運営 / 更新 2026-10-24
訪問介護の排泄介助:トイレ・ポータブルトイレ・おむつ交換の区分(老計10号1-1-1)
訪問介護の排泄介助は、老計第10号の身体介護1-1-1に、トイレ利用・ポータブルトイレ利用・おむつ交換の3場面として例示されています。ポータブルトイレへの移乗の付き添いやパッド交換の見守りは1-6の見守り的援助の例示にあり、トイレの掃除は生活援助の2-1の例示にあります。この記事は、通知の例示にある流れと、見守り的援助・生活援助との分かれ目を整理します。
排泄介助は3つの場面:トイレ・ポータブルトイレ・おむつ交換
身体介護の1-1「排泄・食事介助」の下に、1-1-1「排泄介助」があり、さらに1-1-1-1「トイレ利用」、1-1-1-2「ポータブルトイレ利用」、1-1-1-3「おむつ交換」に分かれています(以下、平成30年4月1日適用の改正後の本文)。通知は、それぞれの場面の一連の流れを例示しています。
通知はこの流れを「あくまで例示」とし、実際の提供では利用者個々人の身体状況や生活実態等に即した取扱いが求められると書いています。表の流れを全部行わなければ身体介護にならない、という意味ではありません。
| 項目 | 通知が並べる主な流れ | 場合によりの行為 |
|---|---|---|
| 1-1-1-1 トイレ利用 | トイレまでの安全確認、声かけ・説明、トイレへの移動(見守りを含む)、脱衣、排便・排尿、後始末、着衣、利用者の清潔介助、居室への移動 | 失禁・失敗への対応(汚れた衣服の処理、陰部・臀部の清潔介助、便器等の簡単な清掃を含む) |
| 1-1-1-2 ポータブルトイレ利用 | 安全確認、声かけ・説明、環境整備(防水シートを敷く、衝立を立てる等)、立位をとり脱衣、ポータブルトイレへの移乗、排便・排尿、後始末、着衣、利用者の清潔介助、安楽な姿勢の確保、ポータブルトイレの後始末 | 失禁・失敗への対応(汚れた衣服の処理、陰部・臀部の清潔介助) |
| 1-1-1-3 おむつ交換 | 声かけ・説明、物品準備、新しいおむつの準備、脱衣(おむつを開く、尿パットをとる)、陰部・臀部洗浄(皮膚の状態などの観察、パッティング、乾燥)、おむつの装着、おむつの具合の確認、着衣、汚れたおむつの後始末 | おむつから漏れて汚れたリネン等の交換。必要に応じて水分補給 |
この記事で決めること
訪問介護でトイレ・ポータブルトイレ・おむつ交換の依頼を受けたとき、老計第10号の排泄介助にどこまで含まれ、見守り的援助やトイレ掃除(生活援助)とどう分かれるかを知りたい人向け。ための考え方と確認順を整理します。
読み終えたら、排泄に関する依頼の区分確認表(1枚):利用者ごとに、依頼の内容、動作を行う人、場面、老計第10号の項目、ケアマネジャーと保険者に聞いた日と回答を作成できる状態を目指します。
失禁・失敗への対応は、排泄介助の流れに含まれる
3つの場面とも、通知は「(場合により)」として、失禁や失敗への対応、またはおむつから漏れて汚れたリネンの交換を流れに含めています。トイレ利用の例には「便器等の簡単な清掃を含む」とあり、ポータブルトイレ利用の例には最後に「ポータブルトイレの後始末」があります。
つまり、排泄の介助に付いて行う汚れの後始末は、同じ排泄介助の一連の行為として通知が例示しています。どこまでが「簡単な清掃」かという線引きは、通知には書かれていません。
付き添い・声かけ中心なら、1-6の見守り的援助の例示
身体介護の1-6「自立生活支援・重度化防止のための見守り的援助」には、排泄に関する例示が2つあります。1つは、ベッド上からポータブルトイレ等(いす)へ利用者が移乗する際に、転倒等の防止のため付き添い、必要に応じて介助を行うことです。もう1つは、認知症等の高齢者がリハビリパンツやパットの交換を見守り・声かけで行い、一人でできるだけ交換して後始末ができるように支援することです。
