運営 / 更新 2026-10-14
特定事業所加算(Ⅲ)(Ⅳ)の勤続年数7年以上30%の数え方:同一法人等での通算と休業期間
特定事業所加算(Ⅲ)(Ⅳ)は、訪問介護員等の総数のうち、勤続年数7年以上の人が30%以上いることで要件を満たす方法があります。この勤続年数は、訪問介護員等として7年働いた期間ではなく、同一法人等での勤続年数です。厚生労働大臣が定める基準(平成27年厚生労働省告示第95号)と、令和6年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1)の問6〜問8にそって、通算できる範囲と割合の計算を架空の数値例で確認します。
この記事で決めること
特定事業所加算(Ⅲ)(Ⅳ)の届出を考える訪問介護事業所の管理者が、勤続年数7年以上の訪問介護員等の割合30%以上の要件について、勤続年数の通算の範囲と休業期間の扱い、割合の計算を、告示と令和6年度のQ&Aで確認するための考え方と確認順を整理します。
読み終えたら、勤続年数7年以上の訪問介護員等の割合の計算表(職員ごとの入職日と同一法人等での通算の根拠、月ごとの勤務延時間数と常勤換算数、期間の平均と割合)を作成できる状態を目指します。
この記事で確かめるもの:(Ⅲ)(Ⅳ)の勤続年数要件
告示は、特定事業所加算(Ⅲ)(Ⅳ)に、次のどちらかへの適合を求めています。一つは、基準で配置することとされている常勤のサービス提供責任者が二人以下の事業所で、配置すべき人数を常勤で置いたうえで、基準を上回る数の常勤のサービス提供責任者を一人以上置くことです。もう一つが、訪問介護員等の総数のうち、勤続年数七年以上の者の占める割合が百分の三十以上であることです。
区分ごとの加算率と要件の一覧は「訪問介護の特定事業所加算(Ⅰ)〜(Ⅴ)の単位(加算率)と算定要件一覧(体制・人材)」にあります。この記事は、後者の勤続年数7年以上の割合の数え方だけを扱います。
割合の計算:期間と常勤換算
Q&A問6は、勤続年数要件の割合を、(Ⅰ)(Ⅱ)の訪問介護員等要件と同様に出すとしています。前年度(3月を除く11か月間)または届出日の属する月の前3月の、1月当たりの実績の平均について、常勤換算方法で算出した数を使います。
常勤換算の考え方と、別紙9に書く人数の出し方は「特定事業所加算の人材要件の割合の計算と数値例(別紙9)」と同じです。介護福祉士の勤務延時間数の代わりに、勤続年数7年以上の人の勤務延時間数を使います。
勤続年数の数え方:同一法人等での通算
Q&A問7は、この要件を、訪問介護員等として従事する者であって、同一法人等での勤続年数が7年以上の者の割合を求めるものだとしています。訪問介護員等として従事してから7年以上たっていることを求めるものではありません。たとえば、その事業所の訪問介護員等になる前に、同一法人等の別のサービスの施設・事業所で介護職員として働いていた期間は、通算して差し支えないとされています。
通算できる期間として、問7は次を挙げています。同一法人等の異なるサービスの事業所での勤続年数や、異なる雇用形態、直接処遇を行う職種での勤続年数、そして事業所の合併や別法人による事業の承継で、職員に変更がないなど事業所が実質的に継続して運営していると認められる場合の勤続年数です。
同一法人等には、同一の法人のほか、法人の代表者等が同じで、採用や人事異動、研修が一体として行われるなど、労務管理を複数の法人で一体的に行っている場合も含まれます。事業を引き継ぐときの指定の手続きは「訪問介護事業所を引き継ぐ・法人形態を変えるときの指定手続き(廃止と新規指定)」にあります。
| 場面 | 通算の扱い |
|---|---|
| その事業所の訪問介護員等になる前に、同一法人等の別サービスの施設・事業所で介護職員として働いた | 通算して差し支えない |
| 同一法人等で、雇用形態や職種(直接処遇を行う職種に限る)が変わった | 勤続年数は通算できる |
| 合併や別法人による事業承継で、職員に変更がなく事業所が実質的に継続している | 通算できる |
