運営 / 更新 2026-10-25
訪問介護の体位変換・移乗・移動・起床就寝介助の区分(老計10号1-3・1-4)
体位変換、車いすへの移乗、室内の移動、外出、起床と就寝の介助は、老計第10号の身体介護1-3と1-4に流れが例示されています。同じ動作でも、転倒防止の付き添いや声かけ中心の形は、1-6の見守り的援助の例示です。この記事は、通知の例示にある流れと、それぞれの分かれ目を整理します。
1-3は体位変換、移乗・移動介助、通院・外出介助の3つ
身体介護の1-3は「体位変換、移動・移乗介助、外出介助」で、1-3-1の体位変換、1-3-2の移乗・移動介助、1-3-3の通院・外出介助に分かれています(以下、平成30年4月1日適用の改正後の本文)。通知は、一連の流れを「あくまで例示」とし、実際の提供では利用者個々人の身体状況や生活実態等に即した取扱いが求められると書いています。表の流れを全部行わなければ身体介護にならない、という意味ではありません。
1-3-2の移乗・移動介助は、1-3-2-1の移乗と1-3-2-2の移動に分かれます。移乗の例示には、車いすを使う流れと、歩行器や杖などの補装具を使う流れの2つがあります。
| 項目 | 通知が並べる主な行為 | 目に留まる点 |
|---|---|---|
| 1-3-1 体位変換 | 声かけ・説明、体位変換(仰臥位から側臥位、側臥位から仰臥位)、良肢位の確保、安楽な姿勢の保持、確認(安楽か、めまいはないか) | 体位を変えた後の姿勢の保持と、めまいの確認まで流れに入る |
| 1-3-2-1 移乗(車いす) | 車いすの準備、声かけ・説明、ブレーキ・タイヤ等の確認、ベッドサイドで端座位の保持、立位、車いすに座らせる、座位の確保、フットレストを下げて片方ずつ足を乗せる、気分の確認 | 準備と安全確認が、移乗の動作の前に入っている |
| 1-3-2-1 移乗(補装具) | その他の補装具(歩行器、杖)の準備、声かけ・説明、移乗、気分の確認 | 車いすの流れより短く例示されている |
| 1-3-2-2 移動 | 安全移動のための通路の確保(廊下・居室内等)、声かけ・説明、移動(車いすを押す、歩行器に手をかける、手を引くなど)、気分の確認 | 通路の確保が先頭に入っている |
| 1-3-3 通院・外出介助 | 声かけ・説明、目的地(病院等)に行くための準備、バス等の交通機関への乗降、気分の確認、受診等の手続き。場合により、院内の移動等の介助 | 院内の移動等の介助は「場合により」と付いている |
この記事で決めること
体位変換・移乗・移動・起床や就寝の介助を頼まれた訪問介護の事業者が、老計第10号の身体介護1-3・1-4の例示と、1-6の見守り的援助との分かれ目を原文で確かめる記事。ための考え方と確認順を整理します。
読み終えたら、移乗・移動・起床就寝の依頼の区分確認メモ(1枚):利用者ごとに、誰がどの動作を行うかと、訪問介護計画に書く区分の候補を作成できる状態を目指します。
1-4は起床介助と就寝介助
身体介護の1-4は「起床及び就寝介助」で、1-4-1-1の起床介助と、1-4-1-2の就寝介助の2つが例示されています。
起床介助の流れは、声かけ・説明(覚醒確認)、ベッドサイドでの端座位の確保、ベッドサイドでの起きあがり、ベッドからの移動(両手を引いて介助)、気分の確認です。場合により、布団をたたみ押入に入れる行為が付きます。
就寝介助の流れは、声かけ・説明、準備(シーツのしわをのばし、食べかすやほこりをはらい、布団やベッド上のものを片づける等)、ベッドへの移動(両手を引いて介助)、ベッドサイドでの端座位の確保、ベッド上での仰臥位又は側臥位の確保、リネンの快適さの確認(掛け物を気温によって調整する等)、気分の確認です。場合により、布団を敷く行為が付きます。
同じ場面でも、転倒防止の付き添いや声かけ中心は1-6の見守り的援助
身体介護の1-6「自立生活支援・重度化防止のための見守り的援助」には、移動や移乗の場面の例示が3つあります。1つめは、ベッド上からポータブルトイレ等(いす)へ利用者が移乗する際に、転倒等の防止のため付き添い、必要に応じて介助を行う形です。
2つめは、移動時、転倒しないように側について歩く形です(介護は必要時だけで、事故がないように常に見守る)。3つめは、ベッドの出入り時など自立を促すための声かけです(声かけや見守り中心で必要な時だけ介助)。
1-3-2の移乗・移動介助は、訪問介護員等が車いすへの移乗や手を引く動作を行う形を例示しています。1-6の3つの例示は、利用者が自分で動き、訪問介護員等は付き添いと声かけで支え、必要なときだけ介助する形です。動作を誰が行うかが、通知の文言の上での違いです。
ただし、利用者の状態によっては、同じ日の中で、場面ごとに必要な介助の度合いが変わることがあります。どちらの例示に近いかは、通知の文言だけでは決められない場面があります。利用者の状態とケアプランでの位置づけにそって、担当のケアマネジャーと保険者に確かめてください。
見守り的援助全体の書き方と記録は、見守り的援助(老計10号1-6)で扱っています。
外出の介助は、通院等乗降介助の算定要件とは別に確かめる
1-3-3の通院・外出介助は、バス等の交通機関への乗降や受診等の手続きを含む流れの例示です。通院などのための乗車や降車の介助を算定するときの要件と単位数は、通院等乗降介助の算定要件で扱っています。
院内の介助を算定できるかどうかは、通知の例示の「場合により」の一言だけでは決まりません。厚生労働省の事務連絡と自治体の確認手順は、院内介助で扱っています。
確かめた範囲と、次に読む記事
排泄の区分は排泄介助の区分で、入浴・整容・更衣の区分は入浴・清拭・整容の区分で、食事の区分は食事介助の区分で整理しています。通知の全項目の一覧は訪問介護でできること・できないことにあります。
この記事は、老計第10号の改正後の本文にある1-3、1-4、1-6の例示を、2026年10月25日に確かめた内容です。個別の利用者の区分判断、報酬の単位数、移乗や体位変換の介助技術は、書いていません。
実行チェックリスト
次の順に確認します。未確認の項目は推測で埋めず、担当と確認期限を残してください。
- 利用者の依頼を、体位変換、ベッドから車いす等への移乗、室内の移動、外出・通院、起床、就寝に分けて書き出す
- それぞれについて、訪問介護員等が体に触れて介助するのか、利用者が自分で動き、声かけや付き添いで支えるのかを、サービス担当者会議の記録やケアプランの記載と照らして書き添える
- 通知の例示の流れ(1-3・1-4)に当たるのか、見守り的援助の例示(1-6)に当たるのかの候補を、通知の項目番号つきで書き込む
- 判断に迷う項目は、担当のケアマネジャーと保険者(市町村)に、利用者の状態と依頼内容を示して確認し、回答を日付つきで残す
一次資料
個別地域の運用は指定権者で確認してください。
- 厚生労働省老健局振興課「「訪問介護におけるサービス行為ごとの区分等について」の一部改正について(平成30年3月30日老振発0330第2号。別紙に改正後の老計第10号)」(別紙(老計第10号の新旧対照表))(確認日 2026-10-21)