運営 / 更新 2026-10-16

訪問介護の管理者はテレワークできるか:厚労省通知の条件と整える体制

訪問介護事業所の管理者は、個人情報を適切に管理し、管理上支障が生じない範囲であれば、テレワークを行えると、厚生労働省の通知(令和6年3月29日)が示しています。整えておく体制は、利用者や従業者との連絡手段、緊急時の対応などです。サービス提供責任者や訪問介護員は通知に名指しの項がないため、指定権者に確認します。

事務机に置かれたノートパソコンと書類・手帳の写真

この記事で決めること

訪問介護事業所の管理者が事業所を離れてテレワークをしてよいか、してよい場合にどんな体制を整えておくか、サービス提供責任者や訪問介護員はどう考えるかを、厚生労働省の通知(令和6年3月29日)と基準第6条で確認するための考え方と確認順を整理します。

読み終えたら、管理者のテレワーク運用メモ(実施する日数・時間の目安、連絡手段、緊急時の対応の流れ、個人情報の取扱い、説明用の記録)を作成できる状態を目指します。

結論:管理者は「管理上支障が生じない範囲」で可能

厚生労働省の老健局が出した通知(介護保険最新情報Vol.1237、令和6年3月29日)は、介護事業所の管理者について、個人情報の適切な管理を前提に、管理上支障が生じない範囲内でテレワークを行えると定めています。複数の事業所の管理者を兼ねている場合も、それぞれの管理に支障が出ない範囲で行えます。いずれの場合も、利用者や家族からの相談への対応を含め、サービスの提供や質に影響が出ないようにすることが条件です。

テレワークとは、事業所や利用者の居宅以外の場所で、情報通信機器を使って遠隔で業務を行うことです。この通知は、介護保険法の基準に定める従業者の取扱いを示すもので、どの日数・時間までなら許されるという数字は決めていません。日数と時間数は、サービスの種類や事業所の実態に応じて、事業者が個別に判断します。

管理者の責務を自分で果たせる体制にする

訪問介護の管理者は、基準第6条で専らその職務に従事する常勤の人を置くと定められています。第28条は、管理者が従業者と業務の管理を一元的に行い、従業者に基準を守らせるために必要な指揮命令を行うと定めています。テレワークで事業所を空けても、この責務を管理者自身が果たせる状態にしておきます。

通知が第2で求める体制は、下の表の5点です。ほかに、管理者本人と他の従業者に過度な業務負担が出ないようにすることも求められています。

通知が管理者に求める体制と、事業所で決めておくこと(右の列は事業所での決め方の例)
通知が求めること事業所で決めておくこと
責務を果たせる体制不在の時間帯に、従業者の管理や指揮命令をどう行うか
連絡が取れる体制連絡手段、応答できる時間帯、連絡先の周知先
緊急時の対応事故・急変・災害のときの連絡順と、管理者が出勤するまでの流れ
労務管理始業・終業の記録の方法(労働時間の確認)
説明できること実施した日数・時間数と体制の記録の保管

個人情報の扱い:自宅で作業するときの注意

通知の第4は、利用者や家族の情報を扱うときは、個人情報保護関係法令と厚生労働省などのガイダンスを参照し、外部への漏えいと不正アクセスを防ぐ措置を取ると定めています。

加えて、第三者が画面を覗き込んだり、従業者や利用者との会話を聞き取ったりして情報が漏れない環境で行うこと、情報が書かれた書面を自宅に持ち帰って作業するときも取扱いに留意することが示されています。持ち出してよい書類の範囲は、通知に定めはないため、事業所で決めて記録しておくと説明しやすくなります。

事業所全体の情報安全管理は訪問介護事業所の情報安全管理:厚労省の手引き(令和8年4月)のチェックリスト5区分、秘密保持の基準は訪問介護の秘密保持等(基準第33条):守秘義務と個人情報の同意で整理しています。

サービス提供責任者と訪問介護員はどう考えるか

通知は、管理者以外の従業者について、職種ごとの項を設けています。介護職員・看護職員の項では、書類作成などの事務作業は個別の業務単位ではテレワークでも利用者の処遇に支障がないと考えられるとしています。一方、利用者を直接処遇する業務と、それに関わる周辺の業務は、テレワークで行うことは想定されず、原則として認められません。

この職種別の項に、サービス提供責任者や訪問介護員の名前は挙げられていませんが、管理者以外の従業者に共通する考え方(第1(2)・第3)は当たります。書類作成などの事務作業は、日時をあらかじめ決めておけば処遇に支障がないと考えられるとされています。ただし、職種ごとの具体的な範囲は、事業所を置く指定権者に確認します。

あわせて、通知の第3は、不在になる時間が一定以上生じて職責の遂行に支障が出る場合は、テレワークをしてはならないとしています。終日、事業所を不在にするテレワークは、利用者の処遇に支障が出ないかを特に慎重に判断するよう求めています。サービス提供責任者の配置の数え方は訪問介護のサービス提供責任者の配置基準(利用者40人ごとに1人以上・前3か月平均)で確認できます。

管理者の兼務・緊急時対応・労務との関係

管理者が事業所の他の職務を兼ねる場合、そちらの職務の部分は、上の職種別の考え方に従います。通知は、他の職種を兼務する管理者がテレワークを行うときは、その職種としての業務について第3と第4を参照するとしています。兼務できる範囲そのものは訪問介護の管理者の要件:資格の扱い・常勤と専従・兼務できる範囲(省令第6条)で扱っています。

緊急時の連絡と主治医への連絡の義務は訪問介護の緊急時等の対応(基準第27条):主治医への連絡と運営規程で、管理者の責務の全体は管理者とサービス提供責任者の責務(基準第28条)で整理しています。

テレワーク中の労働時間の管理について、通知は、厚生労働省の「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン」を参照するよう示しています。労働時間の確認方法は訪問介護員の労働時間の記録方法:始業・終業時刻の確認と、自己申告制で必要な措置も参考になります。

この記事で確認していないこと

この記事は、通知の原文で確認できた範囲だけを書いています。個別の事業所でテレワークが認められるか、日数や時間数の目安があるかは、事業所を置く指定権者(都道府県・市町村)で扱いが異なる場合があるため、運営指導の担当窓口に確認してください。この記事は、個別の事業所について認められるかどうかの判定はしません。

実行チェックリスト

次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。

  1. 管理者の責務(従業者と業務の一元管理、基準遵守のための指揮命令)を自分で果たせるか、不在の時間帯ごとに洗い出して書く
  2. 利用者・従業者と勤務時間中に連絡が取れる手段と、事故・急変・災害のときに管理者が出勤するまでの流れを決める
  3. 自宅などで利用者情報を扱う機器・書面の持ち出しの範囲と、画面の覗き込みや会話の漏れを防ぐ場所を決める
  4. テレワークを行う日数・時間と体制を記録し、利用者・家族・指定権者から求められたときに説明できるように保管する

一次資料

個別地域の運用は指定権者で確認してください。

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