どちらも、利用者が動作を行い、訪問介護員等が付き添い・声かけ・必要に応じた介助で支える形です。訪問介護員等が代わりに交換を行う1-1-1-3のおむつ交換とは、動作を誰が行うかが違います。1-6の計画への書き方と記録は見守り的援助(老計10号1-6)で扱っています。
なお、1-1-1-1のトイレ利用の例にも「トイレへの移動(見守りを含む)」とあり、トイレの付き添いが1-1-1に入る場合と1-6に入る場合の線引きは、通知の文言からは読み取れません。利用者の状態とケアプランでの位置づけは、担当のケアマネジャーと保険者に確かめてください。
トイレの掃除は生活援助:2-1の例示
生活援助の2-1「掃除」の例示に、「居室内やトイレ、卓上等の清掃」があります。排泄介助の流れに含まれる「便器等の簡単な清掃」とは別の項目に置かれています。
通知の項目の置き方からは、排泄介助の途中の後始末は1-1-1の流れの一部、排泄介助と関係なくトイレを掃除する場面は2-1の例示と読めます。ただし、生活援助を算定できる利用者の要件は別にあります(生活援助中心型を算定できる利用者の要件)。
排泄介助の前後の確認と記録
おむつ交換の流れには「陰部・臀部洗浄(皮膚の状態などの観察、パッティング、乾燥)」があります。皮膚の状態の観察は、排泄介助の流れに入っている行為です。赤みや傷に気づいたときの見方と伝え方は褥瘡(床ずれ)に気づいたときで扱っています。
身体介護の冒頭にある1-0「サービス準備・記録等」(健康チェック、環境整備、相談援助、サービス提供後の記録等)について、通知は、この行為だけで身体介護または生活援助の単独の行為として扱わないよう留意することを求めています。排泄介助の前後の声かけや記録も、排泄介助のサービスと一体で整理します。サービス提供の記録の義務はサービスの提供の記録(基準第19条)にあります。
区分を決める手順:動作の主体、場面、対象の順に見る
排泄に関する依頼を受けたときは、まず、排泄の動作を誰が行うかを見ます。訪問介護員等が介助して行うなら、場面に応じて1-1-1-1〜1-1-1-3の候補です。利用者が動作を行い、付き添いや声かけ、必要に応じた介助で支える形なら、1-6の候補です。
次に、依頼の内容が排泄の介助なのか、トイレの掃除だけなのかを確かめます。掃除だけなら、2-1の候補です。迷うときは、訪問介護員の判断だけで決めず、サービス内容をケアプランと訪問介護計画に書き、実際に行った内容を記録で示せるようにします。
身体介護と生活援助の請求上の分け方は身体介護中心型と生活援助中心型の分け方に、老計第10号の全体像は老計10号の最新版にあります。浣腸など医行為に当たるかどうかが問題になる行為は、爪切り・口腔清拭・浣腸など6行為で扱っています。
資料の範囲
2026年10月24日に、老計第10号は厚生労働省掲載の改正通知(平成30年3月30日老振発0330第2号の別紙)で確認しました。平成30年改正より後の改正の有無は、この記事では確認していません。現行の本文は厚生労働省と指定権者の案内で確かめてください。
報酬の単位数や、個別の利用者の排泄の介助がどの項目に当たるかの判断は、この記事の対象外です。利用者の状態に応じた判断は、ケアマネジャーと保険者の確認事項です。
実行チェックリスト
次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。
- 排泄に関する依頼を受けた利用者ごとに、依頼の内容がトイレ・ポータブルトイレ・おむつ交換の介助か、トイレの掃除かを分けて書く
- 介助の場面ごとに、訪問介護員等が介助して行う形か、利用者が動作を行い付き添いと声かけで支える形かを分け、老計第10号の1-1-1-1〜1-1-1-3と1-6のどちらの候補かを書く
- 失禁・失敗への対応や汚れたリネンの交換が排泄介助の流れに含まれる場面と、排泄介助を伴わないトイレ掃除(2-1の例示)を分け、訪問介護計画の内容欄の書き方をそろえる
- 区分に迷う場面は、ケアマネジャーと保険者に確かめた日と回答を表に残し、実績の記録の書き方も同じ項目名にそろえる
一次資料
個別地域の運用は指定権者で確認してください。