運営 / 更新 2026-10-03
訪問介護の取扱方針(基準第22・23条):目標設定と質の評価・懇切丁寧な説明・身体的拘束等の原則禁止・介護技術の研鑽
訪問介護の事業者は、サービスの目標を設定して計画的に行い、自ら質を評価して改善し、利用者や家族へ理解しやすく説明するなど、運営基準が定める取扱方針に沿って提供します(省令第37号第22条・第23条)。この記事は、基本取扱方針の2項と具体的取扱方針の6つの号を、厚生労働省の通知(老企第25号)の留意点とあわせて整理します。個別の提供場面が方針に適合するかの判断は扱いません。
この記事で決めること
訪問介護事業者が、運営基準第22条(基本取扱方針)と第23条(具体的取扱方針)に基づいて、目標を設定して計画的にサービスを行い、質を自己評価して改善し、利用者や家族へ理解しやすく説明し、適切な介護技術で提供し、利用者の状況を把握して相談・助言する、という方針の内容を、条文と通知から確認するための考え方と確認順を整理します。
読み終えたら、取扱方針(目標設定・評価・説明・技術研鑽)の運用確認表を作成できる状態を目指します。
基本取扱方針(第22条)の2つの項
e-Govの現行条文で、第22条の見出しは「指定訪問介護の基本取扱方針」です。第1項は、指定訪問介護は利用者の要介護状態の軽減または悪化の防止に資するよう、その目標を設定し、計画的に行われなければならないと定めています。
第2項は、指定訪問介護事業者が自らその提供する指定訪問介護の質の評価を行い、常にその改善を図らなければならないと定めています。目標を決めること、質を自己評価すること、改善につなげることの3つが、条文から読み取れる要素です。
| 項 | 条文の要旨 |
|---|---|
| 第1項 | 要介護状態の軽減または悪化の防止に資するよう、目標を設定し、計画的に行う |
| 第2項 | 自ら提供する指定訪問介護の質の評価を行い、常にその改善を図る |
具体的取扱方針(第23条)の6つの号
第23条は、訪問介護員等の行う指定訪問介護の方針として6つの号を挙げています。第1号は、訪問介護計画に基づき、利用者が日常生活を営むのに必要な援助を行うことです。第2号は、懇切丁寧に行うことを旨とし、利用者または家族に、サービスの提供方法等を理解しやすいように説明することです。
第3号と第4号は身体的拘束等の原則禁止と記録、第5号は介護技術の進歩に対応した適切な介護技術での提供、第6号は常に利用者の心身の状況や置かれている環境等の的確な把握に努め、利用者または家族に適切な相談と助言を行うことです。計画の作り方と見直しの手順は訪問介護計画の作成と見直しの流れで確認できます。
| 号 | 方針の要旨 |
|---|---|
| 第1号 | 訪問介護計画に基づき、利用者が日常生活を営むのに必要な援助を行う |
| 第2号 | 懇切丁寧に行うことを旨とし、提供方法等を利用者または家族へ理解しやすいように説明する |
| 第3号 | 利用者または他の利用者等の生命・身体を保護するため緊急やむを得ない場合を除き、身体的拘束等を行わない |
| 第4号 | 身体的拘束等を行う場合は、態様・時間、利用者の心身の状況、緊急やむを得ない理由を記録する |
| 第5号 | 介護技術の進歩に対応し、適切な介護技術でサービスを提供する |
| 第6号 | 利用者の心身の状況、置かれている環境等の的確な把握に努め、利用者または家族へ適切な相談と助言を行う |
通知が示す留意点(評価と技術の研鑽)
老企第25号の掲載版は、第22条と第23条について、特に留意すべき点を2つ示しています。一つ目は、提供された介護サービスについて、目標達成の度合いや利用者および家族の満足度等を常に評価し、訪問介護計画の修正を行うなど、その改善を図らなければならないことです。
二つ目は、介護技術の進歩に対応した適切なサービスを提供できるよう、常に新しい技術を習得する等の研鑽を行うべきことです。研修の機会を計画的に確保する義務は第30条にあり、勤務体制の確保等で整理しています。
身体的拘束等は原則禁止(第3号・第4号)
第3号は、利用者または他の利用者等の生命や身体を保護するため緊急やむを得ない場合を除き、身体的拘束その他利用者の行動を制限する行為を行ってはならないと定めています。第4号は、行う場合に、その態様と時間、そのときの利用者の心身の状況、緊急やむを得ない理由を記録しなければならないと定めています。
記録の項目の整え方と、訪問介護で想定される場面の考え方は訪問介護の身体的拘束等にまとめています。この記事では条文の所在を示すにとどめ、個別の場面で緊急やむを得ないかどうかの判断は扱いません。
事業所での運用例と確認先
運用の例としては、訪問介護計画の目標ごとに評価する時期と記録の様式を決める、利用者や家族へ説明した日と内容を残す、心身の状況や環境の変化を把握して相談・助言した内容を記録する、評価で見つかった改善点を計画の修正や研修の計画へ反映した日付を残す、といった方法があります。提供の記録そのものの項目はサービスの提供の記録で確認できます。
この記事は、条文と通知の掲載版で確認できた範囲の整理です。掲載版は最新の改正が反映されていない可能性があります。個別の提供場面が方針に適合するかどうか、評価や記録の水準は、事実関係や自治体の運用で判断が分かれるため、指定権者に確認してください。運営全体の自己点検は訪問介護の運営基準の確認、確認先の一覧は指定権者に確認する事項の一覧にあります。
実行チェックリスト
次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。
- 訪問介護計画の目標と、目標の達成度合いや利用者・家族の満足度を評価する時期と記録の様式を、事業所の手順として決める
- 利用者または家族へサービスの提供方法等を理解しやすく説明した日と内容、利用者の心身の状況や環境の把握と相談・助言の内容を、案件ごとに記録する欄を設ける
- 身体的拘束等は緊急やむを得ない場合を除き行わないことを職員へ周知し、行う場合の態様・時間・心身の状況・緊急やむを得ない理由の記録の様式を用意する
- 評価で見つかった改善点を訪問介護計画の修正や研修の計画へ反映した日付を残し、介護技術の研鑽の機会を年間の予定に入れる
一次資料
制度の確認に使用した公的一次資料です。個別地域の運用は指定権者で確認してください。