運営 / 更新 2026-10-14

特定事業所加算の重度要介護者等の割合の計算と数値例(別紙9-3)

特定事業所加算(Ⅰ)(Ⅲ)の重度要介護者等対応要件は、要介護4・5の人、認知症高齢者の日常生活自立度がⅢ・Ⅳ・Mの人、たんの吸引等が必要な人が、利用者の20%以上かどうかで確かめます(区分(Ⅰ)は看取り期の対応体制でも満たせます)。割合は利用実人員か訪問回数のどちらかで数え、期間は前年度(3月を除く)の平均か、届出日の属する月の前3月の平均です。厚生労働省の留意事項通知(老企第36号)と平成24年度のQ&A、京都府の別紙9-3の欄にそって、架空の数値例で順に計算します。

事務机に置かれたノートパソコンと書類・手帳の写真

この記事で決めること

特定事業所加算(Ⅰ)(Ⅲ)の届出を考える訪問介護事業所の管理者が、別紙9-3に書く重度要介護者等の割合を、利用実人員または訪問回数で、留意事項通知とQ&Aの数え方にそって数値例で計算するための考え方と確認順を整理します。

読み終えたら、重度要介護者等の割合の計算表(月ごとの利用者または訪問回数の総数、要介護4・5、認知症自立度Ⅲ以上、たんの吸引等が必要な人の重複を除いた数、期間の合計と割合)を作成できる状態を目指します。

この記事で計算するもの:別紙9-3の重度要介護者等の割合

特定事業所加算の区分(Ⅰ)と(Ⅲ)は、重度要介護者等対応要件を満たす必要があります。京都府の様式では、この割合を別紙9-3「重度要介護者等対応要件の割合に関する計算書」に書き、別紙9の届出書を補完する資料として出します。様式番号は京都府独自の付番なので、他の指定権者では別の番号の場合があります。

区分ごとの加算率と要件の一覧は、「訪問介護の特定事業所加算(Ⅰ)〜(Ⅴ)の単位(加算率)と算定要件一覧(体制・人材)」に、別紙の使い分けと添付書類は「特定事業所加算の届出書類:別紙9・9-2・9-3と添付書類8点(京都府)」にあります。この記事は、別紙9-3に書く数字の出し方だけを扱います。

通知が定める数え方:対象の人・期間・単位

留意事項通知(老企第36号、平成27年度改正版)は、要介護4・5の人、日常生活に支障を来すおそれのある症状や行動が認められることから介護を必要とする認知症の人、社会福祉士及び介護福祉士法施行規則第1条各号の行為(たんの吸引等)を必要とする人の割合を、前年度(3月を除く)または届出日の属する月の前3月の、1月当たりの実績の平均で算定するとしています。数える単位は、利用実人員または訪問回数のどちらかです。

認知症の人とは日常生活自立度のランクⅢ・Ⅳ・Mの利用者、たんの吸引等を必要とする人とは、口腔内・鼻腔内・気管カニューレ内の喀痰吸引と、胃ろう・腸ろうによる経管栄養、経鼻経管栄養を必要とする利用者です。別紙9-3では、割合の分母になる総数に要支援者を含めません。

重度要介護者等の割合の数え方(通知・Q&A・様式の整理)
項目定め
割合の基準20%以上(区分(Ⅰ)(Ⅲ)。根拠と区分の対応は特定事業所加算の要件一覧の記事で確認)
対象の人要介護4・5、認知症自立度Ⅲ・Ⅳ・M、たんの吸引等が必要な人
数える期間前年度(3月を除く)の平均、または届出日の属する月の前3月の平均
数える単位利用実人員または訪問回数のどちらか(別紙9-3の□で選ぶ)
分母に入れない人要支援者。一体的運営の介護予防訪問介護の利用者もQ&Aでは計算に含めない
複数に当たる人重複して数えず、1人または1回と計算する(Q&A問15の注)
前年度の実績が6月に満たない事業所新規開設・再開の事業所を含め、前年度の実績では届け出られない

数値例1:利用実人員で計算する(架空の事業所)

次の数値は説明用の架空の例で、実在の事業所の値ではありません。届出日の属する月の前3月を使い、各月に訪問した要支援者以外の利用者の人数を総数にします。別紙9-3の⑤は②+③+④と定められていますが、Q&Aは複数の要件に当たる人を重複して数えないとしているため、この例では1人を1つの欄にだけ入れています。

たとえば、要介護5で認知症自立度もⅢの人は②だけに入れて③には入れません(記事の数値例での整理で、様式の定めではないため、欄の書き方は指定権者の記入例で確認します)。この例の3か月の合計は総数が36人、重度要介護者等が11人で、割合は11÷36=約30.6%となり、基準の20%を満たします。