休業期間は勤続年数に含められる
Q&A問8は、産前産後休業、病気休暇、育児・介護休業、母性健康管理措置としての休業を取った期間は、雇用関係が継続していることから、勤続年数に含めることができるとしています。休業のある職員を勤続7年以上に数えられるかは、休業を除いた働いた年数ではなく、雇用関係の続いた期間で確かめます。
産前産後休業の法律上の期間と社会保険の扱いは「訪問介護員の産前産後休業:労働基準法第65条の期間と、社会保険料の免除・出産手当金」にあります。
数値例:前3月で勤続年数7年以上の割合を出す(架空の事業所)
次の数値は説明用の架空の例で、実在の事業所の値ではありません。常勤が勤務すべき時間数を月160時間とし、届出日の属する月の前3月を使います。月ごとに、訪問介護員等全体と、勤続年数7年以上の人それぞれの勤務延時間数を160で割って常勤換算数を出し、3か月分を平均します。
この例の平均は、全体が7.5人、勤続年数7年以上が約2.37人で、割合は2.37÷7.5=約31.6%です。基準の30%以上を満たします。月ごとに見ると2か月目の30.0%が最も低く基準に近いため、月ごとの割合も表に残しておくと安心です。
| 月 | 訪問介護員等全体の勤務延時間数 | 全体の常勤換算数 | 勤続7年以上の勤務延時間数 | 勤続7年以上の常勤換算数 | 月ごとの割合 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1か月目 | 1,200時間 | 7.5 | 400時間 | 2.5 | 33.3% |
| 2か月目 | 1,280時間 | 8.0 | 384時間 | 2.4 | 30.0% |
| 3か月目 | 1,120時間 | 7.0 | 352時間 | 2.2 | 31.4% |
| 3か月の平均 | — | 7.5 | — | 約2.37 | 約31.6% |
提出前に確かめることと、次に知りたいこと
職員ごとに、事業所での入職日と、同一法人等の別の事業所で働いた期間、その確認に使う書類を一覧にします。同一法人等に当たるかどうか、通算できる職種や期間の細目は、届出先の指定権者に確認してください。
割合が30%に届かないときの代わりの方法は、最初の節で見た常勤のサービス提供責任者の上乗せ配置です(対象は基準上の常勤が二人以下の事業所)。配置の人数は「訪問介護のサービス提供責任者の配置基準(利用者40人ごとに1人以上・前3か月平均)」で確認できます。
区分(Ⅲ)にはあわせて重度要介護者等対応要件(割合20%以上、または看取り期の対応体制)が必要で、割合の計算は「特定事業所加算の重度要介護者等の割合の計算と数値例(別紙9-3)」で計算できます。届出書の使い分けは「特定事業所加算の届出書類:別紙9・9-2・9-3と添付書類8点(京都府)」を読んでください。
実行チェックリスト
次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。
- 職員ごとに、事業所での入職日に加え、同一法人等の別の事業所や職種で働いた期間と、その確認に使う書類を一覧にする
- 産前産後休業・病気休暇・育児介護休業などの期間が雇用関係の継続として通算に含められるかを、Q&Aにそって職員ごとに整理する
- 勤続年数7年以上の職員と訪問介護員等全体の勤務延時間数を月ごとに集め、常勤換算数と割合を出す
- 割合が30%を下回りそうなときの代替(常勤のサービス提供責任者の上乗せ配置)を、指定権者の確認事項として準備する
一次資料
個別地域の運用は指定権者で確認してください。
- 厚生労働省「令和6年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1)(令和6年3月15日)訪問介護 特定事業所加算(Ⅲ)(Ⅳ) 問6〜問8」(確認日 2026-10-14)
- 厚生労働省「厚生労働大臣が定める基準(平成27年厚生労働省告示第95号)第三号 訪問介護費における特定事業所加算の基準」(確認日 2026-10-14)