導では、厚生労働省が定めた「確認項目」に沿って確認され、書類は「確認文書」に挙げられたものが中心になります。福祉用具貸与計画とモニタリング、福祉用具専門相談員の資格と勤務の書類を中心に、項目と確認文書を原文で一覧にし、指導の前に自分で点検する手順をまとめます。
確認項目と確認文書の位置づけ
厚生労働省の運営指導マニュアルの別添「確認項目及び確認文書」は、サービスの種類ごとに、運営指導で確認する項目と、それを確かめるための文書の例を示しています。この記事は、そのうち福祉用具貸与の項(資料内42〜45ページ)を整理したものです。
別添の「はじめに」は、確認文書として複数例示されているものは、その1つの確認で目的が達成されるなら複数を求めなくてよいと示しています。また、確認文書として例示されていても運営基準に明記されていないものは、提出がなくても基準違反にはならないとも書いています。
この記事で決めること
福祉用具貸与事業所の運営指導を前に、行政が確認する項目と、用意する書類を、厚生労働省の標準の確認項目・確認文書の原文で点検したい事業者向け。福祉用具貸与を併設・開業する事業者が、運営指導の準備の見通しを持つ場面も含む。ための考え方と確認順を整理します。
読み終えたら、福祉用具貸与の運営指導の点検表(1枚):第194条から第203条までの確認項目ごとに、確認文書の名前、置き場所、利用者ごとの福祉用具貸与計画とモニタリング記録の最新月、不足の有無を作成できる状態を目指します。
個別サービスの質に関する事項:貸与計画とモニタリングの書類
別添の福祉用具貸与の項は、確認項目を2つの区分に分けています。1つ目の「個別サービスの質に関する事項」には、設備及び備品等(第196条)、内容及び手続の説明及び同意(第8条)、心身の状況等の把握(第13条)、居宅介護支援事業者等との連携(第14条)、居宅サービス計画に沿ったサービスの提供(第16条)、サービスの提供の記録(第19条)、指定福祉用具貸与の具体的取扱方針(第199条)、福祉用具貸与計画の作成(第199条の2)が並びます。
訪問介護の項と比べると、先頭に設備及び備品等の項目があり、指定申請時または直近の変更届の平面図と合っているか、使用目的に沿って使われているかを目視で見る点が目立ちます。福祉用具の貸与は、利用者の自宅に用具を置く形が中心ですが、事業所の設備も確認の対象に入っています(この読み方は別添の記載ではなく、この記事の整理です)。
| 確認項目(条項) | 確認文書 |
|---|---|
| 設備及び備品等(第196条) | 平面図(行政機関側が保存しているもの)。確認項目は、指定申請時(更新時含む)または直近の変更届の平面図に合致しているか、使用目的に沿って使われているか(どちらも目視) |
| 内容及び手続の説明及び同意(第8条) | 重要事項説明書(利用申込者または家族の同意があったことがわかるもの)、利用契約書 |
| 居宅サービス計画に沿ったサービスの提供(第16条) | 居宅サービス計画 |
| サービスの提供の記録(第19条) | 居宅サービス計画、サービス提供記録。確認項目は、提供日と内容、終了日、種目及び品名、利用者に代わって支払いを受ける費用の額などの記載 |
| 指定福祉用具貸与の具体的取扱方針(第199条) | 身体的拘束等の記録(身体的拘束等がある場合)、サービス担当者会議の記録、サービス提供記録 |
| 福祉用具貸与計画の作成(第199条の2) | 居宅サービス計画、福祉用具貸与計画(利用者または家族の同意があったことがわかるもの)、アセスメントの結果がわかるもの、モニタリングの結果がわかるもの |
第199条と第199条の2の確認項目:貸与か販売かの説明からモニタリングまで
第199条の確認項目の先頭は、対象福祉用具について貸与または販売の選択にかかる説明を行い、医師等の意見や利用者の身体の状況等を踏まえて提案を行っているか、です。確認文書にはサービス担当者会議の記録とサービス提供記録が挙がっています。身体的拘束等の項目は、訪問介護の項と同じ書き方で、切迫性・非代替性・一時性の要件を全て満たすことと、態様と時間、利用者の心身の状況、緊急やむを得ない理由を記録することが挙げられています。
第199条の2の確認項目は、別添の原文では次の順に並んでいます。利用者の希望、心身の状況、置かれている環境を踏まえているか、福祉用具の利用目標と具体的な機種、機種選定理由などを記載しているか、モニタリングを行う時期等を記載しているか、の順です。
続いて、福祉用具貸与計画の作成後にモニタリングを行っているか(対象福祉用具の場合は貸与後6月以内に1回以上)、モニタリングの結果を記録し、居宅サービス計画を作成した指定居宅介護支援事業者に報告しているか、という項目です。最後に、居宅サービス計画に基づいて計画が立てられているか、利用者またはその家族への説明・同意・交付は行われているか、モニタリングの結果を踏まえて必要に応じて計画を変更しているか、が並びます。
計画書の記載事項やモニタリングの実務は福祉用具貸与計画の作成とモニタリングで、貸与の理由を居宅サービス計画へ残す扱いは福祉用具の理由の記録で確認できます。
体制に関する事項:福祉用具専門相談員・管理者・運営規程・研修の書類
