運営 / 更新 2026-10-24

訪問介護でペットの世話・犬の散歩を頼まれたとき:保険内でできない理由と保険外で行う条件

訪問介護の利用者から、犬の散歩や猫の餌やりなどペットの世話を頼まれたとき、介護保険の訪問介護には含まれないのが一般的です。老振第76号の別紙が、一般的に生活援助の範囲に含まれないと考えられる事例として「犬の散歩等ペットの世話等」を挙げているためです。一方、保険給付と明確に区分した保険外サービスなら、厚生労働省の通知で認められており、この記事は断るときの手順と保険外で受ける条件を2つの通知の原文で整理します。

事務机に置かれたノートパソコンと書類・手帳の写真

ペットの世話は、生活援助に含まれない事例に挙がっている

平成12年11月16日の老振第76号の別紙は、一般的には介護保険の家事援助の範囲に含まれないと考えられる事例を挙げています。通知の表記は発出当時の「家事援助」で、現在の生活援助にあたります。ペットの世話は、このうち「日常生活の援助」に該当しない行為の1つ目、訪問介護員が行わなくても日常生活を営むのに支障が生じないと判断される行為として、草むしり、花木の水やりと並んで書かれています。

別紙の事例は「一般的に含まれないと考えられる」ものを示した例で、個々の依頼が給付の対象かを機械的に決める表ではありません。老振第76号は、判断がつかないときは保険者(市町村)に確認を求めるよう定めています。生活援助の区分全体は老計第10号による身体介護と生活援助の範囲で整理しています。

老振第76号 別紙の「日常生活の援助」に該当しない行為(1つ目の型)
通知の分け方事例(通知の記載)
訪問介護員が行わなくても日常生活を営むのに支障が生じないと判断される行為草むしり
同上花木の水やり
同上犬の散歩等ペットの世話等

この記事で決めること

訪問介護の管理者・サービス提供責任者が、利用者からペットの世話や犬の散歩を頼まれたとき、保険内でできるかと、保険外で行う場合の条件を知りたい人向け。ための考え方と確認順を整理します。

読み終えたら、ペットの世話の依頼への対応メモ(1枚):依頼内容、保険給付の対象外とした根拠、保険者・ケアマネジャーへの連絡記録、保険外で受ける場合の確認欄を作成できる状態を目指します。

頼まれたときの対応:説明、保険者への確認、ケアマネジャーへの連絡

老振第76号は、保険給付として適切な範囲を逸脱したサービスを求められた場合の対応を、順に定めています。まず訪問介護員から利用者に、求められた内容が介護保険の給付対象サービスとしては適当でないことを説明します。そのとき、保険給付の範囲として適切かどうかの判断がつかない場合は、保険者(市町村)に確認を求めます。

担当の訪問介護員の説明で利用者の理解が得られないときは、サービス提供責任者が対応します。利用者が保険給付の範囲外のサービスの利用を望む場合は、訪問介護員が居宅介護支援事業者または市町村に連絡し、希望の内容に応じて、市町村が実施する軽度生活援助事業、配食サービスなどの生活支援サービス、NPO法人などの住民参加型のサービスなどを、希望に応じて助言します。提供を断るときの基準の考え方は提供拒否の禁止と紹介の義務にあります。

通知は、こうした事例への対応を居宅サービス計画の策定の段階で利用者に十分説明し、合意を得ておくことが重要だとも述べています。ペットの世話が話に出たときは、ケアマネジャーにも伝えて、計画の段階で利用者と合意しておくことが、通知の趣旨に沿います。

保険外のサービスとしてなら、訪問介護の前後や合間に行える

老振第76号は、保険給付の範囲外のサービスについて、利用者と事業者の間の契約に基づき、保険外のサービスとして、保険給付の対象サービスと明確に区分し、利用者の自己負担で提供することは当然可能だとしています。平成30年9月28日の通知は、その具体例として「訪問介護の提供の前後や提供時間の合間に、草むしり、ペットの世話のサービスを提供すること」を挙げています。

この通知が想定する形は、訪問介護の前後に続けて保険外サービスを行う場合と、訪問介護をいったん中断して保険外サービスを行い、そのあとで訪問介護を再開する場合の2つです。同じ通知は、利用者本人分と同居家族分の調理を同時に行うような、訪問介護と保険外サービスの同時一体的な提供は認めないとしています。混合介護の全体像は混合介護の取扱いに整理しています。

サービス提供責任者について、通知は、専ら指定訪問介護に従事することが求められているものの、業務に支障がない範囲で保険外サービスにも従事することは可能だとしています。

保険外で行うときの5つの条件と苦情の窓口

平成30年9月28日の通知の第二の3は、訪問介護と保険外サービスを組み合わせるとき、事業者が守る事項を5つ挙げています。下の表は原文の要点です。保険外サービスの提供時間は、訪問介護の提供時間に含めません。

通知はこのほか、提供した保険外サービスに関する苦情に対応するため、苦情を受け付ける窓口の設置などの措置を講じることを求めています。訪問介護の苦情に対応する措置をすでに講じているため、それを保険外サービスに活用することが考えられる、とも書いています。保険外の料金の受領は利用料等の受領(基準第20条)、会計の分け方は会計の区分で扱っています。

保険外サービスを組み合わせるときに守る事項(平成30年9月28日通知 第二の3)
番号守る事項(通知の要旨)
①保険外サービスの目的、運営方針、利用料等を、指定訪問介護事業所の運営規程とは別に定める
②契約の締結にあたり、重要事項を記した文書で説明し、内容・提供時間・利用料等について利用者の同意を得る
③契約の締結前後に、担当の介護支援専門員に内容や提供時間等を報告する
④利用者が別のサービスと理解しやすいよう、切り替えのタイミングを丁寧に説明するなどの配慮をする
⑤訪問介護の利用料とは別に費用を請求し、訪問介護の会計と保険外サービスの会計を区分する

資料の範囲と、次に確かめること

2026年10月24日に、老振第76号は国立社会保障・人口問題研究所の収録版で、平成30年9月28日の通知は厚生労働省の掲載版で確認しました。現行の本文との差は確認していないため、指定権者に確かめてください。

特定の依頼が保険給付の対象になるか、保険外で行う場合の料金や契約書の書き方は、この記事では判断しません。自治体によって、生活支援サービスの内容や相談の窓口は異なります。依頼の内容と、保険者に確認した日・回答は、記録に残してください。

次に確かめるなら、保険外サービスを含む重要事項の書き方は重要事項説明書の記載事項、苦情の窓口の置き方は苦情処理の義務が手がかりになります。

実行チェックリスト

次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。

  1. 依頼を受けた日と内容(餌やり・散歩・排せつ物の始末など)を書き、老振第76号の別紙の事例にあたるかを確かめて、判断がつかないときは保険者(市町村)に確認した日と回答を残す
  2. 訪問介護員から利用者へ、介護保険の給付対象としては適当でないことを説明し、理解が得られないときはサービス提供責任者が対応した記録を残す
  3. 利用者が保険外での利用を望むときは、担当のケアマネジャーまたは市町村に連絡した日と、紹介先の生活支援サービスの有無を書く
  4. 自事業所の保険外サービスとして行う場合は、運営規程とは別の定め、文書での説明と同意、ケアマネジャーへの報告、訪問介護と別の請求と会計、苦情の窓口を1枚の確認欄で照らす

一次資料

個別地域の運用は指定権者で確認してください。

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