前3月の重度要介護者等の人数(架空の例、利用実人員)
月①総数(要支援者を除く)②要介護4・5③認知症自立度Ⅲ以上(②を除く)④たんの吸引等(②③を除く)⑤重度要介護者等(②+③+④)月ごとの割合
1か月目12人2人1人0人3人25.0%
2か月目11人2人1人0人3人27.3%
3か月目13人2人2人1人5人38.5%
3か月の合計36人6人4人1人11人30.6%

数値例2:訪問回数で計算する

同じ事業所を訪問回数で数えると、重度の利用者が多く訪問されている分、割合が変わることがあります。Q&A問15の例も、利用実人員では約58.6%、訪問回数では約77.4%と、数え方で割合が違っています。どちらで数えても、基準の20%以上を満たせば要件を満たします。

この例では、3か月の総訪問回数が450回、重度要介護者等への訪問回数が150回で、割合は150÷450=約33.3%です。人数で数えた約30.6%より高くなっています。数え方は別紙9-3の□で一方を選びます。

前3月の重度要介護者等への訪問回数(架空の例)
月①総訪問回数(要支援者を除く)⑤重度要介護者等への訪問回数月ごとの割合
1か月目150回48回32.0%
2か月目140回42回30.0%
3か月目160回60回37.5%
3か月の合計450回150回33.3%

たんの吸引等の人を数えられる事業所と、認知症自立度の判断

たんの吸引等を必要とする人を割合に入れられるのは、社会福祉士及び介護福祉士法に基づく、自らの事業またはその一環としてたんの吸引等の業務を行うための登録を受けた事業所に限られます。登録のない事業所でも、Q&A問14は、要介護4以上または認知症自立度Ⅲ以上の割合が20%以上であれば要件を満たすとしています。登録を受けた事業所の実施体制は「認定特定行為業務従事者が訪問介護で喀痰吸引等を行うための実施体制」にあります。

認知症高齢者の日常生活自立度は、医師の判定結果または主治医意見書を使い、判定した医師名と判定日とともに居宅サービス計画などに記載するのが通知の扱いです。医師の判定がないときは認定調査票の記載を使い、複数の判定結果があるときは最も新しい判定を使います。確認の順番は「認知症高齢者の日常生活自立度の確認順(主治医意見書・認定調査票)」で整理しています。

届出後に毎月確かめること

前3月の実績で届け出た事業所は、届出を行った月以降も、直近3月間の割合を毎月継続して維持する必要があります。通知は、その割合を毎月ごとに記録し、所定の割合を下回った場合は直ちに第一の5の届出を出すとしています。

上の数値例では、20%は36人の7.2人分に当たるため、8人以上が必要で、7人では約19.4%となり届きません。人数が少ない事業所では1人の入れ替わりで割合が動くため、月ごとの計算表を残しておくと、下回りそうな月に早く気づけます。算定できなくなったときの届出と返還は、「訪問介護の加算が算定できなくなったとき:届出と返還」にあります。

提出前に確かめることと、次に知りたいこと

別紙9-3は、数え方(利用実人員か訪問回数か)と算定期間(前年度か前3月か)の□を選び、月ごとの数字を書きます。月ごとの総数と該当者は、サービス提供票と居宅サービス計画、主治医意見書などの写しから出せるようにしておきます。Q&Aは平成24年のものなので、現行の取扱いと様式の記入例は届出先の指定権者に確認してください。

割合ではなく、看取り期の対応体制で要件を満たす方法が告示にあります。看取り期の対応体制の中身は「訪問介護の看取り期の利用者への対応:2時間ルールの弾力化と特定事業所加算の看取り期対応体制」に、人材要件の割合の出し方は「特定事業所加算の人材要件の割合の計算:常勤換算・介護福祉士30%と50%の数値例(別紙9)」に、体制要件の記録は「特定事業所加算の体制要件4項目:会議・研修計画・健康診断・緊急時対応の記録」に書いています。

実行チェックリスト

次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。

  1. 割合を利用実人員で出すか訪問回数で出すかと、数える期間(前年度の3月を除く平均か、届出日の属する月の前3月)を決める
  2. 月ごとに、要支援者を除く利用者の総数(または訪問回数)と、重度要介護者等に当たる人の数(または訪問回数)を、重複を除いて集める
  3. 期間の合計から割合を出し、別紙9-3の欄に書く数字にして、20%以上かを確かめる
  4. 届出後も毎月、直近3月の割合を計算して記録し、20%を下回ったときの届出の流れを決めておく

一次資料

個別地域の運用は指定権者で確認してください。

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