2つ目の区分は「個別サービスの質を確保するための体制に関する事項」です。福祉用具専門相談員の員数(第194条)、管理者(第195条)、受給資格等の確認(第11条)、利用料等の受領(第197条)、運営規程(第200条)、勤務体制の確保等(第101条)、業務継続計画の策定等(第30条の2)、適切な研修の機会の確保並びに福祉用具専門相談員の知識及び技能の向上等(第201条)などが並びます。表の条項は、別添が指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準から抽出したものと注記している番号です。
| 確認項目(条項) | 確認文書 |
|---|---|
| 福祉用具専門相談員の員数(第194条) | 福祉用具専門相談員の勤務体制及び勤務実績がわかるもの(例:勤務体制一覧表、勤務実績表)、勤怠状況がわかるもの(例:タイムカード、勤怠管理システム)、資格要件に合致していることがわかるもの(例:資格証の写し、福祉用具専門相談員指定講習修了証明書の写し) |
| 管理者(第195条) | 管理者の雇用形態がわかるもの、勤務体制及び勤務実績がわかるもの、勤怠状況がわかるもの。確認項目は、常勤専従か、他の職務を兼務している場合は兼務体制が適切かどうか |
| 受給資格等の確認(第11条) | 介護保険番号、有効期限等を確認している記録等 |
| 利用料等の受領(第197条) | 請求書、領収書 |
| 運営規程(第200条) | 運営規程(事業の目的及び運営の方針、従業者の職種・員数・職務の内容、営業日及び営業時間、指定福祉用具貸与の提供方法・取り扱う種目・利用料その他の費用の額、通常の事業の実施地域、虐待の防止のための措置、その他運営に関する重要事項の7項目を定めているか) |
| 勤務体制の確保等(第101条) | 従業者の勤務体制及び勤務実績がわかるもの、雇用の形態(常勤・非常勤)がわかるもの、職場におけるハラスメントによる就業環境悪化防止のための方針 |
| 適切な研修の機会の確保並びに福祉用具専門相談員の知識及び技能の向上等(第201条) | 研修の計画及び実績がわかるもの。確認項目は、福祉用具専門相談員の資質向上のための福祉用具に関する適切な研修の機会を確保しているか |
運営指導の前に、自分で点検する手順
別添の福祉用具貸与の項の確認項目を左の列に写し、右の列に確認文書の名前と事業所での置き場所を書いていきます。そのうえで、利用者ごとに居宅サービス計画、同意の日付と署名の入った福祉用具貸与計画、アセスメントとモニタリングの記録、居宅介護支援事業者への報告、サービス提供記録が、直近の分まで揃っているかを1枚ずつ見ます。
貸与から6月が近い利用者は、モニタリングの時期を先に確かめます。福祉用具専門相談員の資格証または講習修了証明書の写し、勤務体制一覧表、勤怠の記録、研修の計画と実績は、月日がたつと変わるため、直近の分が揃っているかを別に確かめておくと安心です。
足りない文書があるときは、運営基準に書かれている文書から先に整える進め方が、別添の「はじめに」の趣旨に合います。この順番は別添に書かれた手順ではなく、この記事の整理です。
訪問介護の運営指導の確認文書は別の記事の運営指導の確認項目チェックリストにまとめています。福祉用具貸与には、福祉用具貸与計画とモニタリング、貸与か販売かの選択にかかる説明のように、福祉用具貸与だけに出てくる確認項目があります。
この記事で確認した範囲と、次に確かめること
2026年11月3日に、厚生労働省の運営指導マニュアルの別添PDFの福祉用具貸与の項で、項目と文書名を原文で確認しました。別添のPDFの本文に作成日・改訂日の表記は見当たりませんでした。体制に関する事項のうち、この記事の表に載せたのは原文で確かめた主な行だけです。
自治体が独自に求める書類や様式、運営指導の通知から当日までの日程は、この記事では扱っていません。実際に求められる書類は、事業所のある都道府県・市町村の案内で確かめてください。個別の運営基準違反の有無を、この記事で判断することはできません。
次に知りたいことは、福祉用具専門相談員の員数と管理者の条件は福祉用具貸与の指定基準、運営規程の書き方は福祉用具貸与の運営規程、貸与の重要事項説明書の記載は福祉用具貸与の重要事項で確かめられます。
実行チェックリスト
次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。
- 別添(福祉用具貸与)の確認項目を左の列に写し、右に確認文書の名前を並べて、置き場所を書く
- 利用者ごとに、居宅サービス計画、同意の署名と日付入りの福祉用具貸与計画、アセスメントとモニタリングの記録、居宅介護支援事業者への報告、サービス提供記録が直近の分まで揃っているかを確かめて表に書く
- 福祉用具専門相談員ごとに、資格証の写しまたは福祉用具専門相談員指定講習修了証明書の写し、勤務体制一覧表、勤怠の記録の直近の分を確かめ、不足や期限の近いものに印を付ける
- 貸与から6月が近い利用者のモニタリング、福祉用具貸与計画の同意、研修の計画と実績のうち不足しているものから先に整え、整えた日と担当者を表に残す
一次資料
個別地域の運用は指定権者で確認してください。
- 厚生労働省老健局総務課介護保険指導室「介護保険施設等運営指導マニュアル(令和4年3月策定・令和6年7月改訂)」(Ⅰ 基本編 第4章 監査への変更/Ⅱ 実践編 第3章 運営指導の実施)(確認日 2026-10-14)
- 厚生労働省老健局総務課介護保険指導室「介護保険施設等運営指導マニュアル 別紙2 別添「確認項目及び確認文書」(111 福祉用具貸与)」(別添 111 福祉用具貸与(資料内42〜45ページ)、はじめに)(確認日 2026-11-03)